2.召喚師テリーと迷いの森
異世界『ユリアード』5つの大陸があり中心には神話などでしか聞けない天空城があるという。
その中の一つ、5つの大陸の最北に位置し最も中立国と言われているアリア王国。その王国の少し近くに大きな街があった。
街は毎日賑やかで昼間から酒類を飲んでいる人も少なくはない。実際酒場は今日も大盛り上がりだ。私はどうも酒はダメなんだけどな。
ではなぜこの酒場に来ているかと言うと、ここはギルドホールでもあるからである。この雰囲気には慣れそうにないな。
「おー?カイー、今日はどこにいくんだ?」
酒を飲んでいた顔を知っている人がこちらに声をかけてきた。
「こんにちは、ジョコさん今日は少し、迷いの森の奥に行ってこようかなーと」
「おー、あの迷いの森か。奥に行き過ぎると帰って来れないって言う」
「大丈夫かいー?いくらカイくんが優秀とは言え帰って来れないなんてなったら、僕達困っちゃうよー」
話の会話にもう1人男の人が加わって心配されてしまった。どうやら、この人は私の事をあまり知らないのだろう。
「大丈夫ですよ、僕には『リコール』がありますからね。」
「そうそう、カイをダンジョンや探索に連れていったらどんだけ簡単なことか」
男の人はおー、やら尊敬した眼差しでこちらを見ていた。
「でも、なんでそんな所に?」
「どうやら昨晩、その森から物凄い光の柱を見たって言う人がいて、状況確認をしようかと」
「そういえば、そんな話この酒場でも噂でてますねー、別に大きな音とかはなかったらしいですけど。」
「そうか、まあカイも気をつけてな。いくらモンスターがほとんど出ないとはいえ何があるか分からんしな」
「そうですね、ありがとうございます。」
2人にお礼を言って酒場から出る。今日は確認だけだ、そこまで時間も掛からずに終わせるだろう、そう思いながら森へと向かった。
そんなカイもああなってしまうとは···っていうのはもうちょっとあとのお話。
♢ ♢ ♢
思えばあの変な部屋に来てからどれくらいの時間が経っているのだろうか。少しお腹が空いているような気もするが、そんなことよりだ。
ここはいったいどこなんだ!?っていいたいけどさっきまで暗かったのにちょっと明るくなってきたんでまあ、場所は何となくわかった。
で、なんで森の中なの???これはさすがにただの疑問にしかならんわ、なんで草原とかにしなかったのよ、なかなかここからスタートは聞いた事ないよ??
まあ、いいたいことだらけではあるんだけどもとりあえず異世界にはきたみたいだ。ただし、絶賛迷子中ですけどね。あいつ、なにも考えてないだろ絶対。
(うーんとさ、あんまり悪口いわないでよ頼むからさ)
「!誰かいる···!」
(あー、いやいや違う違う、今脳内に話しかけてるだけだよ。さっきの転移した人だから)
「じゃあ直ぐにこの場所から違う場所にしてくれよ、なんだこの場所は」
(うーん、ちょっとそれはできないけどここは別に危険な森じゃないから、大丈夫だよ)
「そういう、問題じゃないんだよ。どうやってここから生き抜くんだよ、ハンデ背負ったサバイバルじゃないんだからさ」
(まあ、とりあえず無事みたいで良かったよテリー。僕はレノって言う。やっと名前が言えたわーというわけでまたなんかあったら連絡するから頑張ってー)
「は?いやまだ全然なにも聞いてないんだが?!」
しかし、言葉が返ってくることはなかった。
···結局なんにも分からん、この世界の名前しか教えられてないぞ?···確か『ユリアード』だったよな。それだけでなんなんだって話だ。
「······。そういえば、ステータスって言えばなんか出てくるんだっけ。」
特に森ですることないし、とりあえず色々確認しとくか、とステータスと言うと目の前に少し大きいサイズの画面が出てきた。
名前:テリー(桜庭 望) 状態:正常
スキル:・ヒール
Pスキル:・異世界人補正 ・ステータス表示
・夜目Ⅰ ・召喚神の証
うん、なんか色々と気になる部分はあるけど、とりあえず一つずつ。名前はそのまんま(何故現実世界の名前もあるのかはしらんけど)、スキルもまあ、ゲームとかやってれば普通かな。魔法もスキルになってるのか、ヒールがあるけどまあ回復の魔法ですよね、説明書かれてるし。
【ヒール】MP消費 HPを回復する
ちなみにHPとMPの表示も名前の下にあるんだけど、数値化がされてなくて、ゲージ表示なんだよねー、そこはちょっと確認がめんどいかもな。
丁度今HP減ってるし(暗い中森を進んで転んだから)ちょっとヒール使ってみるか。
「ヒール」そう言うと、先程までのちょっとした痛みが無くなり気分も良くなった。
「どれどれ、お、ちゃんとHPゲージ全快になってる。そんでMPも···結構減ってるな、この感じだと10回ぐらいしか使えないか。」
まあ、まだこの世界に来たばっかりですし、そんなチートじゃ楽しくないでしょうね。
「今度は、Pスキルか。ちゃんと説明見てくか」
【異世界人補正】様々な身体能力が上がり、運がとても良くなる。ただし、死なないわけではない。
とてもいいスキルなんだけど、その最後の文いる?いや、そりゃチートで死なない人とかいるけどさ。
【夜目Ⅰ】暗い所で一定時間行動で取得
暗い場所でも周りが見えるようになる。数値(Ⅰ~Ⅴ)が高いほど、見える範囲が広がる。
これは、ずっと森で行動してたおかげだな。まあ、あって損はないな。
【ステータス表示】ステータスの表示ができる。
尚、相手のステータスも表示が可能(不可能の場合もあり)
これも一応スキルなんだな。まあ、相手のステータスを見るってしないとおもうけどさ。
次が一番気になる物だ、恐らくレノとか言うやつがくれたのがこれなんだろう。
【召喚神の証】スキル忘れ不可
召喚魔法のMP消費が10分の1になる。(一定値以下は消費が0になる)Sランクまでのモンスターとの契約が可能。
うん、チートだね、十分チートな性能してるね。しかもこれはもう、召喚師になれって言ってるようなもんじゃんそうだよな?
「あいつ、レノが神なのは何となく分かってたけども···。」
Sランクまでのモンスターって、結構強いのも居そうだけどさ、でも1つ言いたい。
「ここ、モンスター全然居ないんですけど。」
······。まあ、やり方も分からんし、居なくていいけど。
一通りの説明が見終わったって思ったら、スキルに新しいのが一つ、
【契約の波動】MP消費(PスキルによりMP消費なし) モンスターとの契約時に使用。モンスターのランクにより成功率が変動、ダメージあり(小)
これを契約の時に使えばモンスターの召喚が可能ってことか。ダメージがあるって事は倒すってことなのか?まあ、そこら辺はモンスターがいた時にでもだ。別にMPは消費しないらしいからな。気にせずに打てるだろう。
しかしだ、少し自分がこの異世界に慣れてきてきてしまっていると感じてる。まあもうこの世界で生きるしかないのだからしょうがないんだけども。
「そろそろ動くか。とりあえずどっかにでないとな。」
大体の確認をしたテリーは、森から出ようと再び歩くが、その行き先が外ではなく奥に進んでいるとは知らない。
数時間後、
「疲れた。」既に限界がきていた。それもそのはず、ほとんど寝ずに夜明けから昼過ぎまで歩いているからである。
「モンスターがいればちょっと進展するのになー。」
もちろんここまで、それらしきもの全く見ていない。居ない訳ではないので、単純に運がないのである。···補正かかってるのに。
「どうせモンスター出ないし、ここでちょっと休むか。」
ちょうど森を進んでいたら、小さな洞窟のようなものがあり、そこも探索をしていたのだ。もちろん真っ暗なのだが、夜目のスキルのお陰である程度の探索はできたのだ。
「ついでに、ⅠからⅡに上がったしな。」
そのおかげで灯りがなくとも、周りの1mの範囲位なら確認が出来るようになったのだ。
「さて、んじゃちょっと軽く睡眠でも」
本当はご飯とか食べたいが、外に出るまでは頑張って耐えよう。
少しでも食欲を忘れようとテリーは直ぐに寝に入った。
♢ ♢ ♢
迷いの森に入ってからかなりの時間がたった頃、カイは持ってきていたパンを食べながら休憩をしていた。
「うーん、全く何かが落ちた跡がないな。でも、証言している人が多くいる手前、何も無いはずはないんだかな。」
カイは昨日の光の柱の原因が見つけれずに少し頭を抱えていた。何もないと言ってしまえばそこまでなのだが、見た人たちにはそうは思えないだろう。だからこそ、何かがあって欲しいというのが心情である。
「······ん?こんな所に、祠なんてあったのか。」
カイが見つけたのは1mあるかないぐらいの小さな祠だった。扉が片方開かれていて、中身がもう少しで見えそうなぐらいだ。
「こういうのは、ちゃんと閉じないとな。」
そう思い、祠に近づいた時、
(誰か、居るのか···?)
「!声がした···?」
(そこに、誰か居るんだな···?)
「誰だ!こんな所まで来たのは!」
(ふっ、笑わせてくれる、お前がこの私の縄張りにきたというのに···、久しぶりに暴れてくれよう)
次の瞬間、祠が輝き、カイは危険を感じ直ぐに後ろへ回避をおこなった。
光が消えていくと、そこに現れたのは
1匹の青い竜であった。
誤字など何かありましたらご報告お願い致します。
7/11追記
現在の3話進捗度、20%程です(><)
明日までには無理そうなので水曜日に更新したいと思います。
よろしくお願いします<(_ _)>