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ウェアウルフで魔女な彼に  作者: MRS
第一章
11/37

第十話 平凡だった日常

 ───緩やかな朝日が町を照らし出す。

 都市を囲む大きな石壁を越え、内側の家々照らす陽の光。照らさ

 れ出した道を兎にも似た獣人達が新聞や荷物を抱え走り周り、建

 ち並ぶ店ではシャッターを開け、開店の準備に勤しむ店主達の姿

 も。家々の煙突からは朝ごはんの準備だろうか、香り立つ煙が幾

 つも立ち上り初めている。

 町が微睡みから目覚めんとする頃。かの学園へ通う少女の家にも

 また、柔らかな朝日が差し込んで行く。




 学園の図書室、その地下で恐ろしい体験をした次の日。ああもう

 次の日が来てしまった。あんな体験をしても、寝るのに時間がか

 かったと言うのに、何時もの時間に目が覚めてしまう。


「……ゥ」


 ベッドの上で目の辺りを指で軽く擦ると、指先で涙の痕に気が付

 く。悪夢にうなされての夜泣き痕なのか、それとも寝るまでにし

 た思い出し泣きの物かも。


「(そりゃ泣くでしょ。あんな体験したらさ……)」


 起き上がりもせず考えてしまうのはつい昨日の事。

 図書室の隠された扉、地下禁書庫、盗賊対策らしい契約精霊。容

 易く魔法を行使して見せたウェアウルフに、自分の嘔吐。何が一

 番堪えているかと考えれば、嘔吐が一番心に来てる。“グッサ

 リ”とね。

 地下階段を駆け上がり……いや正確には一飛びだったけども。そ

 の後精霊の知識もあるらしいウェアウルフから。

『契約の範囲が地下なんだろ』

『攻撃の性質を見た限り殺すって感じじゃ無かったぽいなー』

 とか何とか説明もされたけれど。その時の自分は一切耳に情報が

 入って来ない状態だった。色々なモノが内側で混ざり合い、吐き

 出す一秒前だったから。そして見事一秒後には全部吐き出しもし

 た。はは……。もヤダ。


「(しかも大丈夫かと心配された時に自分『スッキリした』何て応

 えたちゃったし。何だよスッキリしたってぇ!実際そうだったけ

 どさあ! ゲロして『うーんスッキリ!』って!

 最悪でぇ!最悪にぃ!最悪だったあああぁぁぁもぉおおお!)」


 両手で顔覆う。またちょっと泣きそうかも。


「(うぅぅ。……ああでも。自分が吐いた後、アイツって対処が素

 早かったなぁ)」


 弱っているのか頭が起きてないのか。思い出しは続く。

 自分の嘔吐にアイツは驚きながら『待ってろ!』とだけ言って何

 処かに行ってしまい。一人残されて急な心細さとか、そんな物を

 微塵も感じ無いで待っていると。何処から調達したのか着替えと

 掃除用具を持って帰って来たのだ。着替えは勿論女性物。

 一瞬“何でお前が女性物を?”と邪推しちゃったけど、受け取っ

 た物を良く見れば売店のタグ付き。アイツは売店まで走って買っ

 て来てくれたって事だ。お礼を言ってウェアウルフから着替えを

 受け取り、広い空間の方で着替え戻ってきた時には、自分の嘔吐

 跡の掃除すら綺麗に終わらせてて。自分の吐瀉物を掃除させた羞

 恥に、精霊から逃げれたとか。諸々の所為でちょっとまだ呆然と

 していた自分は全てアイツに促されるままに帰りの準備をして、

 帰り、帰ったのだ。……()()()()()()()()()()()()

 自分の思考と心に余裕が戻り、現実を直視できたのは家前に辿り

 着いた時で。

『……! こ、此処まででいいから!』

 現状を秒速で把握した自分は咄嗟にそう言って、家の扉を叩こう

 としていたアイツを必死に、全力で止め。大丈夫だからと連呼し

 ては心配するアイツにお帰りいただいた。……勿論感謝の言葉も

 付けて。

 その後。家に入ると妹が二階から丁度下りてくる所で。『お姉ち

 ゃん今誰かと話してた?』と。そんな一言を発した時は心臓が一

 瞬止まる思いだった。ホントに。


「(本当に、本当に危ない所だった。……いや、何が危ない所だっ

 た?)」


 昨日帰宅してから眠るまで。ご飯の時も、お風呂の時も、ずっと

 ずっと繰り返されて来た考えの反復。

 自分よりも詳しいらしいアイツの言葉を信じるなら、命の危険は

 無かったらしい。だから、学校での出来事を家族に話したりはし

 なかった。態々必要の無い事を家族と話したりしないし。……言

 ったら心配されるかもだしね。


「(……アイツ)」


 頭の中で“ぐるぐる”と考えは巡る。光景を共に。

 禁書庫で薄明かりに照らされ銀色に輝く後ろ姿。不気味な精霊を

 簡単に吹き飛ばす魔法。試験で最下位、ゼロ点って言われてたア

 イツ。でも実は字が読めてなかっただけで、正式な試験では筆記

 だけととは言え堂々の一位何か取っちゃって。自分を沢山巻き込

 んで、平穏だった、静かだった学園生活を狂わせた。……助けて

 くれもしたウェアウルフ。

 筆記の結果を信じられなかったヒトは多いと思う。でも、あの

 場所で見せられた実力は───全てが完璧に本物だった。アイ

 ツは本当の魔法が扱える。

 嘔吐してまった自分の為に服を取りに行ってくれた、アイツが、

 苛つかせるアイツが、あんなにも恐ろしい精霊を事も無げに倒し

 た事を含め、全ての衝撃は大きくって。


「(あぁ~一週間ぐらい寝込んで過ごしたいぃ~)」


 頭で情報の整理がおっつかない。胸の辺りはずっと“ちくちく”し

 てるし。

 学校へ行くのは正直まだ怖い。怖くて当然だと思うし。

 精霊にはあの後追いかけられなかったけど、あの出来事がもし学

 園にバレていたら? 彼処が本当に禁書庫だったとしたら、立ち入

 った事自体が普通に犯罪レベルだもん。何より。


「(アレどうすんのよ……)」


 顔を覆った指の隙間から視線を自分の机の上、布に包まれた物

 体、正確には一冊の書物。禁書庫からずっと抱きしめ持ち帰って

 しまった禁書庫行き指定レベルの、それも多分各管理局に通報し

 ないと行けない程で、最悪魔女会何かが出てきてしまうかもな魔

 導書。いやもう魔導書なのかすら分かんない魔法道具(マギアイテム)

 いやいや、自分が勝手に禁書庫だと思っているだけで、もしかし

 たら違うかも知れない。うん。きっと彼処は禁書庫じゃなかった

 んだ! あんな簡単に侵入できちゃったし!

 そう思い込み、考えて、願う事で。思考は一時停止を繰り返して

 きた。

 再起動した、助けてな思考へふと浮かぶのはあのウェアウルフの

 姿。


「(何でそこで浮かぶんだよお前! あぁー考えが纏められない、

 自分で自分の感情を制御できて無い気がする! それもこれも全

 部! 全部お前の所為だぞ!)」


 浮かんだ姿に笑顔? だと思う表情のアイツにイラつきが増す。

 高ぶった感情が自らの体を起こし、使っていたまくらをぶん投げ

 させる。誰も居ない空間へ飛翔し、壁に当たり落ちるまくら。


「……バカみたい。いやホントにバカだ」


 冷静に考えなさい。

 学校を休めば怪しまれるし、何よりバレているかどうかを知るに

 は行くしか無い。あの学校へ。

 やるべき事をだけを考える様に努め、ベッドから降り、着替え。

 投げたまくらを拾って叩いてベッドに戻しては、今日もあの学園

 へ向かうんだ。少し足取り重く、気の重さをも引きずりながら。

 それでもと朝の支度へ取り掛かる───


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 ───気の重さを理性と意思で引きずり回し。平静を装いながら

 学校教室前へ到着。学校へ入ってもし警察、もしくは衛兵さんと

 か魔女様が居たらどうしよかと思ったけど、此処まではそんな姿

 も様子も全く無し。

 立ち止まる様な事も無かったので意を決し。扉を開き中へと進

 む。

 教室でも得に昨日の出来事が噂に成っている気配は……無い。そ

 もそも一学年は現在自由出欠と言う休み期間で出席率も少し疎ら

 なのだけど。それでも。


「……」

「(やっぱ居るよねー……)」


 自分が座る席で何時もの様に片肘を付き、目を閉じているウェア

 ウルフの姿は今日も健在。……ほ。


「(いや何?何“ほっ”としてるんだ自分!! しっかりしろって

 ば!)」


 頭を一度振って雑念を散らし、自らの席へ向かう。


「……!」


 途中目を瞑ってたくせに此方へ目ざとく気が付き、壁際の段差を

 上り席の側へ付く前には、アイツが今日も席を譲ってくれてい

 た。その前、その前の前と同じ様に。

 態々譲るぐらいならやるとよ思いながら、自分は今日も譲られた

 席へ腰を下ろす。鞄を椅子の下に収めては。


「うっすおはよう」

「……おはようございます」


 隣から毎日と飛んでくる挨拶へ返事を返す。正面を向きつつも横

 目でウェアウルフをチラリ。挨拶の済んだアイツは正面を向い

 てぼーっとしてて、その様子に別段変化は見られない。

 まるで昨日の事など異にも介してないらしい。此方は恐怖したり

 思考が停止したりと、散々だったと言うのに。


「(そもそもコイツは一体何者?)」


 分かってる情報で言えば編入生で獣人、ウェアウルフ。追加の学

 力試験では奇跡のゼロ点を叩き出し。でも初等部と中等部を越え

 て此処に、学年級を貰えるだけの実力を持っていて。しかもこの

 前の筆記だけとは言え正式な試験を一位で突破。この学園での試

 験だったので、不正の疑いは低い。


「(あの出来事はウェアウルフへの常識抜きに、“筆記”だからと

 言う事で同級生達は皆納得したみたい。だけど)」


 自分は見た、魅せられた。魔法が不得意とは到底思えない、本物

 の魔法、破壊力を伴った攻撃魔法の行使、冒険者ギルドのヒトと

 かが使う様な魔法を。

 以上の事から推測、推測って呼べる程は成り立ってないけど。そ

 れでもと分かる事は、一学年級で見れば自分すら抜いてのぶっち

 ぎり一位な実力者。現在コイツと同級生は勿論、自分も含めて実

 力には大きな差があるって事だけはいやでも分かる。分かった。

 だから筆記で当然の様に一位を取り、図書室の秘密にも気が付け

 たのだろう。だってもうあんな魔法が使えるって事は、当然知識

 も技術も同じレベルで持ってるって事だもん。

 自分には魔法に関してちょっとだけ特殊な事情がある。だから同

 級生に自分が負ける、劣るとは余り思っていなかった。けれどコ

 イツには大きく引き離されるだけの実力を見せられ、本物の魔法

 使いと言う物を認識させられた。


「(何処でどう学んだらそう成れるんだ? と言うかもう上の学

 年級か卒業生レベルなんじゃない? てか待って、コイツが付け

 てるシルバーアクセって……もしかして全部触媒系なの!?)」


 自分が自分の考えに夢中に成っていると。


「なぁなぁ」

「ハヒッ!?」


 いきなり振り向き顔を近付け小声で語りかけて来やがった。

 思わず声が裏返っただろうが、クソ。


「昨日の探検、楽しかったよな」

「───」


 “ニッ”と尖った口を笑わせる、多分コイツの笑顔らしい表情を

 見せるウェアウルフ。楽しい? あれが楽しい?こ、ここコイツ

 はバカなのか!?

 何事かの感情が自分の内側で大渋滞を起こし。言葉と感情に詰ま

 ってしまう。そうして絶句する自分に『ん?』『ん?ん?』とか

 超絶に鬱陶し事この上ない様を見せられていると。


「おはようございます皆さん」


 先生が教室に到着してしまう。何か言い返してやりたかったが、

 担任の登場でそれは後へと追いやられ。テレーズ先生からもしか

 したら何か言われるかもと“ヒヤヒヤ”する思いが湧き上がる。

 けれど。


「では本日はお知らせにもありましたが───」


 前に言われた通り朝の軽い挨拶の後。自主的に勉強をしたい生徒

 へ、学校施設で新たに利用できる場所の説明がされるのみで、こ

 れから一週間ほどは出欠確認のみ。後は自習自主見学が主になり

 ます。との事。

 幸いな事に図書室での出来事は一切話題に出なかった。“キュ

 ッ”としていた心臓が徐々に解れるのを感じる。あぁ良かったぁ

 ぁぁ。


「───以上となります。休みの有意義な過ごし方としましては、

 英気を養うのは勿論。授業再開までに学園内を見学すると良いで

 しょう。試験後の皆さんには二階で行われる授業、その全てへの

 見学権限が与えられます。きっと皆さんの知識欲、好奇心、想像

 力の全てを大きく刺激してくれる事でしょう」


 言って先生が自分達生徒へ視線を飛ばし。


「結構。では朝の集会はこれまで。また授業再開の日までごきげん

 よう。ああそれと、見学先では皆さん行儀よく、ですよ」


 朝の挨拶を終えた先生は笑顔で教室を退室。

 先生の姿が扉の向こうへ消えた途端、教室にはクラスメイト達の

 賑やかな声が湧き上がる。

『何処を見学しようか?』

『やっと僕たち本格的な魔法を学べるんだ!』

『薬草学、植物学の授業は……えっと……』

 等など。皆が皆希望に満ちたこれからの魔法学園生活に明るい期

 待で胸を膨らませているらしい。

 自分はと言えば学園に禁書庫での出来事がバレて無くて、心底安

 堵していた。バレていたら退学、もしかしたら法で裁かれてる所

 でもあり。最悪魔女会や評議会に軟禁されてたかも知れないのだ

 から。禁書庫を荒らしてないと、そう分かってもらえるまで。

 あくまで最悪を想定してだけどね。ああでも、ああでも現実にな

 らなくてホンットに良かったぁぁぁ!


「ふぁ~あッ」

「(コイツは呑気だな。クソが!)」


 隣で欠伸何か……うぇ!?牙鋭ッ! ああクソ、本当に何も意に介

 してないんだな、お前! ……まあこんなだから。


「「「……」」」


 少なくなった視線の中に少しの敵意が混じり初めてる事には、全

 然全く気が付いていないらしい。

 編入から日数を重ね皆慣れからか、それとも実力を示したから

 か。奇異の視線は極端に少なくなっていた。思った以上に陰湿な

 思いを持ってる同級生が居ない事には素晴らしいの一言。

 ただし。この学園は魔法を学ぶための名門で、此処に通ってる連

 中の中にはプライドの高い連中だって混じってるんだ。あの一位

 獲得はそう言った連中が無駄に、大事にし過ぎているプライドへ

 僅かにも泥を付けたかも知れない。

 まあ自分には一切関係のない話し。自分は三位だもん。尊大な対

 応される事も無いでしょうさ。


「(ん? 考えてみるとコイツを抜いたら、実は一切順位変わって

 ないのか?あれ?)」

「っしゃ! どっか見に行っか!」

「!(うるッッッさ! お前はもっと危機感を持てよ!周りとの軋

 轢は学生生活がやり辛くなるだけだぞ。……あれあれ?もしかし

 て自分、今コイツの心配した? ッ!バカがよぅ!)」


 自分で自分を叩きたい気分。二重の意味で痛いから叩かないけ

 ど。

 気を落とす自分にも、周りなどにもお構いなしに何処へなりと向

 かおうと席を立つウェアウルフ。図書室のあんな不思議に気が付

 けるのだから、決して愚鈍な訳じゃない。少しは気を周りへ配れ

 ばどうとでもなるだろうに。……いや。いやいやいや。また何コ

 イツの事で心配なんかして思考を熱くしてる訳?

 こんなヤツ知るか!知るか知るか知るか知るか! そうだ、連れ

 立って行くお友達も居ないような奴、学園生活なのに惨めな──

 ─ってそれは自分に帰ってこないか!?


「(ぐあぁああだからもう考えるな。考えるな考えるな───)」

「ティポタ」

「はひィ! ───ッ(ああああまた声上擦ったぁぁああ!)」


 何急に話しかけてきてるんだよ、つーかまた、いやもうずっと

 呼び捨てなんですけど!? イラつく、あーイラつくッ! 胸で

 イラつきが“ちくちくちく”するんだよ!ぅバカがッ!

 突然此方に声を掛けてきたコイツはそのまま。


「良かったら一緒に見て回ろうぜー」

「ッ!?」

「まあその。誰も居なきゃだけどさ」

「ッッッ!(ッグ。居ねーよクソがぁぁあぁあああああああ!)」


 目的は見学のお誘い。友達でも何でも無いんだ、見学ぐらい一人

 で行けよと思う。心から。……いや待てよ。


「いいですよ」

「お! じゃあ行こうぜ行こうぜ」

「はい。あ、荷物があるので先に廊下で待っててくれます?(一

 緒に出る所を見れられたく無いからな。ヘイトが此方にまで飛ぶ

 し、飛ぶから)」

「おう分かった。んじゃ廊下で待ってるぜ~」


 これはチャンス。チャンスかも知れない。

 この正体不明な編入生の事を少しでも探って、今後の対策に使お

 う。だから、大きくなるイラつきにも負けずコイツの事を探って

 やろうと決めた、決めたんだ。

 イラつきが収まるのを少し待ってから鞄を手に取り、廊下で待っ

 て居たウェアウルフと一緒に。魔法学園の授業を見学して回る事

 にした───


 ───編入生なウェアウルフと並んで廊下を歩く事暫く。


「今の授業も面白そうだったよなぁ」

「そうですね(毒草の見分け方。“試食付き!”とか見て面白そう

 だと思うのは、多分お前だけだろうな)」


 何だよ試食付きって。しかも強調されて無駄に可愛いポップまで

 付けやがって。……取ったらどんな授業になるんだろう。


「(いや冷静に考えて無しでしょ。取るなんて選択肢)」

「つっても。見て回れる所増えてる訳でも無いし、この辺りで探さ

 ないとか……」

「? いえ、見学できる範囲はもう少し広いですよ?」

「ん? 何でだ?」


 話を聞いてなかったか、もしくは持ち帰った封筒の中身。お知ら

 せに目を通してないかだな。……両方な気がするし、当たってそ

 う。


「えっとですね───」


 こんな、コイツに筆記で負けたとか思うと泣きたく成る。

 自分は仕方無しに、いやいやで、同仕様もなく、説明してやる事

 に。

 自分達が持っている権限、権利は定期的に開かれる試験、それを

 超えると権限が順次追加されて行く。学年級を授与で全ての権限

 が開放されている訳では無いからね。後は別に権限権利を増やせ

 る手段もあるのだけど、それは一旦置いておこう。

 そして。最初に学年級を貰う一年級で言えば、一回目の正式試験

 の後。新たな権限が追加されるのだけど。その権限は塔二階での

 移動範囲が広がり、実験棟等も見て回れる様になる。更に一学年

 が休みの間は二年級、つまり先輩方が二階実験棟で授業を受けて

 くれる。見学の為にね。なのでもっと色々な授業が見学できるっ

 て。


「───そう言う話しなんですよ」

「おぁー……。ティポタが居てマジよかったぜ。この辺だけだとオ

 レ退屈で帰ってたかもしんねー。いやさっきの毒草食ってたかも

 な!」

「はははー(うるせえもっと話聞いとけよ。それと毒草食べたがっ

 てんじゃねーぞッ! 万が一があったらどうすんだ、笑えないで

 しょうが!クソ!)」


 説明を終え。自分達は折角なのでと実験等へ向かう事に。そして

 授業中らしき適当な教室一つへ足を踏み入れて見る。

 こうして自分が一緒に見学してるのは、コイツに話や質問を振っ

 て何か知れないかと、そう言う目的だからだ。……なのだけど、

 自分には勿論見学への純粋な興味もちゃんとある。まあ、コイツ

 が言った通り誰か誘ってとかは一切無く、独りで見て回る積りで

 もあったけどね。だから誘われてちょっと嬉───かったとか、

 そんなは一切無いから。こう言うのずっと一人だから憧れてたと

 かも、そんな考え思想憧れは微塵も一切無い無いの無い。

 頭の中で独り思考が駆け巡るも、教室に入って教壇を見ては。

 思考が途端に落ち着く。


「えーこの様に。火の魔法と風の魔法を深く理解し、魔法構造体を

 上手く相互作用する様組み立ててやれば、非常に少ないコストで

 ───」


 階段席の一番後ろ。立ち見から見やる教壇では、火の渦を操り説

 明する男性教員の姿。

 魔法技術の発展した現代。魔法は日常に溢れていて、魔法を使え

 ないヒトはまず居ない。ただし、本当の魔法を使いこなせるヒト

 は決して多くない。

 魔法技術は不思議の極み。超常の力。魔法を自在に操れるヒトこ

 そが真の魔法使いであり。


「完全に制御されてるな、あの火と風」

「ほんとにね……(あの先生って“魔女”なのかな?)」


 極めた者へ与えられる、魔法を扱う者にとって最上級の称号、魔

 女。

 魔道具で魔法を扱う人々にとって魔法使いとは自分達で、魔道具

 作り出す、同じ魔道具なのに規模や用途がガラリと変わってしま

 うヒト達、魔法技術専門の魔法師とか魔法技師さん達を良く“魔

 女みたいだー”って呼んで頼るけど。そんな魔法師さん達が真に

 頼り、憧れ、国やギルドすら協力を願う相手こそが───本当の

 魔女様。

 称号を与えられた魔女は別格の存在。魔女の称号を持てたなら職

 に困る事は勿論無く、数多の権限が与えられる魔法文明社会最優

 最高最上の社会ステータス。そう、自分は魔女とはステースに過

 ぎない。そんな認識だった、ずっと。だけど。


「───火の渦を作り出したり。シフトして炎を巻き上がらせたり

 と!」

「「「おおおー!」」」


 手のひらサイズの火の渦が大きな炎の柱と成って天井付近で立ち

 昇る。

 本当の魔法が目の前で動き、煌めいている。感動って感情を久し

 く忘れてたらしい自分には、まさにこれこそ感動的な光景。

 教員が炎の柱を渦に変え、拝聴する生徒達が片手に火の玉を持っ

 て静観。

 何て、何て神秘的な光景なのだろう。こんな不思議な光景は普通

 では見れない。冒険者ギルドに登録できる本当の魔法使いとかが

 扱うべき魔法。普通のヒトが魔道具で火を起こすのとは規模から

 何から全部違う。

 ああこれこそが本当の魔法なんだ。絵本やおとぎ話、お祖母ちゃ

 んから聞いて想像した通りの、ずっと昔に夢見た───本物の魔

 法達。感動の光景の中で、昨日の禁書庫でのウェアウルフの姿が

 脳裏に過る。


「な、な。あの魔法ってさ───」

「分かってる、分かってるから(自分も興奮してるって)」

「あ?マジかよでも───」


 隣のウェアウルフが興奮した様子で自分に話しかけてきた所で。


「見学者諸君。見るも驚くのも構わないが、私語に興じるのはいた

 だけないぞ」

「あ、悪い」

「(ヤバッ)」


 教員からの視線が此方───ではなく。隣へと突き刺さり。


「「「……」」」


 同じ見学者から更には授業中だった先輩方と、教室中の視線が此

 方に集まっている。クソが! 今自分には珍しいセンチメンタリ

 ズムに浸ってたのに!


「折角だ。見学だけではなく授業にも参加してもらおう」


 言いながら男性教員は作り出した炎の渦を片手に収まる炎の玉へ

 変化させ、再び此方を見遣り。


「この、火の魔法を御するには一体何が一番必要だと思うかな?

 風かい? それも魔力? ああ魔法構造体構成段階での工夫か

 な?」


 指を刺されてるのは───ってこっちかよ!何でだよッ!

 クソ、隣に居たからか?話しかけられた相手だからか? ちょっ

 と返事しただけじゃん!クソクソクソが!

 自分は頭をフル回転させ全力で解答を、答えだと思うものを絞り

 出す。


「えっと。はい。火の魔法で重要なの、は。そうですね、熱エネル

 ギーです、いやだと思います」

「! 驚いたな! 一学年級には意地悪な、答えられないと思った質

 問だったのだけど。素晴らしい!

 どうやら彼女は火の魔法について詳しい。彼女が僕の授業を受け

 時にはきっと良い生徒になるだろうね! 先輩諸君、君たちも負

 けては行けないよ?」

「「「……」」」


 咄嗟だったので真剣に考えて応えてしまった。しかも正解だった

 らしい。注目されたくないに注目が此方に集まっている。褒めて

 くれたらしいけど、自分には逆効果っぽいです先生。クソが。


「では私語を慎めなかった君には───」

「“理解”」

「───なんだって?」

「どんな魔法でも一番大切なのは勉強して、学んで、使って。んで

 魔法への理解を深める事。だろ?先生」

「───」


 男性教員絶句。その事で。


「……いやそれ当然じゃね?」

「だから此処に学びに来てるんだから」

「初歩過ぎて先生呆気に取られちゃったよ……」


 周りから笑い声が漏れてきた。そりゃ当然で大前提な事を自信満

 々に応えたら、こうなる。勉強が一番大事ですって、前提段階の

 答えじゃ困ると思う。いや正しいけどもトンチじみてるでしょ。


「あ、れ? 違っちゃった感じか?これ」

「……次、次行こう!」

「おおお?」


 周りからの視線や笑い声。コイツは気にしてないが、自分は気に

 なる。なので一刻も早く、彼らの記憶に残る時間を減らす為にも

 移動を提案し。逞しいウェアウルフの腕を掴みさっさと教室を後

 にする事に。

 速歩きで、出来るだけ遠退こうと廊下を歩いている居れば。


「あーでも面白かったな、あの授業! 風と火が良い感じで」

「(全くコイツは───)」

「そこの君、ちょっと待ってくれ!」

「「!」」


 授業中の時間だからヒトの居ない廊下。背後からの声に歩みを止

 め振り向けば、先程の教室で授業をしていた男性教員の姿。

 此方を追って来たってのは良いことじゃなさそう。授業を妨害し

 たとかその辺りでとかかも知れない。

 ビビる思いで、いざと成れば隣のコイツを差し出してやろうと身

 構えていると。


「さっきの質問。君は、君は“分かって言っていた”のかい?」

「???」


 先生。ウェアウルフの頭がハテナ一色です。仕方無しに脇腹を小

 突き。『さっきの質問の事だと思います』とだけ呟いてやる。


「ああー! 一番何が必要かーってヤツな」

「そうだ」

「だからつまり“深度(アビュス)”って事だろ?一番はさ」

「! 驚いたよ、深度って言葉までもう知っているのか!はは!」


 男性教員の表情はまるで子供の様に弾む。あの教室で険しい表情

 で授業に臨んでいたヒトと同一人物とは思えない程に。喜んでい

 た先生は自分達の視線に気が付き。


「! んん」


 咳払いを一つしては。


「あーその。君たちは何処のクラス、いや担任は誰かな?」

「「テレーズ先生」」

「ゥ。成程彼女か……。いや君たちが将来自分の授業を取った時が

 楽しみだな。時間をありがとう、見学を楽しんで。

 ああそれと是非僕の授業を取ってみてくれよ」


 そう言うと先生はその場を去って行く。


「なんだ。結局合ってたのか? あーでも、ティポタが正解って言

 われたし……。結局何だったんだ?」


 顎に手を当て小首を傾げるウェアウルフ。コイツへ自分は気にな

 っていた事を尋ねる。


「さっきの理解、深度って何の話ですか?」

「お? おお。魔法ってさ、使うだけなら誰でもそれなりに扱えん

 じゃん?」


 ウェアウルフがゆっくりと歩き出したので、自分も隣へ続く。


「魔道具とかでって事ですよね?」

「そうそれ。でも魔道具ってのは誰が使ってもおんなじ魔法しか出

 てこないじゃん?」

「まあ、魔道具ですからね。コンロから火じゃなくて水が吹き出し

 たら困りますし」


 自分の話に『それ面白そうだな!』とか笑った後。


「だけど本物の魔法ってのは違うんだよ。さっきの先生が火を操

 ってただろ? アレをする為には火の魔法自体への理解を深める

 事が大事。火の魔法を全く知らない奴だとマッチ程度の火加減が

 最大で、熟知してる奴なら焚き火程度には出来たり、とかな。

 んまあ、魔法全般がそうなんだけどよ。同じ魔法でも上限威力

 が違ったりーだとかするのって、あれ魔力を込めた量もそうな

 んだけど、その魔法自体をどの程度理解できてるかで大きく変

 わるんだよ。

 行使する魔法知識への深さ。その事を専門的には深度って呼ぶ

 らしいぜ」


 振り向きどっちに行くかと顔で聞いてくる。どちらでも良いの

 で適当に右を指差す。


「んでさ。魔法の事を学ぶってのはイコールで、自身の魔法威

 力、制御、習得難度とか色々な部分に深く影響するんだ。

 学べば学ぶだけって、そりゃ当然の様に聞こえるかも知れねー

 けどちょっと違うんだよなぁ。この辺言葉にするのはちょいム

 ズなんだよな。

 だから魔法ってのは、魔法の事を知れば識るだけ全体的に自身

 の魔法が強化されてくって話し! そうオレは考えて覚える様

 にしたぜ。

 火の魔法だけを熟読してる奴より、風とか色々学んだ奴が扱う

 火の魔法の方が色々優れてたりーってヤツな。んまー深度って

 言うのは本人自体には中々理解し辛いもんらしいぜ? 超感覚

 じみたモンらしいし。あ、スゲーやつ同士は互いの深度をある

 程度感知して力量図るらしいって聞いたな。ホントかはまだ知

 らねーけど!


 ウェアウルフが一度笑い。


「けどさ、深度の深さがあらゆる魔法へ影響を及ぼすって分かっ

 てるからこそ、この学園って色んな魔法、不思議、神秘を研究

 してんだろ? 流石だよなぁ!」


 話し終えたウェアウルフが納得顔で再び笑い。自分は足を止め

 た。


「?」


 此方を見て、足を止めた自分を不思議がるウェアウルフ。

 あの先生が愕然としていた理由はきっと、今の学年級で理解する

 話では無いからだ。深度何て言葉を自分が微塵も知らないのだか

 ら。間違いなくコイツは優秀で知的。自分よりも。

 今の話の深度とは魔法自体への理解度。潜在的貯蔵知識量とでも

 言えば良いのか。それが魔法への扱い、魔法技術へ深く関わるモ

 ノなのだとしたら。


「(コイツの側で、いや利用してやれば自分の魔法を、潜在的貯蔵

 知識量を強化できるのでは?)」


 打算的考えが頭を巡る。

 コイツは注目を集めるけど、集めすぎて逆に側のヒトは隠れられ

 そう。かなりの頻度で側に居る自分が、周りから未だ何にも思わ

 れてないらしい事から分かる。であれば、コイツを自分の為に利

 用する事も可能なのでは? 深度が側で魔法を見る事、聞く事で

 も鍛えられると言うのなら。側に居れば居るだけ自分に益がある

 様に思える。


「(自分は何時だって利益を考えて行動してきた。将来設計の為だ

 からと此処へ入学して、お友達を作らないのだって自分の環境の

 為で。だから今回も、自分の為に利用、りよ、利用する為に)」


 冷静に考えてるだけなのに、考えれば考えるほどに意識がぼやけ

 てしま様だ。

 それにさっきからずっと、ウェアウルフが男性教員に褒められ

 た、自分へ知識披露をしてる時からもうずっと心臓の辺りが“ち

 くちく”としてる。耳が熱くなるようなイライラも感じ続けてる

 し。


「??」

「(はッ。自分はバカじゃない)」


 この状態が何なのかはもう分かってる。自分を騙すのはやめよ

 う。分かってる、自分がコイツにライバル意識のようなモノを感

 じているって事は。

 今まで自分と同じレベルの学力を持ったヒトは側に居なかったか

 ら、初めて意識したに違いない。とも、知り合いに成りたい相手

 と言うのを。

 なら今までしてこなかった事を今しなければ行けない。この感

 情、気持ち、高鳴りを鎮めるにはそれしかないのだから。

 そう、自分はウェアウルフを見詰め、言う、言ってやるんだ。

 ……お、お、お友達になりましょうってッ! それでコイツを目

 一杯利用してやるぞ。今までと同じ様に、これからの学園生活で

 自分の為にと!うん!

 ああ。ああだから。言います、言うから。だからお願い───

 胸も頭も耳も、そんなにあつくならないで。


「ッ~おい聞け!」

「おお?」

「良いか聞けよ!!」

「おう」

「おおおおおお前、お前の事がぁ!」


 息を大きく、目一杯吸い込み。


「ッ好きだ───ッぁぁぁあああああああ!??」


 は?おいおいおいバッ、はぁ!? 何を口走ってるの自分!??

 えー、えーもう自分でもドン引きなんですけど!? 頭イカれて

 るのかよぉぉ!?

 自分自身の頭がおかしくなってしまったらしい。何で今、そん

 な、バカな言葉が口から出てきてしまう。分からない、分かれな

 い、頭が回らない。


「あー……」

「ッ!!!!!!!!!!!」


 言葉への反応がイマイチ。何だよ、別に言いたくて言った言葉

 じゃない、ないから。だから全然目頭が熱くなってこないし!

 クソ、急に視界ががずみだじでなんがいないじッッ!バカァ!

 逃げ出したい逃げ出したい逃げ出したいだじだいだじだい。

 あ。逃げよう。そうだお家に帰ろう。

 だから足に全力の力を入れて───


「ああ! オレもお前が好きだ!」

「!??!?!?」


 力んだ足は思い切りの一歩を踏み出し、そして急激に力が抜けて

 しまった。

 そうして。自分は突撃するかのようにウェアウルフ、目の前のア

 イツへ突っ込んでは。


「うお?」


 倒れないよう抱きついた。

 直ぐ離れたかったけど、腰が抜けぬけちゃって感じで力が入ら

 ず。コイツの腰に手を回して床に落ちないようにするのが精一杯

 だった。俯瞰で自分なんか見えないけど、体勢がとんでもなく恥

 ずかしくて情けない格好だって言うのは分かる。

 だからと言ってどうする事も出来ない。今自分がすべきは何か言

 う事だと思う。そうだ、何か言わないと。何でも良いから言葉を

 飛ばすんだ自分。


「いや、好きって言うのはね、友達とかってそう言う意味じゃなく

 って、いや!そう言う事が言いたいんじゃーああいや、意味は正

 しくって、その。なんだけどッ! あ、あああれッ?」


 喋る度に息が言葉と一緒に出て来てしまう。唇も震えてる所為で

 上手く言葉を伝えられない。鼻骨も何かツーンてするし。なにこ

 れ。もう泣きそう。あ、いや今泣いてる。涙出てるの分かるも

 ん。

 なんでこんな支離滅裂な事しか言えないんだろう。自分は。


「マジか! ならやっぱ好きだな。お前をメス───は行けないん

 だよな。女としてちゃんと好きだ!」


 頭上から。顔を腹にぶち埋める自分の頭上から言葉が降り注ぐ。

 頭が真っ白だ。心臓の音何か聞いた事も無いくらい煩くて、ドク

 ンっ何て本当に聞こえるんだと分かるし。脈打たれる度に息が詰

 まって、耳がジンジンとする。

 目からは涙がどんどんと溢れて来ちゃうし。限界。限界だ。

 ああ、ああああああ。


「あ゛あ゛あ゛あ゛あううおあばああああああああぁぁぁッ!」

「おおお!?」


 絞り出せた言葉は言語と言えるか怪しい。自分でも驚くぐらい汚

 い鳴き声だった。でももうそれしか出せなかったんだ。

 自分は唸りながら、抱きつく腕に力を込めて。少しだけ考える。

 ああ、何で。ああ何で自分は告白なんてしたのだろう? いや分か

 った。自分自身はもう分かってたらしい。だって。


「ぅぅう(ずっとイライラしていたこれが、これが本当は、本当は

 ───ッ!)」

「お、おいおい大丈夫かよ!」

「ぅぅぅぅうう(クソ、クソクソクソ! 全部なかったことにした

 い、いやッ絶対したくない! ああもう訳わからない!)」


 抱きつきながら。取り乱しながらも。頭では理解した。


「ぐぞがあああああああ(自分は。このウェアウルフの彼に惚れて

 しまったらしい)」

「な、なんて言ってんだ?」




 ウェアウルフに抱きつく少女と、両腕を上げどうすればと焦る獣

 人。廊下には二人だけで、不思議と誰も通らない。

 誰かが自分の気持に気が付き、誰かが夢を思い出したりして。

 学園に通う生徒達の誰それが輝きだ出した事なんて。きっと知っ

 ている者は居ないだろう。そう、本人達でさえも───

最後までお読みいただきありがとうございます。この物語が少しでも楽しめる物であったのなら

幸いです。

物語を最後までお読みいただいた貴方様に心からの感謝とお礼を此処に。誠にありがとうございます。

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