海月のうた
掲載日:2024/05/23
(短歌十首)
夜がまた
しなだれかかって来る香り
羽毛にくるまりひとりで眠る
その清い
息がこの身に触れるほど
小声でなにかを囁いておくれ
どこまでも
つづく月下のまっすぐな
小道を歩くみたいな純愛
想い出す
すべてが終わってさえいない
なぜこの時にあの海の日を
忘れない
微笑み悲しみ無償の愛
だから苦しいだけのほむらよ
まきついた
過去がつづいて吐息さえ
凍ってしまう夜を過ごすよ
もう古く
なってしまった闇の傷
でも消えないのが生きてる呪いか
てのひらに
ジンと痺れる熱烈な
罪も震える過去を載せたい
けれどいま
そんな記憶を忘れ去り
海に未来をみる夢をみる
ただ海を
ゆるりゆるりと泳ぎたい
夜風に吹かれて海月とふたりで




