再会
警戒心を持っていた孝之はそっと覗き穴に目をやる。
そこには見覚えのある二人の男の顔がある。
しかし、その後ろには知らない三人の男がいる。
そのうちの一人は明らかに老人だ。
「こりゃー、新手だな」
「どうしたんですか?」
「黙れ!せとぎわだ」
「なんのせとぎわ?」
「生きるか死ぬかに決まってるだろ!」
孝之は真剣な目で智子の肩に手を置いた。
「いいかい?おそらく信仰宗教の勧誘だ。さっきとメンツが違うからわからなかったが、教祖を連れてきてる」
「どういうこと?」
「若い男二人は鉄砲玉だ。その後ろにニット帽をかぶった幹部と腰の低そうな奴がいる。おそらく秘書官だ。油断させて話を聞いてもらうつもりだろうが、そうはいかないぞ!」
孝之はひとまず智子をリビングに戻した。
「誰だったの?」
「・・・あ、孝之さんが言うには、また宗教の人だって。今度は教祖を連れて戻ってきたって」
「あら、大丈夫かしら?」
リビングに戻ってくる孝之を桜子は心配そうに見つめている。
「母さん。ここからがクライマックスだ」
「どういうこと?」
インターホンが再び鳴った。
「おそらく居留守はもう使えない」
「でるの?」
「そうするしかないだろう」
「勧誘されたらどうするのよ」
「断るしかない。しかし、そう簡単にはいかないと思う。むこうには教祖がいるからな。一世一代の勝負をかける時だ」
「孝之」
「もしかしたら俺たちみんな襲われるかもしれない。勧誘とはそういうものだ」
「飛躍しすぎじゃない?孝之さん」
「黙れ!タダ飯女!」
言葉を失う智子。
好感度は少しだけ下がった。
「君には指一本触れさせない」
好感度は上がった。
孝之はゆっくり玄関に向かった。
玄関の前でまたインターホンが鳴った。
深呼吸をする孝之。
「大丈夫かしらね?」
「・・・いや、よく来るんですか?勧誘」
「まあ、時々ね。いつもは追い返してるんだけど、最近は孝之が家にいるから任せてるの。一度だけしつこい勧誘があって、その時は孝之が追い払ってくれた」
「でも、たかが勧誘ですよね?」
「それが最近は巧妙でね。ちょっとでも仲良くなると個人情報を聞こうとするの。住所ばれてるじゃない?それだから下手に乱暴な事も言えないし」
「孝之さんはどうやって対応したんですか?」
「俺は警察官だ、って言ってる」
「なるほど・・・」
そう智子がつぶやいた後、ゆっくりと玄関の扉が開く音が聞こえた。




