転生ゲーム⑭ゲームが動いている時間
「フィスコさんはどうするんですの?これから」
「このままですよ。ピーチさんと勝利を目指します」
「それはそうでしょう。もっと奥底。2人で勝ち抜くための策を聞いているんです」
「そんなものないですよ」
「ご冗談を」
「いえ、本当にないんですよ。これからする事は二人とも今回のperiodの様に神である事を祈る事だけです」
「フフ。まぁ教えてはもらえませんよね」
「フフ。無いものは教えられませんよ」
「「ふふふふ」」
俺達はお互いさぐり合いをしていた
雪ウサギさんとの会話とは全く違う緊張感だ
「アウラさんは?そろそろ何か仕掛けないんですか?」
「私が?私にそんな知恵はありませんよ」
「それこそご冗談を。色々と動いてますよね?」
「動いている…とは?プレイヤーのみなさんとお話している事ですか?」
アウラさんは一切笑顔を崩さずに返答してくる
(わかんないな…)
顔を読む事は比較的得意な俺だが
アウラさんのポーカーフェイスは完璧だ
焦ってボロを出さないのはもちろん
本当に何もしていなかった時の反応すら見せない
やっぱり、全くもってわからない
(曲者なのか…素なのか…)
それだけでも分かれば収穫なのに
「フィスコさんって平民ですよね?」
「え?何?コモン?」
初めて聞く言葉だ
カードのレアリティーとかでよく聞く言葉だけど
「その反応でわかりました。平民。フィアーゲームに平民の立場から上がってきた者を平民といいます」
なるほど
という事は、恐らく俺は平民だ
そんな呼び名があったのか。それに…平民があるなら
「アウラさんは貴族とか令嬢なんですか?」
「はい。私は貴族出身です。貴族の事は貴族と言いますね」
貴族か…
平民と貴族。これは確認せねばなるまい
「貴族はフィアーゲームの事を俺等、平民よりも知っている状態で参加しているんですか?」
「いえいえ、それはありませんよ」
無いのか。それは安心できる
もちろん。アウラさんの言う事を信じきる訳では無いがな
「このフィアーゲームのセキュリティは完璧です
運営やディーラーの他言はもちろん。プレイヤーも絶対にプレイヤー以外にはフィアーゲームの事は軽々しく教えません。例え親子や大事な人でも。不必要に言いふらす事をするば、教える事で自分と聞いた人は高確率で断罪されますからね」
まぁここまで大きなゲーム
そして、明らかに金がかかり金持ちの娯楽として成立してるものを
軽々しく人に話して言い訳はないよな
「平民の方々は、何らかの事情がありデモゲームをさせられて親と呼ばれるプレイヤーに買われるというシステムで
子となり親の保護下の元ゲームに参加するらしいですね」
「買われる?とは?」
「あーそこまでお話されてないんですねぇ~
これはフィスコさんにとって大事な事なので自分の親に聞いて下さい」
親
つまり、【スバル】さんにか
「私は平民ではなく。貴族出身。
このゲームに参加を望んで入ってきた者です」
「なるほど。フィアーゲームが事前にこんな感じのゲームだと知っていてここにいるっと」
「はい。その通りです。ですが、ご安心を。知っていたのはフィアーゲームという騙し合いのマネーゲームというものがあるという事
そして、父がフィアーゲームで大敗したという事だけです」
「アウラさんの…お父さんが?」
「ええ。プレイヤーだったそうですよ。たったの2年ですが」
「そのお父さんの紹介でこの世界にって事でしょうか?」
「いえ、父は死にました」
「…そうですか」
重い
ひたすらに重い
「フィアーゲーム関連で負った莫大な借金。それに耐えきれずに父は自殺。これはわたしの親となってくれた人から聞いた事ですが、必ず3ヶ月に1回以上は何らかのゲームに参加しなければならないそうです。そして、フィアーゲームに足を踏み入れたら死ぬまでプレイヤーであり続ける。まぁ勝率を重ねると色々な制約は解けるそうですけどね」
「わかってはいたけど…そういう世界なんですね」
「ええ。詳しくはアナタの親から聞いて下さい。
とにかく私が聞きたかったのは、私の様にある程度の覚悟をもってきたなら分かりますが、恐らく貴族出身ではないフィスコさんが気になりましてね。突然こんな所に連れてこられて焦ったのではありません?私ですら、自宅に招待と言われてここに置き去りにされて焦りましたもの」
へぇー新たな情報。みんな同じ経緯や嘘でここに集まった可能性は高いのか
そこから俺達はたわいもない探り合いを続けた
アウラさんの事を少しでも知ろうと。そして、彼女が強者であるなら俺の事を知ろうと
そんな中、アウラさんに仕掛けられたか?
と、思った質問が1つ
「話は少し変わりますが、貴方の親の名前は?何というのです?」
これは言ってもいいのだろうか?
俺は素直に質問する
「これって重要な情報だったりするのか?」
「さぁ?知りません。言ったでしょう?私はフィアーゲームについてほとんど知らないと。フィスコさんと同じレベルですよ」
ふむ…
わからないが特に問題はなさ…そう?
(よし)
俺は条件を設ける事で言うことにした
「アウラさんの親の名前を教えてくれるならいいですよ」
「ええ。構いませんとも私の親の名前は【ローズ】と名乗られました」
ローズか
もちろんピンとくるものはない。なので真偽はつかない
「オレの親は【スバル】と名乗りましたね」
「スバルですか。当然ですが知りませんね」
「この情報が2人にとって有用であると願って」
「ええ。フィスコさんが嘘をついていないと信用してますよ」
「僕の方もです」
俺の中で、スバルさんという人物は
規格外という風に思っている。これに限っては理由はない
だが、神を前にした様な萎縮。俺は無宗教だが
とにかく只者ではない気がした
だから、質問に答えたというのもある
俺がさほど意味の無い質問だと判断したのが大きいが
多少なりとも、スバルさんという大物でありそうな人物を有効活用してその男が選んだ人物だからと身構えてくれたらラッキーだ
と思っていた
「少し長く喋りすぎましたかね」
「そうですね」
第3periodの2回目の審判の部屋の解放まで後5分
25分間話していたことになる
1periodが1時間なので4分の1も話していた事になる
その時間と情報量が見合っていたのか…
(見合ってないよな…)
俺が得た有用そうな情報は【平民と貴族について】と【ローズという親の話】
前者に至ってはゲームとはほとんど関係ないフィアーゲームの仕様
後者の話は役に経つのか?真偽すらわからない
俺の成果は芳しくはなかった
1番知れたことは【アウラさんは本当にわからない】という事
まぁこれも情報ちゃ情報か
わからない=俺にとって脅威の可能性があるのだから
「では、私はそろそろ。審判の部屋に入らなければならないので」
「え?接触したんですか?」
「はい。…あぁ恐らくフィスコさんは審判の部屋に入ってたんじゃないですか?」
「…審判の部屋の時間。その時に接触って出来るんですか?」
「ええ。できるみたいですね。現に私がやりましたから」
こ…ここにきて新事実
確かにディーラーはゲームを止めると言っていた
それを俺は勝手にタイムが止まり、接触ができないものだと思い込んでいた
実際はアウラさんの言うことが本当ならば、タイムが止まるだけで
接触はできるという事らしい
審判の部屋は防音になっており中には音が聞こえない
そして、密室で唯一ある扉も情報漏洩の為に開けるのは不安すぎる
審判の部屋の扉は構造上、隙間を開けておくという事ができない様になっている。バネで隙間が空いていると自動で全開になるのだ
そもそも、神と死神と人間と死者。それぞれに短いアニメーションがあり音が鳴る。盗聴が禁止されている理由だ
つまり、外の音を聞こうと思えば全員に聞かせる事になる
つまり、審判の部屋に入っていた場合
その間に接触をされると把握できないという事だ
(クッ…誰と接触したか知りたかったんだがな)
いや、待てよ
「ちなみに、誰と接触したんですか?」
「ニュートさんです」
「へぇー」
教えてくれるくれた
あっさりとだ
ただ、ニュートという人物がわからないが
調べようと思えば調べられるだろう
「それでは、私は行きます」
「あ、待って」
「はい?」
「アウラさん。プレイヤー全員と話して何を企んでいるんです?」
俺はさりげなく最後に探り合いなどなんのその
爆弾を放り投げた
「フフ。それは勝つためですよ。みなさんと仲良くして信頼関係を気づけば+で終えられるかもしれないでしょ?」
「そうですか。お互い頑張りましょう」
「はい。またお話しましょうね」
俺の爆弾はなんとも微妙に終わった
あの言葉をどう取るか。文脈的に嘘は言っていない
そして、相変わらずのポーカーフェイス
策を巡らせているなら、少しくらい動揺してくれてもいいものだが
本当に素なのか?っと思ってしまう
そんな考えが俺の警戒心をどんどん上げていくのだが
確証がないのがもどかしい
雪ウサギさんはどこを見てアウラさんを黒幕だと思ったんだ?
憶測や適当でもいいから教えて欲しいと思った
そう思い
少し見渡したが雪ウサギさんは見つからなかった
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ピーチside
そして、時はアウラとフィスコが別れる少し前くらい
(どうしよう…)
私は後悔していた
フィスコ君との約束を破ってしまい
尚且つ裏切ろうとしている自分に…
進んでいないようで確かに動いている本作
あえて、言います。タイトルには色々な意味があります
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