決闘① ルール説明
ルール説明回
次話に会話など無しのルール説明を載せます
「決闘…」
ゲームの名前がアンセムによって告げられると
周りの観客達がガヤガヤと騒ぎだした。
それにしても今意識したが観客も全員仮面を被っている。
とてつもなく不気味だ
そんなことよりゲームだ。名前からはなんとも想像し難いゲーム名だ。
ゲームというからには暴力ではないのだろう。
そもそも本当にそんな内容なら流石にこの子を殴る蹴るするというのは気が引ける
俺がそんな事を思っているとアンセムが喋り出した
「それでは、皆様本日のゲームを知らないお客様達。そしてこの哀れな子羊達の為に不詳アンセムが解説をさせていただきます。ご清聴下さい」
アンセムがそう告げた後。
またキレイな音の指パッチンをならした
「パチンッ」という音を合図に天井から吊るされたモニターに電源がつき動画が始まり出してそれに合わせてアンセムのゲーム説明がスタートした
「決闘とは[勝者が決まるまで闘う]と書いて決闘と書きます。
ローマ政帝期にはコロッセオと呼ばれる闘技場にて戦士達が人と時には猛獣と戦うのが有名ですよね。コロッセオは富豪層の者達が娯楽の為に見物をした言わば現代で言う格闘技の様な物ですね。
本日はそんなコロッセオに似せた舞台を用意させて頂きました。両プレイヤーにはこの舞台にて1VS1のガチンコ対決をして頂きます。皆様はもちろん観客側となります」
俺がコロッセオという感想を持ったのは間違っていなかったらしい
アンセムのもの言い以前から半ば確信を持っていたがやはり四方を囲む仮面の男女はやはり観客なようだ。
観客達は高そうなドレスや礼服に身を包んでいる。
推測するに富豪層の者達なのだろう。
なんともまぁ忠実に再現された事で
「前置きはここまでにしましょうか。それではそろそろゲームの内容についてお話しましょう。」
とうとう始まるのか…
俺は一層アンセムの言葉に耳を傾けた
「使うものは至ってシンプル明快!♡のA~Kと♤のA~Kです。
フィスコ様には♤のA~Kを雪ウサギ様には♡のA~Kをお配りします。」
トランプか…どんなゲームがくるのかと思っていたが
そういう類のゲームならやり尽くしたし多少は自信がもてそうだ。
「本日のゲームの勝利条件は両プレイヤーを親と子に分けます。
親と子は2回ずつ交代し最高で1セット6回入れ替わります。
そして親から先に裏向きにカードを出してその後、子側は同じく裏向きにカードを出します。両者がカードを出し終わったら親側はカードをOPENです。
数字が高かったプレイヤーに1ポイントです。加えて数字が同じ数字であった場合は親側の勝利とします。このポイントを先に6ポイント先取したプレイヤーが1セット目の勝利です。
続く2セット目は手札をリセットして再スタート。これを2セット先取で勝利となります。」
「ここまでOKですか」
アンセムは俺と雪ウサギさんを交互に様子を伺うと
問題なさそうな様子を察して説明を続けた
「それでは続けます。今回のゲームですがこのままでは味気ありませんので追加ルールを設けさせてもらいます。追加するルールは3つです。」
ここからか…
俺はここからが大事な所なのだろうと思った。
根拠はアンセムだ
人の行動の殆どには意味がある。それが俺の根拠
俺の感じたアンセム。コイツは常に身振り手振りを交えて少しでも伝わりやすくを意識しているのだろう話し方をしている。声に抑揚を持たせる事でテンポに載せて少しでも盛り上がる様にしている様に見える
そんなアイツは今息を吸った
人は息切れした時や緊張した時、そして言葉に抑揚を持たせたり大きくしようとしたりする時にも息を吸う。大きく息を吸うというのは言葉を強調させたい事と同義
アンセムの顔は仮面で分からないが顔という情報の宝庫を伺わなくてもいい分他に集中できる。
そして案の定俺の予知は的中する
「さぁ!それでは1つ目のルールです。親と子の決め方についてです。このゲームは皆様お察しかもしれませんね。
先行が少し有利になっております。数字が同数の場合は親側の勝利となるからです。このゲームでの親の決め方については、ポイントが関係する事のない勝負をして頂ます。カードを両者裏向きに置き数字の大きかった方を親とします。
この時使ったカードは親決めのしたゲームの1セットでは使えません。出た数字が同じ場合はそのカード以外でもう一度親決めをして頂きます。そしてそのカードを除くカードでもう一度勝負していただき勝敗が決するまで続けて頂きます。」
何を切るか…かなり大事そうだな
「もしも、12回の親決めで決まらなかった場合は私が両プレイヤーのカードからAのカードを拝借し両者カードを見ないでシャッフルして頂きます。
そして私がカードを見ないで選ばせていただき♤であればフィスコ様♡であれば雪ウサギ様に親をして頂きます。
この時捨てるカードは両プレイヤー[10]のカードとさせて頂きます」
10?
恐らくしっかりと理由はあるのだろうな
「この親決めで使えなくなるカードは勝敗が決した時出したカード1枚です。なので合計12枚のカードで勝負して頂く事になります。」
追加ルールよって出すカードが決まるか…
「それでほ2つ目のルールです。今回のゲームこのままのルールですと些か問題があります。それは少し考えれば分かる事ですね。」
考えてみた
「では〜フィスコ君!先行になった場合A~K全ての手札を持っていたとして1手目の最善手はなんだと思う?ひねくれた答えではなく正攻法を聞いてるのでお間違いなく」
突然の問いかけにビクッとなるが
答えはすぐに出ていた為すぐ答えが出せた。
「Kだな…」
「うむ。しっかり考えているね。正攻法で最もちなみに理由は?」
「1ポイントが確定するから」
「そうですね。何の捻りもない方法の1つだが最善手に近いかなり有効な手だね実際に私もKを出すね。では、簡単な問いだね。親側がKを出すとして次に子側が出す最善手は?雪ウサギさん」
今度は俺の逆側。雪ウサギさんの方を向き問いかけた
「Aね」
「そう。AはA同士の戦いで親しか勝てないからね
まぁ実際にプレイしてみると裏をかいて子側が2を出してAを倒すという展開になる事も多い。そしてその裏をかいて親側は3を出すなんて事もよくある。このゲームはこのままでも一見成立している。」
アンセムは今度は俺の方を向いてまた質問してきた
「では、どこが問題なのでしょうか?はい、ではフィスコ君」
問いかけられた俺はというと
答えが用意できていない…
俺は頭を働かせる
「おやぁ~難しかったかね?」
ゲームとしては成り立っている…
だが問題ないあるという
「ふむ。わからないようだね」
あ…もしかして
「では、雪ウサギさん。はどうですか?」
アンセムは雪ウサギさんに向き直り問いかける
そして雪ウサギさんは答える
「パタ」
「パターンが絞られるから!」
前に俺が答えた
そんな俺にアンセム、観客、そして雪ウサギさんの視線が俺に注がれる
「学生同士でやるなら良いが今のルールだとプレイングが偏って俺らを見ている野郎達が退屈するからじゃないか?」
俺はテーブルに両手を付いて半立ちになって言葉をぶつけた
「ほぅ…」
アンセムは顎に手を当て関心する様な仕草を見せ声を漏らした
同時に視界に入っている雪ウサギさんは少し笑っている?
「お見事だ。フィスコ君少し見直したよ」
アンセムはバカにしたような全く気持ちの篭っていない拍手をしながら言ってきた。
「君はしっかり考えれば頭がいいのかな?それとも私と同じエンターテイナーなのかな?」
「冗談じゃない」
「フッ。つれないねぇ~」
アンセムはやれやれと言った風に嘆息をついた
まぁこれもお得意のおちゃらけた演技なのだろうけど
「さて、フィスコ君は100点満点の答えをしてくれた。
では、代わりの質問だ。雪ウサギさん新たなルールを加えてより面白いゲームにしてみるとしたら?」
「知らないわよ」
「そんな事言わずに考えてみてくれよ」
「……JOKERを両プレイヤーに1枚ずつ配る。
JOKERはJ~Kにのみ勝てるカードとして扱うというのはどうかしら」
「いいねぇ~それは第1大会~第5大会まで実際に使われていたルールだよ」
アンセムは俺の時と同じ様に拍手して賞賛の声を送った
「皆様!どーーーーうですか!」
アンセムはクルりと反転しお客達に語りだした
「アンセムはワクワクしてまいりました。この2人がどういった戦いをするのか楽しみですねぇ~」
アンセムは上機嫌?な様子で両手を天に掲げながら語っている
「さぁ~て」
アンセムは言葉と同時に俺等の方を向き直った
「雪ウサギさんも良い答えを出した所で、このゲーム最大とも言えるルールです!」
このルールが
「そのルールとは」
俺等を苦しめる事をまだ知るよしもない
「Aと2を大幅強化します!」
俺等が…いや、俺が知る時は刻刻と迫っている。
「さぁでは詳しく説明しましょう。」
アンセムが第2のルールの詳しい説明を始めた。
俺はアンセムの説明を固唾を飲んで聞き入った。
「まずAと2の強化と言いましたがまずは2から説明します。2はAに加えてJ、Q、Kに勝てる。そして、勝った場合は2ポイント一気に入ります。」
…なるほど
軽々しく強いカードを出してもいいって理由じゃないという事か
「そしてA!Aが勝てるのはKのみとなります。ですが、AでKを倒した場合は例え0ポイント対4ポイントであったとしてもAで勝った側のセット勝利となります!どうです?面白そうでしょう?」
マジか…
これは結構奥深いゲームかもしれないな
そして親決めの際に10が捨てられる意味も分かった
「加えて3つ目のルールです」
しかもだ。もう1つルールがあるときた
「そのルールの名を[捨て身]と呼びます。防御を捨てて勇敢に突進するが絶大攻撃力を出す捨て身。この捨て身を使う場合!
使えなくなったカードを1枚だけもう一度使う事ができます。」
これまたゲームが複雑化するルールだな
「しかし注意点がございます。この捨て身というルールは両プレイヤー3セット通して1度しか使えません。加えてもう1つ手札を復活させるに前に防御つまりは自分の何かを捨てなければ捨て身にはなりません。
なので例えばフィスコ君が手札を復活させたい場合は雪ウサギさんはフィスコ君の手札を1枚手札に復活させる前に指定して捨てさせる事ができます。」
なるほど手札の絶対数は変わらないわけか…
「最後に禁止行為です。相手の手札に触れる事、使ったカードを捨て身を使った場合を除いて勝手に手札に加える事。暴力行為や契約書を用いた手札強制なども禁止です。」
まぁ当然だな。
「以上を持ちまして説明を終わらせて頂きます」
これでアンセムのゲーム説明が終わった
後に振り返ると俺の運命の分岐点でもあるGAMEが始まる