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爆縮と体温の機知(6)

独りを探すロボット

独りでに歩き出したロボットは

独りを探し歩く

独りという言葉の意味を

知らないからだ

これは独りですか?

聞いて回る

生き物なら知っていると

動く物全てに

聞いて回る

これは独りですか?


答える者は居ない

聞こえる者は居ない

全てが逃げて行く

動く者は動く者を

怖がるのだと

ロボットは考えている

だとしたら

知ることが出来ない

ロボットは

途方に暮れた

夕方の海で

途方に暮れた


奥深くに眠る

データが見せる映像

風船が見えて

綺麗な白のドレスとタキシード

肌色が多い動く者

それに聞けば良いのだ

ロボットは停止させていた機能を

正常に戻して

起き上がった

一つ分かったから

もう大丈夫だと思った


歩いても歩いても

肌色の動く者が見つからない

歩いても歩いても

逃げて行く動く者ばかり

夜という時間

朝という時間

探してみたけれど

何処にも見当たらない

不意に見た原っぱに

肌色が多い四つ足の動く者

もしかしたらと

ロボットは追いかけた


それはブーブーと

声を上げた

これは独りですか?

ロボットは聞いた

ブーブーという言葉しか

返って来ない

似たような動く者なのだろう

だとしたら

答えは得られない

ロボットは

また探し歩いた

何処にも居ない

逃げて行く動く者ばかり

これは独りなのか

知りたかっただけだった


ロボットが

一部の機能を停止させ

休んでいる

小さな人形が

ロボットの脇の下に置かれていた

ロボットと人形が違うことを

ロボットは知っている

人形が何かをロボットは知らない

ただ

大切にしなければならないことを

ロボットは分かっている

録音機能のある人形には

声が入っていた

「ごめんね。あなたは独りになるの。

でも、大丈夫。

あなたは独りでも生きていける」

弱々しい声で

それは入っていた








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