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睡蓮  作者:
49/50

終わり

和馬が向井を指差した。


「・・・お前、和解したはずじゃ」


「いつ和解したって言ったんだよ!俺は許してないからな」


「そういう雰囲気だっただろ・・・」


二人が言い争っていると、警官の一人が止めに入った。


「はい!そこまで。言いたいことはわかりました。とりあえず事情を話してもらえますか?」


「こいつが俺にナイフを突き刺した」


「刺してはないだろ!かすれただけだ」


「確かに出血してるな。みなさんは目撃者ですか?」


その場にいた全員が頷いた。


「ち、ちがう・・・確かにナイフは向けたがちょっと脅すだけのつもりだった・・・シャレだよ。シャレ。YouTubeとかでもそういうのでバズるだろ?そういう感じ。あっ、動画撮っておけばよかったな」


「確かにこちらとしてもその方がありがたい」


もう一人の警察も睨みつけるように向井にそう言った。


「とりあえず詳しいことは署で聞きます。連行しろ」


「ちょっと待って!許してくれよ。出来心だったんだ。軽い気持ちだったんだ。もうしないから」


警官二人は問答無用に連れていく。


「あの!」


「なんですか?」


「この人どうなるんですか?」


桜子が突然声を上げた。


「それは後で決めることですから」


「ちょっと可哀想じゃないですか?」


その場にいた人間は唖然とした。この人は何を言っているんだろうという顔だ。


「なに言ってんだよ!こいつは俺を殺そうとしたんだぞ!」


「誰にだって過ちはあるんじゃない?そんな悪い人には見えないのよ。なにか理由があったのよね?」


「金が欲しかっただけ・・・」


「ろくでもねぇ理由だな」


警察は手をゆるめない。


「とにかく連れて行きますから」


「ダメです!」


「あなたにそんな権利ないだろ!被害者の俺が訴えてるんだ」


「だからなに!」


一同はポカンと口をあけた。この人は一体何を言っているんだろうかという顔だ。


桜子は包丁を片手に和馬を睨みつけた。


「はあ?」


「ち、ちょっと奥さん。冷静に・・・」


冷静だった二人の警官は包丁と桜子を順番にみながら動揺していた。


「奥さん、とりあえず包丁を置いてください」


「私も罪になるのかしら」


「まあ、公務執行妨害になる可能性が・・・」


「かまいません」


「なぜ、そこまでして彼をかばうんですか?」


桜子は一瞬戸惑った顔をした。


「わたしもそうだったから・・・」


桜子はそう言って何かを思い出すように包丁をゆっくり手放した。


「捕まえろ!」


二人の警官が桜子を取り押さえる。


警官に取り押さえられた桜子は二人の警官の一人をまじまじと見つめた。


「あれ?あなたどこかで見た顔ね」


警官の一人が動揺する。


「あなた洋一くんじゃない?」


桜子がそう問いかけると警察の一人が帽子を深く被った。









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