第三十三話 「勇者大戦③ 圧倒」
「ヒヒヒ!きたぞ!」
勇者軍の魔術師達が、騎馬隊を待ち構えていた。
ブレゲの予想通り、見せかけの退却をしつつ魔法陣を仕掛けていたのだ。
騎馬隊が一直線となって勇者軍に向かってくる。
「そろそろ魔法陣の発動場所だ! やつら、どんな顔するか見ものだぞ!」
魔術師達が、魔法陣発動の号令をかけようとした瞬間。
パッと空に火炎魔法が上がり、二股に分かれた。ブレゲの合図だった。
それを合図として、騎馬隊たちも二手に分かれたのだ。実に鮮やかな動きだった。
「なんだと! 魔法陣がバレていたのか!?」
騎馬隊達は、左右から勇者軍に迫る。
「近づかれるとやばい! 弓隊だ!」
魔術師達が下がり、代わりに弓隊が出てくる。
一斉に放たれる矢。しかし、騎馬隊はそれをものともしない。
「げぇ! ヤツら防御魔法をかけてやがる!」
聖騎士達があらかじめ、騎馬隊の面々に防御魔法をかけていたのだ。
「くっ……! 退却だ! 体勢を立て直す!」
勇者軍は今度は見せかけでなく、本当に退却を始めた。
「追いつかれるなよ! 全力で……ん!?」
勇者軍の前に一人の男が現れたのだ。
今の勇者軍が最も出会いたくない男……。
「アスト……レアス……だと!?」
よし、作戦通りだ!
ムドラズ隊とディウルス隊がうまく俺のところに追い込んでくれた。
「待ってたぞ。来い! デュナミス!!」
俺はデュナミスを召還した。
「やばい! 神殺しの器だ! 戻れ!」
逃げようとする兵士と、戻ろうとする兵士で勇者軍は押しつぶされる。
「ごほっ! てめぇら! どきやがれ……!」
「カオス・ギルディス!!」
俺は、魔剣カオス・ギルディスを呼び出し、勇者軍に叩きつけた。
「ぐぎゃああ!!」
間髪入れず、ムドラズ隊とディウルス隊が後ろから切り込んだ。
「ぎええええぇぇぇ!!」
見事なまでの挟撃。勇者軍は立ちどころに混乱した。
これで指揮系統が狂った! 今だ!
「聖騎士隊! 魔法攻撃!」
完ぺきなタイミングでブレゲの号令が響く。混乱した勇者軍にダメ押しの一撃だ。
様々な魔法が勇者軍に浴びせられる。
「勝機! 殲滅せよ!」
聖騎士隊も剣を抜き、突撃した。
「うおおおおおお!!」
その中にはコーネルも混じっていた。
「行きます!!」
コーネルの槍が、敵を貫く。
「うぎゃああああ!」
大勢は決した。あとは、各個撃破だ。
ディウルス、ムドラズの両部隊も、馬上から勇者軍たちを圧倒していた。
「……あの、ブレゲという小娘。末恐ろしいですね」
「フン。まだまだひよっこよ」
「ふむ、戦場では出会いたくない相手ですな。……ともかく、兄上よりは才はあるようですし」
ディウルスは皮肉を飛ばした。
「……やはり貴様は気に食わんな、ディウルス」
「それはそれは。私も同意見です」
「覚えておけ。次に戦場で会うときは貴様の首を取るときだ」
「それまで生きてらしたら、の話ですがね。ムドラズ」
「チッ」
ディウルスとムドラズは会話しながらも次々と勇者軍を撃破していく。




