3.初遭遇
ギリギリセーフ(11時07分)(;´・ω・)
少し短めなのは次が短くなりそうだったからです
カイは青い竜と向き合って剣を構えて警戒をしていた。
今何が起こっているのかと言うと、祠から竜が出てきた、以上である。
それ以上言うことがないので、とても分かりやすいが同時になんでここに竜がいるのか疑問が出る。
そもそも、このアリア大陸はとても平和な大陸であり、中立国家には相応しくない凶暴なモンスターなど居ないのだ。そんな所でいきなり竜が居たとなると大騒ぎである。
「大変な事になっちまったな···。さすがの私でもちょっときついぜ。」
カイの戦闘は堅実な剣士である。小型の盾を持ち軽量化している鉄の剣で敵を捌いていく。しかし、それもこの平和な大陸のみの話であり、今回のように巨大な竜など全く戦えないだろう。
「しょうがない、ここはリコールで···」
「···む、させん。」
カイがスキルを使おうとした途端に青い竜は目から閃光を放ち、スキルの使用を妨げられた。
(まじか、スキルって止められるのかよ、こうなるとここから出れねーぞ?)
周りを見渡してみると、少し先に小さな洞窟のようなものが見えた。ただ、そこに行くには竜の反対側に行かなければならない。
「まあ、久しぶりにちゃんと使ってみるか。瞬足。」
スキルを発動し、全速力で竜の横を走り抜けるとさすがの竜も驚きながらカイは洞窟の中へと身を潜めた。
♢ ♢ ♢
少し時間を遡って、青い竜の召喚される前、テリーは少しばかりの睡眠から目が覚めて身なりを整えていた。
とは言っても、荷物もないテリーは服に付いた土などをはらうぐらいだ。
まあとりあえず、この洞窟からでて森の出口を探さなければならない。ほんとになんでこんな所に転移したのか、テリーは少し呆れていた。
テリーは少し足どりが重くなりつつありながらも洞窟の出口まで進んでいた。その少し手前で洞窟の中が眩しいくらいに光って、一瞬戸惑った。
「なんだ?雷とかか?でも雨の音とか聞こえないよな···」
様々な事を考えながら出口へと向かった。そして、外に出ようとする前に足を止めた。
······目の前に居たのは現実では考えられない大きさの青い竜であった。
···うん、竜か。まあ、そうね。正直驚きはそこにはない。だって異世界に来てるんだし。でも大きさはさすがに驚くな、これ2、3mとかの感じじゃないもんな。後ろ姿ではあるがその迫力はテリーに凄く伝わってきていた。
そして、なによりもこの洞窟から出たいのに出れない状況の完成である。寝てただけでなんてことが起きてんだ。どうすることも出来なくなったテリーはその場に座って呆然としていた。
「···あれって、契約出来んのかな···。」
まあ、するにしても戦えないけども。そう考えていた時、突然少し強い突風のような風が吹き、びっくりした。
「··っよしー、何とか入れたー、制御すんの大変なんだよなー。あとはリコールで帰れば···って誰だ!?」
突然きた知らない男の人に聞かれた事も重要なのだが、それ以上に初めての人に会えたことで少し喜んでいた。
「僕、ちょっと迷子で···。」
とはいえ、喜べるかはまだ分からないので恐る恐る答える。
「迷子って、この場所まで来るなんて普通ありえないよ?」
なんで、そんな所に転移したんだ!あのレノって奴は!って怒ってもしょうがないので、この男の人にどう言おうか少し悩んでしまう。
「···君は召喚師か、まさかあの竜は君が出したのか?」
「いやいや、そんなこと出来ませんって」
出来たらほんとにチートだな。···あれ、そのうち出来る?···まあいい。
「じゃあ、なんでこんな森の奥地に1人で居るんだ、君は全然探検慣れもしてなさそうだし。」
うーん、これはちょっとしっかり言わんと駄目か?
「··あのー、凄く現実味のない話ですけど、信じてくれますか?」
「···まあ、話を聞くくらいなら別にいいけど」
ありがとうございます、と言ってこれまでの異世界転移の流れからほぼ全て話をした。
「······という感じで、今に至ります··。」
「···そうだな、確かにちょっと信じるにしては不確定なことが多いな。まあ、君、えーとテリーくんだね。テリーくんのように人を転移をすることができる人が居るのは否定出来ないから、その異世界?とかは分からんがこの世界自体広いからな、そこは信じてもいいとは思ってる。」
「本当ですか!···あーと名前は?」
「ああ、名前はカーロイだ。ただあんまりこの名前好きじゃなくてな、呼ぶ時はカイでいい。」
「なるほど、分かりました。カイさんはなんでここに?」
先程から気になっていたことを聞いてみる。
「僕は昨日この森で謎の光の柱を見たっていう人達がいてね、それの調査だよ。」
「なるほど、···ってその光って今の竜ですか?」
「うん、その可能性は高い。まあ、何も証拠がなくて街の人達が不安になるよりかは原因がわかった方がいいからね、確かめたいんだけど、さすがに僕でもあれは無理そうだからね、帰ろうかなって思ってこの洞窟に逃げてきたってこと。」
カイはそう言うと、少し深呼吸をしてからテリーにこんなことを言った。
「テリーくんの話でもう1つ気になることがあってね、その召喚師の力を少しばかり見てみたい。」
「え、もしかしてあの竜と契約するってことですか?」
さっき話したので何もこの世界の事やスキルについて分からないって事は言ったんだけど。
「まあ、せっかくだしあの竜をほっとくのも良くないからね、大体Aランクぐらいだと思うから契約自体は出来ると思うよ。」
いや、Aランクって強いじゃないですかってツッコミを入れる前にカイはテリーの手を掴みスキルを発動していた。
「まあ、これからの為の練習ってことで、瞬足」
「え、いや、ちょっと、待ってくださいっ··」
そんな言葉よりも瞬足のかかったカイは洞窟から抜け出して竜の元へ向かっていた。
♢ ♢ ♢
仕事を終わしたレノは気づかれないように違う仕事をしていた。それはテリーの最初の竜のイベントを起こしたのも1つである。
(まさか、人が来るとはおもってなかったんだけどね)
カイという、街に住んでいる冒険者がこの森に何故か来ていたのだ。
(まあ、人までは僕には操れないからね、一緒に頑張ってとしか言えないかな?)
他にも作業はしているのだが、少しテリーの様子を見ておこうと画面を見ると2人で、竜と戦闘を繰り広げていた。
(この竜は契約出来るのか、···あれなんかちょっと強くしすぎたかな?)
レノは少し心配しながらも、どうせ強くなるからと既に開き直っていた。
(ふう、ここの部屋も多分色々誰かに見られてそうだな、これ以上見るのはやめとくか。)
自分の作業部屋ではあるがこの部屋自体を作ってくれているのは世界神であるシンだ。盗聴など容易いだろう。
実際、少し違和感を感じるので何かは勘づかれているのだろう。
···でもまだ、こんな所で止まってられない。テリーに少しでも頑張って貰わなければ。
そんなことを思っていると、
(レノ、今すぐに会議場に来なさい。)
···。もう動いたか。まあ、大体分かってたけど。
レノはテリーに関係する全ての資料を隠し持って会議場へと向かった。
誤字など何かありましたらご報告お願い致します
次回投稿は目標(?)土、日曜
無理だった場合は水曜日の投稿になります
(基本的にこのペースで書いていきたいなという願望。)
よろしくお願いします<(_ _)>