(14)鍛冶屋のドワーフ
今回は前回告知通り鍛冶屋のドワーフが登場します。
職人気質で気難しいが、気の良いドワーフさんです。
では本編をお楽しみください(笑)
職人街のある一角に俺たちは辿り着いた。
中からは鉄を打つ音が響く。
セインが中に声をかける。
「ごめんください!」
鉄を打つ音はするが誰も反応する様子はない。
あ~これは、作業に集中してて周りが目に入ってない状態かな?
多分聞こえてないんだろうな〜と考えていると、セインが再び声を張り上げる。
「あの!すみません!どなたか居られませんか?」
「セイン、多分店の主は作業に異常なまでに集中してるから、気づいてないんじゃないかな?相当な職人気質な人だと思うから邪魔すると機嫌損ねるかも…」
「だからといって、客を無視するのは如何かと思いますが?」
「セインの言い分はわかる。けどさ、職人気質が強い職人ってのは人種関係なくそういうもんなんだよ。前神経を一点に向け、集中力を高め、満足する品を創り出すことに命をかける。それが職人ってもんだ。俺の国にもそういう職人は少なからずいたし…」
「そういう物ですか?」
「無から何かを作り出そうとする者は往々にしてそう言うもんさ」
「ほう、良く職人ってもんを理解してるじゃねぇか?坊主」
野太い声が響いた。
見ると、俺の身長より低い小さな丸っこいヒゲを蓄えたおっさんがいた。
これってもしかしなくても。
「ドワーフ?」
「如何にも儂はドワーフの鍛冶屋ガルフじゃ。何か用か?小僧」
「仲間の防具一式と武器を新調したいんだ。このクロトのね」
クロトの肩を叩く。
「この坊主の防具と武器か?」
「あぁ、俺は今の装備に満足してるし問題無いんだが、クロトは本人のレベルと装備が噛み合ってないんだよ。装備のレベルが低すぎて合ってない。だから、新調したいんだ」
「ふむふむ、なるほど確かにお前さんの言うとおりだな。今のこの防具や武器は、この坊主に合ってない。装備のレベルが低すぎる」
一通りクロトの防具と武器を確認して頷くガルフさん。
「頼めないかな?ギルマスからあんたがこの街一の職人だと紹介されたんだが?これ紹介状」
「冒険者ギルドのギルマスからか?」
紹介状を受け取り内容に目を通す。
「ほう、お前さんがライラックを倒した凄腕剣士か…わかった。良いだろう。ヴォルフ坊からの紹介だしな。受けてやろう」
「ヴォルフ坊?」
「ギルマスの名じゃよ。知らんかったんか?」
「名前教えてもらってなかった」
「まったくヴォルフ坊め。自己紹介もちゃんとせずに話進めたんじゃろ?」
こくんと頷く。
ガルフさんは呆れたように溜息をつく。
「とりあえず、お前さんクロトと言ったかの?防具一式と武器を儂に預けてくれるかの」
「あ、はい」
「どのくらいで出来る?」
「明日迄には仕上げよう夕刻に取りに来たらええ」
「わかった。じゃあ頼む」
「任せておけ。ところで坊主、お前さんの名を教えてくれんか?」
「悪い。失礼だったな?俺の名は笠霧理人だ。理人が名で笠霧が家名だ。リヒトで良いよ」
「リヒトか。良い名じゃな」
「ありがとう。親がくれた大切な名なんだ」
にっこり微笑んで答える。
ガルフに防具一式と武器を手渡し、店を後にした。
さて次は…。
「次はどうするの?」
「この辺でいい服屋ってないか?」
「店主が変わり者ですが、質が良くリーズナブルな服を取り扱う店がありますよ?」
「変わり者って何?変なのか?まさかムキムキマッチョなオネエとか?」
「よくわかったね」
俺が戦々恐々としながら言うと、笑顔で団長さんが答えてくれた。
なんで、そんな良い笑顔なんだよ?
こんちくしょうめ!
まぁ良い我慢して行くか。
溜息を付きながら、店に向かう。
如何でしたか?
頑固そうですが気の良さそうなガルフさん。
そして名乗り忘れるうっかり屋さんのヴォルフさん。
対照的ですね(笑)
次回はムキムキマッチョなオネエが登場します!
かなりキャラが濃いと思うので心して読んでください。
ちなみにクロト君とリヒト君はオネエのお気に入りになります。
頑張れ、二人共。
では、次回をお楽しみ(笑)