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睡蓮  作者:
39/50

リアルストーカー

「ストーカー!!」


孝之の方を見て智子がそう叫んだ。動揺する孝之。


「やっぱりお前がストーカー犯だったのか!洋一!あいつを捕まえるぞ!」


和馬は洋一と共に孝之を抑え込んだ。


「ち、違う!俺はストーカーじゃない!智ちゃん何言ってんだ!俺は救世主だぞ!」


「何を訳わかんないこと言ってんだ!さっきは警察官とか嘘つきやがって!」


「違うんだって!ち、ちょっと離せよ」


押さえ込まれる孝之を見て、智子はふと我に返った。首を傾げる智子。


「あっ・・・違います。孝之さんはストーカーから助けてくれた人です」


和馬と洋一の動きが止まった。


「はっ?こいつストーカーじゃないの?」


「・・・違います。ストーカーはその後ろです」


「後ろ?」


智子に支持されるまま振り返る和馬と洋一。そこには智子をじっと見つめるニット帽の男がいた。

鼻の穴を膨らまし、顔が赤く、目は地走る。

その光景はまるで獲物を見つけた野獣のように見えた。


「・・・おい、西門寺どういうことだ?」


和馬は不思議そうな目で西門寺にそう問いかけた。

しかし、その声はまったく届いていない。じっと智子だけを見つめる西門寺。


「こいつがストーカーだったのか・・・」


洋一がゆっくり距離をとっていく。それにつられて和馬も距離をとる。

羽交締めにされていた孝之は安堵の表情と共に恐怖も感じていた。

目の前にリアルストーカーがいるのだ。


「やっと見つけた」


この家に来た西門寺の第一声だった。


「ち、ちょっとどういうこと?あんたたちの仲間じゃないの?この人」


孝之は困惑している。


「ちょっと訳ありだ。和馬どうする?」


洋一が問いかける。


「じいさんは外か?」


老師の姿はそこにはない。


「とりあえず年寄りと女は守らないと」


和馬はそう言って、智子、桜子、美弥を見つめた。

智子は狙われたウサギのように小刻みに震えている。


「まずはあの子だな」


「むしろあの子が一番危険な状態だ」


困惑しながら和馬と洋一は思考をめぐらす。

しかし、いいアイデアが浮かばない。二人で西門寺を取り押さえようか、向井や孝之もおそらく手を貸してくれるだろう。

しかし、それが出来ない状況を西門寺は作り出していた。


「やっと会えた」


「いや!来ないで!孝之さん助けてよ!」


智子は必死に孝之の名前を呼ぶ。孝之はリアルストーカーの迫力に腰を抜かしていた。


「もう逃さないよ。へへ」


西門寺の手には包丁が握られている。








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