第5話:モスロお姉様
オネットが携帯電話を買いに行ってる間、ヴィネスは森の木陰で他のメンバーに連絡することにした。
プルルルル....と、呼び出し音が鳴る。この呼び出し音は100年以上たっても変わらなかったのだ。
「あ、もしもしシヴァ?アンタも雇われてるわよね?場所はどこ?」
『今ご飯食べてる…あとで。』ブチっ
切られた。ご飯中という理由で大事な電話を切られご立腹なヴィネスだが、こみ上げる怒りを押し殺し次に電話をかける。
「もしもし斬寅?アタシだけど。雇わr....
「あぁ?っんだてめぇかよ…」
「はぁ?アタシだったら不満だっての?」
「ったりめぇだ不満だよ!」
「……!」
「....!」
結局ただ喧嘩の電話になってしまった。
10分ほど時間を無駄にしてしまい、またまたイライラするヴィネスだが、気を取り直して最後の一人にかける。
「もしもし?」
「あっあぅ、あの、ヴィ、ヴィネスちゃん?ど、おどおっ、どうしたの?」
「恋花も雇われてるでしょ?いまどこにいるの?合流しましょ?」
「あっ、わっ、私....は、今、えっえぅ、えと…炎獄大陸の、ひ、東の方っ!っの、街…です。」
「わかったわ。近いわね、あなたがまともでよかったわ!また話が進んだら連絡するわね!」
やっとまともな人が電話に出たと思ったが、どもり放題の声量調節ミス連発の子がまともかと考えると、また頭を抱えだすヴィネス。
「まぁいいわ。とりあえずアタシたちは南の方で、ここから東側の街は....あら、一つしかないわ。ここに恋花がいるのね。」
淡々と情報収集を行うヴィネス。すると、バキバキと木をなぎ倒す音が聞こえた。
「あら、ワタシの星屑ちゃんたちが大量にやられたから来てみたけれど、小さな村しかなさそうねぇ」
体長2mはゆうに越しているであろう大男が、大きな木をまるで草をかき分けるかのようにしならせながら、女口調で独り言を言う。
「なにあのでかいやつ!ただものじゃないわね」
それに何より「ワタシの星屑」という言葉が引っかかる。関係者であることに間違いはないだろうが、口ぶりからするに星屑のクライアント的な存在だろうか。
そうこう考えていると、電話が鳴った。焦って周りを見ると大男の姿はなく、安心して電話に出る。
『ご飯食べ終わったよ?』
さっき一方的に電話を切ったシヴァだ。言いたいことは山ほどあったが必死に抑える。
「アンタもやとわれているわよね?今どこにいるのよ。」
『レストラン。美味しかった。』
「そうじゃなくて!どの大陸のどこにいるか聞いてんのよ!」
『黄石大陸の南町。お肉が出てくるレストラン。』
「んまぁ、いらない情報もあったけどいいわ。あたしたちは炎獄大陸にいるの。良ければ合流しましょう?」
『面倒くさい…』ぶちっ
「この女....!」
また一方的に切られてイラつくヴィネスだったが、それと同時に緊急事態に気づく。
「あらお姉さん、お電話の邪魔しちゃったかしら?少し聞きたいことがあるのだけれど。」
電話に夢中で大男の接近に気づかなかったのだ。
「この辺で何か変わったことはなかったかしら?」
ヴィネスは考える。このレベルの敵にはおそらく罠は大したダメージにならない。オネット帰ってくる時間はおそらくあと10数分。この敵のパワーから推測するにおそらく防壁魔法はただでは済まない。オネットが来るまでの村人の安全確保。オネットが来た時のこの相手の勝算。今この大男に返す答えはおそらくこの局面を大きく変える。そしてヴィネスは決める。
「まずあんた誰よ。素性もわからないやつに話す義理は無いわ。」
情報を聞き出すことにした。組織の関係者であることは明確で、その他に何か知る事が出来れば設けもんという算段だった。
「あ~ら、手厳しいわね。いいわ?ワタシは『テレスコープス・牡牛座タウラス担当』モスロ。モスロお姉様とお呼び。あなたは?」
「アタシはレイジー・シン。旅人よ。この辺にはさっき来たばかりだから、変わったこととかはわからないわ。」
呼吸のように嘘をつくヴィネス。
「あらご丁寧にありがと。........それにしても、ずいぶん場慣れしているのね。ワタシが話しかけた瞬間に目の色が変わったのも、殺気があふれ出したのも見逃さなかったわ。この近辺で私の星屑ちゃんたちを倒せるのは、たぶんあなたぐらいよ?間違いないわ?目でわかるもの。」
モスロのあまりの洞察力にヴィネスは凍り付く。そして、声に先ほどまで無かった敵意が乗っているのも分かった。恐らく今から闘わなくてはならないことも。
そしてヴィネスは覚悟を決める。
「はぁ....もうこうなったらプラン変更よ!アルク・ハティヤーズ『怠惰なる軍師』こと、ヴィネス・ゾウヒが相手してあげる。」
そう言ってヴィネスは魔法道具のタクトを構える。
モスロキャラ濃過ぎでは?キャラ考えた奴だれだろ?....私ですね笑笑