私だけの彼
その日は東京で雪が降るほど寒い日だった。
自分の吐いた息が白く染まるのを見て、改めて今日が2月だということを実感する。
「寒いね!」と彼の目を見ながら言うと、彼はチラッと私を見て「うぜぇ」と短い返事を返す。目付きが悪くて、背が高くて…声の低い彼は皆から怖がられるけど、実は子供好きで、不器用で…とってもとっても優しい人。
これは私だけが知ってる彼
私が彼の目を見て「寒いね」と言うのは『手を握って欲しい』とゆう合図、彼もそれをわかってるから私の冷たい手をぎゅっと握ってコートのポケットに入れてくれる。
いつもならわかっていても握らないか、握ってもそのままだけど…「今日は大サービスだね〜」思わずにやつく
にまにましている私を横目で睨み、彼は「うぜぇ」と吐き捨てるとマフラーに顔をうずめる。
隠しているつもりだろうけど、彼の真っ赤な耳が見えている
恥ずかしいのに答えてくてれる…これも私しか知らない彼。
しっかりと繋いだ左手から彼の右手の温かさを感じる…
でも薬指の少し冷たい感触の方が私は嬉しかった
よく友達に「なんであの人と付き合ってるの?」って聞かれるけど…いいの!私は、私しか知らない一面を持った『私だけの彼』が大好きだから!
私は両手で彼の頬を挟んで、笑顔で伝える
「これからよろしくね!旦那さん!」