(19)オークの驚異
今回は、アイリスちゃんの今後に関する話し合いとオークに対する対処法の模索の回です。
久しぶりに伯爵が仕事してます。
では、本編をお楽しみ下さい。
「あ、リヒトさんお帰りなさい」
「ただいま、今日は西門の警備担当なんだな。何時もお疲れさん」
「ありがとうございます。ところでそちらのエルフの女性は?」
「依頼中オークに襲われてたのを助けた。エルフの国のお姫様らしい。悪いがオーグに先触れ出してくれるか?」
「はっ!わかりました!」
じゃあ通るぞ?これ彼女の通行料だ」
金額一枚を手渡す。
「お預かりします」
「さて先ず服を手に入れに行くぞ?こっちだ」
アイリスを連れプリシラの店に向かう。
「プリシラ?居るか?頼みたいことがあるんだが」
「あらん、リヒトちゃん♡いらっしゃ〜い!待ってたわん♡」
勢いよくプリシラが抱きついてきたので、掌打で殴り飛ばす。
「図に乗るな変態!」
「はぅ♡そんな冷たい態度もス・テ・キ♡」
「たくっ…話が全く進まないじゃないか」
溜息をつく。
「おい、プリシラ。この子に合う服を見繕ってくれ。オークに襲われて服がボロボロなんだ」
アイリスを指差して言う。
「あら、可愛いエルフの子ね。わかったわん。任せてぇん♡」
すぐ様アイリスに似合うコーデを考えて持ってきてくれた。
若草色を基調としたワンピースタイプのドレスを着たアイリスが姿を見せる。
「どう?可愛いでしょう?」
「あ、あぁ、よく似合ってる」
思わず見惚れてしまった。
それ位アイリスによく似合っていた。
「ありがとうございます///リヒト様」
「お、おう/////」
つい恥ずかしくて赤面してしまった。
よく見ると、アイリスってすげぇ綺麗だよな?
やばい。
意識してしまった。
頭を振り気持ちを無理やり切り替える。
「後数着着替え用に選んでくれ。旅がしやすい服装が良い」
「わかったわん」
プリシラが選んだ服を着てるものも含めて購入した。
その足で、ギルドに向かう。
中に入り、クラウドのいるカウンターへと向かう。
「クラウド依頼達成の報告と素材の買取りそれに緊急報告がある」
「どうされました?」
「ボア・ヴァイソンだが個体数が異常なほど増えてた。中級の火魔法である程度個体数を削り、残りを個別に殲滅して来たぞ?目視しただけでも数十頭いた」
「そんなにですか?」
「あぁ、それに西門の近くにオークが出た。彼女が被害者だ。オークに襲われていた。因みにエルフの国の第18王女だそうだ。オーグ…アウグスト伯爵には先触れで知らせてある」
「エルフ国の!?わかりました。アンヌ、リヒトさんたちの依頼完了報告の処理と素材の買取りお願いできますか?私は、ギルドマスターに報告に行ってきます」
「わかりました」
アンヌがクラウドの代わりに受付業務をしてくれた。
「ありがとな?アンヌ」
「いえ、でも大変でしたね?お怪我はありませんか?」
「あ、はい、大丈夫です」
アイリスを気遣ってアンヌが声を掛けると、にっこり微笑んでアイリスが大丈夫だと答える。
因みにプリシラの店を出るときに、コートは返してもらった。
しばらく雑談してると、クラウドが戻ってきた。
「リヒトさんお待たせしました。奥のギルドマスタールームへどうぞ。マスターがお待ちです」
「わかった。話してる間に査定を頼む」
「畏まりました」
ギルドマスタールームに3人で向かう。
ノックすると中から入るように言われ中に入る。
「邪魔するぞ?ギルマス」
「ご苦労だったな。リヒトにクロト。そちらがエルフのお姫様か?」
「あぁ、第18王女だそうだ。名前はアイリス。何故あそこでオークに襲われていたのかはまだ聞いてない。オーグかあんたを交えてからの方が良いと思ったから、そのまま連れてきた」
「そうか、わかった。
俺はこのキリリカの街の冒険者ギルドのギルドマスターを努めているヴォルフと言う者だ。災難だったな?アイリス王女」
「えぇ、転移のトラップを踏み抜いてしまい、気づくとオークに襲われておりました。リヒト様方に助けられたのは本当に幸運でした」
「転移トラップ?何でそんなもの踏み抜いたんだ?」
「エルフの国の近くに森型のダンジョンがあるのですが、そのダンジョンには凶悪なトラップが存在するのです。それがランダムで転移させる転移トラップです。お恥ずかしながら、ダンジョン探索中にうっかり踏み抜いてしまいまして…」
「それであの場所に転移してしまったと、しかも間の悪い事にオークがたまたまそこに居たとそういう事か?」
「はい」
要点をまとめて言うとアイリスが恥ずかしうに頷く。
また、面倒な事になったな。
て言うかどんだけ不運なんだよ?
大丈夫か?このお姫様。
何気に心配になってきた俺は、心配そうにアイリスを見る。
「とにかくアイリスを故郷に送るにしろ領主であるオーグの判断に任せるしか現状俺たちにできることはない。ここにいる間は、俺とクロトが君を必ず守ると約束しよう。安心してくれ」
「はい、リヒト様」
嬉しそうに微笑むアイリス。
話していると、ドアがノックされた。
ヴォルフが入れと言うと、クラウドが中に入ってくる。
「ギルマス、アウグスト伯爵閣下がお見えになりました」
「わかった。お通ししろ」
ヴォルフが許可するとオーグが中に入ってきた。
「リヒト、クロト大変だったようだな?お帰り。無事で何よりだ!我が友よ」
オーグが抱きつきながら言う。
「あぁ、ただいま。オーグ。心配かけて悪いな」
「ただいま〜」
「うむ!お〜クロトそれが新装備か?良く似合っているではないか」
「ありがとう。オーグ」
「そんな事よりも、王女様に挨拶しなくていいのか?オーグ」
「おぉ、すまん。アイリス王女、お初にお目にかかります。私はこの国の辺境伯爵を努めます。この商業都市キリリカの領主のアウグストと申します。大変な目に合われましたな。国には我らが無事に送り届けますゆえ、それまでは我が領地でゆるりと休まれませ。我が屋敷に招待いたしましょう。滞在なされると良い」
「ありがとうございます。アウグスト伯爵。感謝致します」
俺はオーグに掻い摘んで顛末を説明した。
オーグはそれを頷きながら聞く。
「わかった。リヒト。オークが街の近くに現れたということは、そう遠くない場所に奴等の巣があるのかもしれん」
「それもあるが、アイリスを襲ってたオークは、妙に統率の取れた襲い方をしてた。
群れの中に上位個体がいるのかもしれない。例えばハイオークとか。悪く言えばジェネラルやキングも居るかもしれない。直ぐに対処したほうがいいぞ?オークはゴブリンと並んで繁殖力が強いからな。対処が遅れると取り返しのつかないことになりかねない」
「そうだな。ヴォルフ偵察の緊急依頼を出す。すぐ対処してくれるか?」
「わかった。すぐ対処しよう」
「あまり深入りはしないように注意喚起しておいた方がいいぞ?ギルマス。でないと二次災害になりかねない」
「そうだな。Cランク以上の冒険者に指定して注意喚起しておこう」
その場で、オークに対するおまかな対処を決め、その場は解散した。
俺とアイリスは、オーグと共に屋敷に戻った。
久しぶりの伯爵登場、如何でしたか?
なんだかきな臭くなってきましたね〜
これからどうなっていくのでしょうかか?
それは作者のみぞ知ると言う事で、次回は、アイリスちゃん冒険者になる!です。
お楽しみに(笑)