新たなる使者
「だいたい、なんなんだ。お前たちは。気持ち悪いんだよ。愛とか、なんだとか」
「おい!おい!そんな言い方ないだろ!老師の愛の定義にケチつけんのか!」
「おい!洋一やめとけ。またややこしくなるから」
「こいつの根性を叩き直さないとおさまらねぇ。どうせ彼女もできない童貞野郎だ」
「おい!また暴言吐いてるぞ」
「あっ」
和馬になだめられた洋一はゆっくり老師に視線を送る。老師は優しく微笑んでいる。
「・・・ろ、老師。すみません。また暴言を吐いてしまいました。俺を殴ってください。人に根性どうの言う権利は俺にはありません。殴ってください」
「お主は暴言など吐いておらんぞ」
洋一はあっけにとられた。
「・・・いや、童貞野郎って」
「それはおそらく事実じゃ」
「じじい!俺は確かに童貞だが、野郎は暴言だぞ」
ニット帽が老師に近づきながらそう言った。
「おい!老師に近づくな!童貞野郎!」
「だから野郎は暴言だろ!再び謝れ!」
「謝るわけないだろ!老師は暴言と言っていない」
「暴言だ!」
洋一とニット帽の会話を聞いていた和馬は内心あきれていた。どうでもよかった。そこへ老師がそっと近づいてきた。
「わしらの世界では野郎は『男』という意味じゃ。お主は暴言だと思うか?」
「言葉的には暴言に聞こえるけど、まあ、そういう意味だと知れば暴言じゃないかな。よくわからんけど・・・」
老師はまた微笑んだ。
「なあ、お前らいつまで言い争ってんだよ。さっさと行かないと女の子どうなってるかわかんねぇぞ!」
「あっ!そうだった。和馬。わりぃ、わりぃ」
洋一は我に返ったように和馬に駆け寄った。
「じゃあな。童貞野郎。俺たちは忙しいんだ!」
ニット帽はムッとした様子で背を向けたが、何かを思い出したかのように再び洋一たちに声をかけた。
「さっきから女の子を助けるとか言ってるけど、どういうことだ」
「お前には関係ないだろ!」
「女の子を助けるのか?」
「そうだよ。ストーカー野郎からな」
「ストーカー?それは大変だ」
ニット帽は慌てた様子で洋一たちに駆け寄った。
「詳しく聞かせてくれ。俺にもとしごろの妹がいるんだ。実は妹を探してる」
その場にいた、和馬、洋一、老師はお互いの顔を見合わせた。
「あんたに妹がいたのか?」
「ああ、俺もこうみえて今さっきストーカーにあったとこだ」
「嘘をつくな!」
洋一は思わず声を荒げた。




