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睡蓮  作者:
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1. 「うぜーじじいだな」「うぜーじじいの意味を教えてくれるかな?」「いいからどっかいけよ!」「それじゃあまりにも愛がないだろう」「愛とかどうでもいいよ!」「主には愛が足りない」「そんなもん知らねえ。愛なんて」「愛の意味を教えよう」「なんだよ」

「それは相手を想う心じゃ」


2.「行くぞ!」それは私にとって勇気のいることだった。今まで市役所勤めでトラブルは少々あったが順調に中間管理職まで出世した。あとは退金をもらって悠々自適の生活を送る予定だった。ストーカーと対時して怪我でもしたら?まだ住宅ローンだってある。迷っていた。


3.「わしが愛を教えてやろう。あそこに不思議な状況があるだろう?男が挙動不だ。見覚えはないか?」「誰だよ」「君が肩をぶつけた相手だ」「しらねーよ。あんなおっさん」「君たちは目を合わせている。しかもお互い感情的になりながらも何事もないフリをした」「だから知らないって」「それではもっと近づいてみよう」


4.「あの!僕もついてっていいですか?二人の話聞いてたら面白そうだなって」「遊びじゃねーんだよ。こっちは」「いいではないか。それも愛だ」「めんどくせーな」「では遠慮なく。僕の事は気にしなくいいので。それよりお爺さんの名前は?」「ああ、わしの名前か?名前は」


5.この家に入ろう。知らない家だけど大丈夫かな?インターホン鳴らしてる暇ないし、運にかけるしかない。あ!鍵がしてない。でも、これ泥棒よね?いや、インターホン押さずに家に入ったからって何か盗んでるわけじゃないし、むしろ警察に保護してほしいのは私のほうよ。お邪魔しまーす。


6.あの子を見失った。おかしい。このあたりに入ったはずなのに・・・。くそ、見失った。自宅がこのあたりなのか?それならそれで収穫だ。明日またこのあたりを探してみよう。ポチに餌をやらなきゃいけない。変な親父が近づいてくるな。不審者だと思われたくもないし、さっさと帰ろう。


7.「パパ!気をつけてね!」私は父親の背中を見守っていた。ストーカー野郎はキョロキョロしながら歩いている。悪い奴を捕まえてね。クソ真面目な父親が嫌いだったが正義感を持った男の背中は嫌いじゃない。援助交際常連で言える立場じゃないが今のパパは尊敬している。


8.「変な人だったね。ママ」「え、ええ・・・」彼を何処かで見た記憶がある。初対面のようでそうじゃないような。この不思議な感覚がもどかしい。「ママお家帰るの?」「そうよ」「さっきよるとこあるって」「あ、あれは口実よ。自宅まであの人に知られたくないでしょ」「ああ、そうだよねー」


9.彼女は僕の事をどうやら覚えてはいないようだ。無理もない。それはそれで都合が良かった。さてと、そういえば様子のおかしな人達がいたな。女の子を追う男とその男を追うサラリーマンと女子高生。どんな状況なんだ。よし、暇だし後をつけてみるか。それにしても彼女は相変わらず綺麗だ。


10.「母ちゃん、帰ってきたのか?」「あっ・・・」「母ちゃん?」「あっ、あの・・・」「お!」「あ、すみません・・・なんか」「あ、あんた誰だよ!インターホンも鳴らさないで!」「いや、その・・・」突然家の玄関に現れた女性と俺は対時した。顔のレベルは中の上だ。怯えてる。何か事情があるのかも。


11.ただ何気なく一件の家に目が留まった。どこの家もたいしてかわり映えはないが座り心地の良さそうな段差がある。「よっこいしょっと!」今日も何もない毎日。無から有を生むためには何かを始めなきゃいけない。行動こそ成功への足掛かりになる。とはいえ腹が減って戦はできぬか・・・。


12.女の子は見失ったが女子高生とサラリーマンの後ろ姿を追う。サラリーマンは単独で住宅街の奥に入っていく。私はゆっくりと女子高生の方へと向かって行く。そろそろ日が暮れる頃だ。事情を聞いて力になれるならそれでいい。女子高生が振り返る。私の存在に気づいたようだ。






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