決闘⑤ リハーサル決着
リハーサル決着
「雪ウサギ様。決まり次第次のカードをお願いします」
ゲームは俺が優勢
とにかく俺は最善手だと思う手を指し続ける。このゲームに勝てば30万円。どうせなら貰ってやる!
そんな俺を他所に雪ウサギさんはカードを伏せた
そして俺もアンセムの促しがある前に事前に決めておいたカードを出す
「両者カードをOPENして下さい」
結果は
フィスコ ♤A
雪ウサギ ♡8
「結果。雪ウサギ様にポイントが入ります」
フィスコ 3ポイント
雪ウサギ 1ポイント
8か。いい方だな
俺は完全にAを捨てた。このゲームでピンポイントにKをAで指す確率は極めて低い。ならば相手の親の勝ちにきた手を要らない手で負けてやる
これが俺の中のベストな選択。8はかなりいい
本気さが見えないから5以下とかで負けるのは嫌だったが
上手く行ったようだ
そして俺の親番
俺が決めていたカードを出そうとしたその時
「ねぇ貴方は今の状況をどう思ってるの?」
雪ウサギさんに話かけられた
咄嗟の事に驚くも俺は今自分の思っている事を素直に述べた
「意味わかんないよ。俺はいつも通り眠ったはずなのにこんな所でこんなゲームをさせられて」
誰だってそう思うのではないだろうか?
「雪ウサギさんもでしょ?」
「ええ。まぁそうね」
何でこんな質問を?
「何でこんな質問を?」
俺は思った事を素直に口に出した
「いえね。貴方が何だか楽しそうだなっと思ったから」
え?楽しそう
……そうかもしれない
俺はこのゲームを緊迫したこの勝負を楽しんでいるのかもしれない
さっき、雪ウサギさんはリハーサルだから手を抜いていると考えた時
俺は少しだけ…ほんの少しだけ落胆したかもと思い少し考えこんだ。
そんな俺を雪ウサギさんはジッと見つめていた
「…こういうゲームは嫌いじゃないからね」
俺は素直に自分の思った事を述べた
「そう…純粋なのね」
俺は驚いた
雪ウサギさんは初めて感情らしい感情を浮かべたからだ
俺の探し続けていたもので初めて発見できたのは笑顔だった
そして、恐らくこれは作り笑いではなく純粋な笑顔
俺の胸はトクンとこんな場ながら高鳴った。
俺は気にもとめなかった。しかし、事実として俺は自覚した。
しばし俺はボケーっと
雪ウサギさんはさっきの笑顔が嘘のような先程までのポーカーフェイスで手札を見ていた。
「今のような明らかな遅延行為でない会話以外は好きにやってもらって構わないのだかね」
俺達の沈黙を破ったのはアンセムだ
「考え中以外の無言は困るね。さっきの反応を見るにフィスコ様はもう出す手は決まっているのだろう?決まっていないのなら決まっていないいないと言って貰えば考えて貰って構わないが。出すカードが決まっているならばゲームを進行して欲しい」
アンセムは淡々と俺に注意?を促してきた
確かに俺はカードを出そうとしたし、
一瞬躊躇をするも変えるつもりもない
俺はカードを場に伏せた。
そしてほぼノータイムで雪ウサギさんもカードを出した
「両者カードをOPENして下さい」
フィスコ ♤3
雪ウサギ ♡K
「結果。雪ウサギ様にポイントが入ります」
フィスコ 3ポイント
雪ウサギ 2ポイント
雪ウサギさんからすればA、2を出すメリットはもうない
という事は3を持っている俺のメリットはない
俺が親だから、勝ちに来るかもという判断からの1手
9から上ならなんでも良かったが結果は上々
ここで、2を出しておけば!とは思うがそんなのは後の祭りだ
今の所このリハーサルは俺の思った通りに進行している
嬉しいっちゃ嬉しいんだが、さっきの雪ウサギさんの笑顔がチラつく
今更になって思うが本当に心からの笑顔だったのか?
もしかして作り笑いで、こんな状況を楽しんでいる俺を頭のネジが飛んでるイカれた野郎だと嘲笑したのではないか?
俺は今になってそんな事を思い出す
まぁ…いっか
どっちでも。このゲームが終われば赤の他人だ
アンセムの言葉を信じるなら俺と彼女が会う事はないだろう
彼女が望んだとしても、俺が会わないという選択をするのだから
俺は頭を冷やす
そして、俺は俺の思う様にこのゲームを勝って家に。あの部屋に帰る
俺はこの選択かなり悩んだが、このカードを伏せた
もしこのカードが…
「両プレイヤーカードを出し終わりました。OPENして下さい」
雪ウサギさんもカードを出しゲームが進む
フィスコ ♤4
雪ウサギ ♡9
イヨッシャーーーーー!!!
俺は内心飛び跳ねんばかりのガッツポーズをした。
「結果。雪ウサギ様にポイントが入ります」
フィスコ 3ポイント
雪ウサギ 3ポイント
この状況は賭けだった
俺が想定した雪ウサギさんの手はQか9そしてそれ以外。
その想定から俺の行動は2択
1・俺は9を出す
2・俺は4を出す
9を出した場合Q以外には勝てる
だが、Qを出された場合、雪ウサギさんがポイントを取る上
相手の9に俺が勝てる手段がなくなってしまう。
つまり、相手に2ポイント与えてしまう
そうなると、雪ウサギさんのリーチ。勝利にかなり近づく。
最高のパターンはここで俺が9を出しており勝ってポイントを得ていたパターンか2でQを倒していたパターンだが得を追いすぎて足元をすくわれたんじゃ本末転倒だ
6とか5で負けるのが嫌だったが、結果は9
結果はまさに完璧
雪ウサギさんの手札で7以上のカードは♡Qのみ
俺の手札にはまだ♤7、♤8、♤9がある
この状況下で、俺の3ポイントは確定した。
俺は、次のターン♤9次のターン♤8を出す
仮に♤9に♡Qを出されて1ポイント取られても
次の♤8で1ポイント
そして、♤7を出し1ポイント
ここで俺の親なので♤6を出せば確定で勝利である。
もし捨て身をしてきてもルール上、どのタイミングであれ俺が♡6と宣言すれば勝ちだ
当然、相手の手札は捨て身により得た手札と5以下のカードしかない。
俺は後3ポイント取り!俺の勝ちだ!
俺は雪ウサギさんとのこのリハーサルとはいえ
さっきのターンの攻防、最後の勝負に勝ったのだ
それ故の喜び。30万円もだが、俺はゲームに勝った事が嬉しかった
おかしな事かもしれないが、ゲームに勝つという事は30万円以上の
いや、もっと莫大なお金よりも俺にとって価値を見いだせるのだから
「ぁ…」
雪ウサギさんは小さな声で言葉を漏らした。そして俺はそれを聞き漏らさなかった。
気づいたのかな?このゲームの敗北が決まった事に
雪ウサギさんは、小さな呟きの後すぐにカードを出した
結果は
フィスコ 9
雪ウサギ Q
で俺の負け
フィスコ 3ポイント
雪ウサギ 4ポイント
「捨て身を使うわ」
「かしこまりました。フィスコ様は雪ウサギ様の手札にあるカードを宣言して下さい。そのカードはLOSTします。」
もちろん俺の選ぶカードは
「♡の6で」
「まぁそうよね」
雪ウサギさんは♡6を捨て机の下でカードを選び
手札に加えてLOSTしたカードは今まで表向きだったカードを裏向きに伏せた
まぁ…そんなミスはしないわな
今回は関係ないが、表向きにおけば確定でそのカードが数字がわかるので1枚以上手札に加えていないカードがわかるので加えたカードを絞り込める
この後、このリハーサルは淡々と進んでいった
結局負け確定という事で雪ウサギさんは手札に戻したカードを出さずにゲームは終わった。
それにしても、雪ウサギさん結果が出てから気づくの早かったな…
負け確定だと理解していなくてゲームを続ける人が結構いるが
詰んでいる事に早く気づく奴はゲームが強いと俺は思っている。
雪ウサギさんはやはり強敵かもしれない
だが、俺も負けている気はしない!