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睡蓮  作者:
30/50

第四章 理由

「あいつ、なんだ?」


「なんかずっとこっち見てんな」


「帽子の青年じゃの」


「気にせずさっさと行こうぜ」


「・・・あ、ああ」


ニット帽がゆっくりこちらに近づいてくる。


「なんかこっちくるぞ」


「洋一、先行っててくれ」


「いやいや、何言ってんだよ。一緒にいた方が安全だ」


「いや、俺がなんとかする。早く行かないとストーカー野郎に女の子が襲われるかもしれないぞ」


「・・・そうだけど、お前が心配だよ」


「俺は大丈夫。喧嘩なれてるし、何かあったら逃げるよ。じいさんも洋一と行けよ」


和馬はゆっくり老人を見つめた。老人は優しい目をして頷いた。


「信じることも大事なことじゃな」


老人は洋一の腕を掴んだ。


「力つえーな!師匠!俺にもあざができそうだ」


「師匠は照れくさいの。お主は弟子でもないし」


「じゃあなんて呼べばいい?」


「そうじゃな」


老人は少し考えた後、ひらめいたように言った。


「老師ってのはどうじゃ」


「あ!老師ね!それいいじゃん!老師、よろしくお願いします」


「うぬ。ではさっそく困っておるおなごを助けに行くのじゃ」


「わかりました!じゃあ、和馬」


「ああ、こっちはまか・・・」


「はっ」


洋一は言葉をとめた。

そこにはあるあずのない人影かあった。

和馬は洋一の視線をたどる。

振り返ると目の前でニット帽の男が和馬をじっと睨みつけていた。


「さっきからずっと見てたな。俺になんか用か?」


和馬はゆっくり洋一に視線を戻した。

洋一は首を振ってこちらに手招きする。

よく見たらニット帽の男は顔のわりに身長が高かった。小柄な和馬にとってさほど筋肉質ではないものの威圧感はあった。


「なんか文句あるのか?」


ニット帽の男はやたら機嫌が悪いのか、徐々に口調が荒くなる。

たまらず和馬も血が上り始めた。


「文句はないけどさ」


「じゃあ何を見てんだ。さっきから」


「俺は見てない。あんたが俺たちを見てたんだろ」


ニット帽と和馬の距離が近くなるのを見て、洋一が慌てて間に入った。


「じ、実はですね。私どもは人助けをしてまして。たまたまここを通りかかったんです。そしたらあなたが近づいてきた」


洋一の言葉にニット帽は首を傾げた。


「お前、何言ってるかわかんねぇ」


「お前バカだな!わかるだろ!俺は和馬とじいさん、あ!老師とストーカーにあってる女の子をさがしてるんだ!おわかり?お前になんか用ないんだよ!さっさとどっか行け!」


洋一はニット帽を睨みつけた。

和馬は少し驚いた顔をしてその場に立ち尽くしている。老師はイタズラっぽく笑った。







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