18 転生ゲーム ピーチの強さ
「ごめん!遅れた!」
「い、いえ。私も…今来た所…ではないですね。はい。約束の時間にきました」
なにそれ
「クス…なにそれ」
「おかしいですよね…」
「変だね。遅れたの俺なのに変な気を使ってさ。それに彼氏彼女の定番を使ったのに途中で自分も遅刻した事になってしまうと気づいて俺をフォロー出来なくなってるし」
「ご、ごめんなさい」
「いや、俺こそごめん。遅れて」
「いえ、そんな」
「そんでさっきもごめん。話もろくに聞いてないのに険悪な態度を出して。動揺したんだよね。俺弱いからさ」
「そんな!…ことありません。フィスコさんは凄いです!私の方こそ…相談せずに…」
「そうだね。そこはピーチさんの悪い所だと思う」
「はい、ごめんなさい」
「過ぎた事だよ。謝るのはもう無しね」
「ごめっっんん!?」
俺はまた謝ろうとしたピーチの口を塞いだ
「もう。謝らなくていいって」
「は、はい」
手を離せばピーチは何度も頷き了承の返事をした
「ご飯はまだ…だよね?」
「はい」
「まずは一緒に食べようか」
「は、はい」
「何処に座る?」
「ど、どこでも」
「そっか。じゃああそこの端っこでいい?真ん中で食べるのってなんか落ち着かなくて」
「はい。いいです」
「そう。じゃあ行こ」
俺達はテーブルに向かって歩みを進め始めた
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ピーチside
「ゴチュウモンオキマリノサイハオヨビクダサイ」
「うお、喋った」
フィスコさんの雰囲気が明るくなっている
それに気づいたのは走って駆け寄ってきたフィスコさんを見た時
明らかに顔つきが違っていた
そして、話をしてみてもその第一印象は変わらなかった
第3periodの後別れた時とは全く雰囲気が違う
いや、もっと前初めてあった時とも違う
今のフィスコさんは今までで1番自然体というか
何か取り付いていたものが取り払われたかのような感じがする
「何にする?色々あるけど」
「うえ!?あー同じもので」
「ふーん。OK。じゃあパスタにするね」
「は、はい」
そう言うとフィスコさんは喋るpadで料理の注文をする
そして、無言の空間が訪れる
しかし、別にこの無言の空間は苦ではない
私は気を使いまくりたけれど
フィスコさんは自然体。部屋から持ってきたと思われる私も部屋に置いてあるゲームのルールブックに目を通している
私に気を使っている様子はない
それが、苦ではない理由
しかし、確認しなくてはならない。というかしたい
何故。そんなガラリと雰囲気が変わったのか
私の事をどうでもいい。裏切ると決めたから?
それとも無条件で私を許す気…てのは無いか
いくら雰囲気が変わってもフィスコさんという人物変わってない
フィスコさんはそんな事はしないだろう
ならば…
(気になる…)
ただ、私は今フィスコさんからすれば裏切り者
言いつけを破り…騙されたのだから
訳はある。
だが、相談しなかったのは悪い
しかし……
とにかく私は気軽に話を触れる立場にはいない為聞くに聞けない
(うぅ…)
私は罪悪感にさいなまれる
私が葛藤していると
「お待たせ致しました。ご注文の品です」
「…どうも」
ピエロの面を被った人がトレイに2つのパスタを乗せてやってきた
それに反応したフィスコさんは警戒心全開
そう。これがフィスコさんだ
私にあった時
ゲーム中ずっと
これが私の知ってる1番見てきたフィスコさん
やはり、疑問だ。裏切り者の私になんでこんな対応を?
「失礼致します」
ピエロの面の人はボイスチェンジャーで加工しているダミ声で挨拶をして厨房であろう部屋に戻る
「食べようか」
「は、はい」
フィスコさんのフォークとスプーンを皿に当てる音が耳に届く
そして、フィスコさんは口にパスタを入れ咀嚼する
飲み込み。次の1口をフォークで巻く
「食べないの?」
「うぇ!?はい、食べます!」
「毒とかは入ってないと思うよ?そういうのは恐らく平等だ」
「は、はい」
見ていた私を不思議そうに声を掛け
自分の食事に戻る。私もフォークでパスタを巻き口に入れる
(おいしい…)
普通においしい
パスタ自体あんまり食べたい事は無いが記憶と一致する味だった
(子供達にも食べさせて上げたいな…いや、それをするために…)
私は今までの生活を振り返り感傷に浸る
(それにしても…)
フィスコさん。綺麗に食べるな~
パスタを器用にスプーンの上で巻き1口サイズにまとめるてちるのだが本当にキレイだ
私はどうだろうか?
適当にクルクルして不揃いで不格好
案の定口を拭くとソースがべったり
私は途端に恥ずかしくなった
私は悩むこと無くスプーンに手を伸ばす
そして、フィスコさんを観察して
真似る。が、上手くいかない
(む、難しい)
私はパスタに悪戦苦闘する
「プッ」
「え?」
そんな私を見てか対面のフィスコが吹き出す
「別にいいんだよ?無理にスプーンを使わなくても」
「うぇっ!?いや、別に、無理にじゃぁ…」
「ほーんと。素直だね。ピーチさんって」
「そ、そうですか?」
「ああ。分かってはいたけど俺は無関心だったのかな?
今強く実感してる改めて思うけど、本当に普通の女の子って感じ」
「はぁ…?」
意図が読めない
どうしてそんな事を?
やはり、フィスコさんは何か心の変化があったのだろう
私は困惑している。今までのフィスコさん。そして、覚悟を決めて遅れてきたフィスコさんと対峙する前に想像していたフィスコさんとも
「1つ聞かせて?」
「はい。なんでしょう?」
フィスコさんから質問が投げかけられる
「ピーチさんは俺の敵?」
その問いに私は……
「私は」
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フィスコside
「私は」
まず、目は泳いでない
その他嘘をつく時に現れる仕草の確認もない
そして、
「私はフィスコさんの力になりたいと思っています。裏切るつもりなんて…」
純粋な真っ直ぐな目だ
どうだったろう?
ゲーム会場にいた時、廊下で歩いていた時
彼女はどんな顔をしていたろう?
全くもって覚えていない、しかし、想像はできる
きっと同じ目をしていたのではないだろうか?
わからない。でも、そう思う
この目は、信用に値する
「そっか」
「はい」
「話食べ終わったら聞かせてね。あそこに見えるテラスにいる
俺の事は気にせずにゆっくり食べて」
「は、はい。すぐ行きます!」
そう言うと食べるペースを早めるピーチ
「いや、ゆっくりでいいってば。じゃあ待ってる」
俺はスタスタと空の食器を片手に厨房へ
そして、テラスへ
外にでるドアを開けて
閉める時に、ピーチの姿が見えた。
その姿は残ったパスタを人目を気にせずかき込む女の子の姿だった
「ハハ」
俺はその姿を見て改めて
(ホント純粋な子だなー)
と思った
そして、同時に思った
そんな彼女の強さとは何なのか?
スバルさんは彼女に何を見たのか?ピーチがくるまでの難題となりそうだと口元を俺は吊り上げた
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ピーチside
「ごちそうさまでした!」
「…そんな純粋な目で、ごちそうさまと言われたのは数年ぶりです」
「そうなんですか?」
「ええ、私が料理をお出しする方々は一癖も二癖ある方ばかり
稀に挨拶をしてくれる者がいても心が篭っておりませんからね」
「貴方もこのゲームの関係者の人でしょうからどっちかと言うと嫌いですけど。まぁ料理は美味しかったので…」
「ありがとうございます」
「あっと。私人を待たせてるので行きますね!」
「はい」
私はピエロの面を被った給仕担当?の運営スタッフに背を向け走り出した。もちろん目的地はフィスコさんのいる所
そんな私を
「あの!」
「えっ!?…あぁ○○さん」
「少しだけいいですか?」
基本的にこういう申し出は断らないのだが
「ごめんなさい!先約があるので」
「あ、ちょっと待って!」
私は静止の声を無視しテラスへ向かう
何時ぶりだろう?人を無視したのは?
覚えてないなーでも、これは必要な事だ
フィスコさんと良好な関係を築くために
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「お待たせしました」
「うんうん。ゆっくりしてって言ったのは俺だからね。それにそんな時間も経ってない」
私は夜風を浴びるフィスコさんに声をかけた
(さぁ。ここからだ)
私は気合いを入れる
「まずは、あらためて」
私が意を決して話だそうとすると
フィスコさんが先に話始めた
「ごめんね。冷たい態度とって」
「いえ、さっきも言いましたが私が…」
「うん。でも、ピーチさんの事だ。冷静に考えれば何かあったんだよね?」
「はい」
「教えてくれる?何があったの?」
「はい。フィスコさんと離れた後…」
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フィスコside
「なるほどね」
「それで接触したら死者になってて…」
「マイナス3億円っと?」
「…はい。ごめんなさい」
「そうか…なるほどねぇ」
俺は今回の被害を産んだプレイヤーの名前と手段と結果を聞いて思案する
ピーチから聞いた事は、はっきり言って妙だ
もしかしたら、ゲーム攻略の糸口になるかもしれない
「うん。ピーチさんは裏切ってない。それを信用する事にするよ」
「あっ!ありがとうございます!」
「結果論だけど、この行動は相手のミスかもしれない」
「ミス?」
「あぁ。明日、俺は1位を目指す。その攻略の糸口になったかもしれない」
「1位…つまり、6億円の差を埋めて追い越すって事ですよね?」
「そう」
「そう…ですか。…1つ聞いてもいいですか?」
「ん?何?」
「私と別れてから再開するまでの間に心の変化がありました?」
へぇーわかるんだ
ピーチさんも観察眼が凄いのかな?
「まぁね」
俺は嘘をつく必要もないのでありのままを話す
話そうとしていた事にも繋がることだしな
「部屋に戻ってさ。少し寝たら電話がかかってきたんだ」
「電話?」
「そう。スバルさんから」
「ホントですか!?そういう事もできるんですね」
「うん。俺もびっくりした。まぁ今回は特例だと思うけどね」
「へぇ~ゲームのヒントとか貰えたんですか?」
「いや、そういうのは禁止されてるって」
「そうなんですか~残念です」
「正直ね?俺結構モヤモヤしてて、ピーチさんの事良く思って無かったんだよね」
「そ、そうですよね…」
「でも、謝った通り。俺も早計すぎた。これは俺の弱さだって気付かせてくれたんだよね」
「そうですか…スバルさんが」
「まだ実感が湧かないけどさ。俺とピーチさん。それにスバルさんは…その…家族らしいじゃん?」
俺は途中で恥ずかしくなり少しどもる
だが、伝えようと思っていた事は伝える
「家族って信頼し合う事が大前提だと思うんだよ
だから、まずは疑ってかかるんじゃなく信じる方からじゃないとなって」
「ふぁ……」
俺の言葉を聞き
口をポカーンと開けて聞き入っているピーチ
「だからさ、お互いもっと歩み寄るためにさ
まずは、これからピーチさんの事をピーチって呼び捨てにしていいかな?」
「は、はい!」
俺の問いかけで正気が戻った?ピーチは少し大きめな声で肯定する
そして、
「素敵です!家族!!是非是非、呼び捨てにしてください!!!」
思いの外
好反応で少したじろぐ俺
しかし、
「これからよろしくね」
歩み寄る
動くべきは後ろじゃない前だ
「はい!!」
その時のピーチの笑顔は、満面の笑みで
それは家族が家族に向ける屈託のない笑顔と遜色のない笑顔だった
もしかしたら、ピーチの強さはこれかもしれない
この子なら信用してもいいと思える強さ
策略や裏の無い、善からの信用を勝ち取る
それはフィアーゲームという恐怖し誰も信用できない中
一筋の太陽と成りて凍った表情を溶かせるのではないか?
その力は凄いのか?大した事ないのか?
そもそもピーチにそれが可能なのか?それは誰にも…
いや、スバルさんだけは見抜いたのかもしれない
俺は改めてスバルさんの凄さが身に染みて
尊敬の念とどこか少し恐怖を感じて落ち着かない気になった
視点コロコロ変えてごめんなさい
ただ、ピーチに裏が無いって事を共通の認識にしたくて視点を変えてました
よかったらブックマーク、評価などよろしくお願いします
不定期ですが、更新してきます
次のそのまた次のその次もまた次もゲームは決まってるんだけどなー




