猫の腹
グラスに映る部屋
光の周りに形が浮かび
異様な部屋として
グラスの側面に横伸びしている
色の付いた酒を注げば
部屋中がその色になる
内側から見るか、外側から見るか
照明が柔らかに照らす
模様替えをしながら柔らかに照らす
気泡の行方など
誰も気にとめなくて構わない
煙よりも察知され難いのだから
無いことになる
ウィスキーの香りと
入れたくない氷の霜が
炭酸水に纏められて
映画館で
季節の変わり目を見ているみたいに
チカチカとする
テレビに繋げた外付けHDDが
映写機みたいに思えた
熱だけはあるのかもしれない
ソファーの上で寝こけた猫は
寝ぼけて
人間の服をモゴモゴと甘噛みする
人に近いということは
悲しいことかもしれない
気性が激しいことが
当たり前の世界だと
画面を見ながら思えた
何処か
遠くに居る猫との違いは
環境を与えた側の問題である
いくら大切に扱おうと
それは変わらない
最後まで面倒を見ても
変わらないのである
ハタリと起きてトイレに行き
水を三口飲んで
またソファーで寝る
知ることをしない自由と知る自由と
ウザい事実と納得したい事実みたいな
何処からが本当で
どこからが嘘なのか
全く分からない存在同士が
一緒に居ることが面白いのである
その面白さを作っている存在は
大切ではあるが
冷たい繋がりでもあり
なんとかして
プラス、マイナスをゼロにしている
そんな状態だろう
大切にしたんだからという理由で
エゴが無くなる訳ではないのだから