孝之の話
俺の話を聞いてほしい。
俺は大学生になったばかりだ。
これから学生ライフを謳歌してやろうと思っていた矢先、彼女にふられた。
理由はわからない。
なんでも好きな人ができたとか。
それなら仕方ない。
そう思うだろ?
「どんなやつ?」
「言う必要ある?」
「いや、言いたくないならいいんだ」
「知りたくないの?」
「言いたくないんだろ?」
「質問に質問で返さないでくれる。そういうとこが嫌いなの」
「あ、ごめん」
「で、聞きたくないの?私の好きな人」
「聞きたいよ」
「教えるわけないじゃん」
「そっか。ならいい」
「本当にいいの?」
うっとおしいな!黙れ!
お前はなんなんだよ!
この部屋から出てけ!
ごめん。
取り乱してしまいました。
君たちには関係ないのにね。
そんな面倒くさい女を家から追い出して俺は引きこもりになった。
しばらく大学には行っていない。
だってあいつと顔合わせるの気まずいじゃん。
まあ、親がお金払ってくれてるからそろそろ行かないとなーて思ってるんだけど。
引きこもりは引きこもりで意外と役に立つこともあるの。
うちは共働きだから昼間は誰も家に居ないのね。
そうすると突然ピンポーンって、インターホンが鳴るの。
誰かなーって出ると不動産関係とか保険関係とかまあ色んな勧誘がくるわけさ。
ひどい時なんて宗教じみた変なのもあって。
もちろん全部断ってるんだけどさ。
まあ、昼間も色々大変なんだなーて思ったよ。
高校生の時は、こんなことわからなかったもん。
で、今、俺はこの家を守ってる番人になってるわけ。
でも、最近飽きててさ。
俳句とか詩とか書いて暇潰してるんだけど。
なんかいい遊びない?
そんなことより学校行けって?
はは、そりゃ凡人の考え方だ。
楽しくなきゃ人生じゃないじゃん。
家の窓からサラリーマンの人とか主婦みたいな人とか、小学生とか、高校生とか、なんかみんなゾンビみたいに見えてさ。
人じゃないんだよ。
なんか操られてるロボット?
奴隷?
人間じゃないんだ。
まあ見方を変えれば一生懸命?
規則正しい?
そんな風に思うこともできるけど、俺にはゾンビにしか見えない。
だからこの家をゾンビから守るために俺は引きこもる。
それが正義だ!
ああ、腹減ったな。




