ドタバタ
暗がりにスーツ姿の男が立っていた。
「あ、あんた・・・」
街灯に照らされた先にはハンサム男、眼鏡着物男、ギャルの女子高生もいる。
「やっぱり戻ってきて良かった。この家がどうも気になってね」
「あ・・・あの、無事にストーカーの女の子は助けられました。こいつが犯人です」
「このニット帽、やっぱりストーカーだったのか」
スーツ姿の男は斜に構えてそう言った。
「パパの言うとおりだったね!さっさと警察連れて行こうよ!」
娘の響子が慌てた様子でつめよる。
「そうだな」
「あの、そのつもりだったんだけどさ。被害者連れてくの忘れてて、こいつ連れてくだけじゃ意味ないから」
洋一はそう言って村瀬家を見つめた。
「あの子とまた顔会わさせるの?そんなの絶対だめ!トラウマになっちゃうよ!」
「そうは言ってもさ・・・」
洋一の言葉に響子はひらめいたように微笑む。
「あ!あたしが一緒に行けばいいんじゃない?あたしがこいつにストーカーされたことにして」
その言葉にすかさず西門寺が口を出す。
「俺はお前なんかストーカーしてない!」
「いや、そうだけど。彼女は連れて行っちゃダメ!トラウマになるもん」
「一度、話し合ったらどうだ?まだこの家に彼女は居るんだろ?」
「パパ!だから会わせちゃダメなんだって!」
「大丈夫だよ。これだけ大人な男がいるんだ。彼が押さえつけてるし。ほらそのためにロープも買ってきただろ?」
「そうだけど・・・じゃあ、なんかあったらパパのせいだからね」
「ああ、私が責任をとる」
山村はスーツの上着を脱いでネクタイを緩めた。洋一はゆっくり頷いた。
「老師はここで待っててください」
「わしゃ、もう帰りたいんじゃが」
「もう少しだけ・・・すみません」
洋一の言葉に老師はしぶしぶ頷いた。
山村が西門寺をロープで縛る。ハンサム男、眼鏡着物男も手伝う。
「なんかドタバタしてるわね」
「じゃあ、準備はいいですか?こいつを見てあの子が不快な顔したらロープ入れてた白いビニール袋を被せますから。それなら顔が見えないで済む」
「なんかうまくいく気がしないんだけどなぁ」
響子は乗り気ではなかったが、この状況で老師と二人で外で待っているより、家でこの状況をどうすべきが話し合うという好奇心が勝っていた。
「じゃ、あたしも行くよ」
洋一がゆっくり玄関の扉を開く。
「助けてくれー!」
中から男の叫び声が聞こえた。




