転生ゲーム① 人生の第2幕
物語は次のステージへ
ここからが、物語の本格的始動!
俺が車に乗り込もうとすると先客がいた
確信は持てないが、恐らくアジア系の顔
年齢ほ俺とそう大差は無いはずだ
茶髪のツインテールに何処かキョトンとした顔
普通に可愛い
そして、おっぱいが大きい
俺は数瞬の間、彼女の事を凝視してしまう
俺はそんな自分を自覚し、彼女の挨拶に返答した
「Hello. How do you do」
俺は英語で返した
高校生レベルとはいえ、それなりに成績の良かった俺だ
既に、一流大学の入試レベル位までのコミュニケーション英語なら話せる
「え?あーYES!プリーズ…シットダウン!」
何ともぎこちない英語の返答がきた
俺は今のやり取りで確信した
「えーっと。日本人ですか?」
「え?あなたも?」
まぁ思った通りであった
「そうだよ。隣失礼するね」
「あ、はい。どうぞ」
俺の後ろでは、スバルさん達が何も言わずに俺達のやり取りを見守っていた
「俺の名前は……フィスコっていうんだよろしく」
俺は少し悩んだ末に、ゲームのプレイヤーネームを言った
「…やっぱり、私も偽名を名乗った方がいいかな?」
首を僅かに傾げて問いかけてくる彼女
かわいい
「うーん。どうだろ。俺は一応?って感じで答えた」
別に今、明確な理由があってプレイヤーネームを名乗ったわけではない
ただ、何となく。これから飛び込む非日常に本名というのはどうだろうと直感的に思った。ただ、それだけだ
「口を挟ませて貰うね」
俺らが会話をしていると
スバルさんも後部座席に座ってきた
スバルさんが入ってきて3人となった後部座席だが
まだまだ余裕がある。何せこの車はリムジンと呼ばれる
日本では早々お目にかかることの無い車だからだ
「原則。本名やプレイヤーネームのどちらを名乗ろうと構わない
但し、詳しい説明は後からするが家族間の間でだけだ
つまり、外の世界。要はゲーム内では偽名を名乗って貰う事になる」
なるほど
この件に関しては理解はした
が、同時にポロっと大事な情報が零れた
「えっとー今の口ぶりから察するに、彼女も家族の一員
いや、多分俺と同じ立場だから今からなるのかな?」
俺はスバルさんに疑問をぶつける
「そうだよ。だから、君達には目的地に着くまで2時間程かかる
だから、その間に親睦を深めて欲しい所だね」
ふむ、明るい印象の子だし
仲良くなれそうな気はするが…
「…家族間で敵対したりはしないんですか?」
俺は仲良くする上での懸念材料を問いただす
これは非常に大事な事だ。普通の人よりも情報の大事さを知っているつもりの俺は敵になるかもしれない奴に不用意に情報を与えたくない
「そうだね…答えとしては、なるかもしれないしならないかもしれないかな」
…なるほどな
ならば、っと俺が考え始めようと思った矢先
「だが、可能性の話だ。僕の家族は概ね仲がいいよ。犬猿の仲みたいな関係の子達はいるけど、ドン底に叩き落としてやろうとか思ってるんけじゃない」
「そうなんですね」
「うん。僕もね。君達2人と同様に満足に家族関係でトラブルがあってね。家族団欒というのには夢を持っていたし
今、自分の子供達を思い浮かべて、概ね実現できたかなと思うよ」
スバルさんも…家族関係でトラブルが…
いや、もう1つ驚いたのは彼女もか
俺は隣に座る名を知らぬ彼女に視線を促す
すると、ちょうど彼女も俺を見ていて視線が交差する
俺は、反射的に目を逸らした。
そしてまた、スバルさんの方に向き直す
「口ぶりから察したんですけど、スバルさんが家族と呼ぶ団体?
も複数あるって事ですか?そして、仲の悪い所もあるっと?」
俺は「僕の家族は」っというワードに引っかかりを覚え
こんな質問をした
「そうだね。形は様々だ
僕と同じ様に家族の様に扱う者や放任主義な者。
上に立つもの。君達の場合は僕ね?が違えば十人十色の家族がある」
ふーん
なるほど
「じゃあ」
「あーちょっと待って貰えるかな?」
俺が追加で質問をしようとすると静止が入った
「君達のこれからについての話は僕等の家についてからにしよう
今は2人に親睦を深めてもらいたいな。これから家族になるんだしね」
なるほど。まぁ確かに車の中で話す程軽い話でも無いか
「すいませんでした。えーっと…名前聞いてませんでしたね」
「え、あ!はい!私は茜桃って言います」
「それは…本名ですよね?」
「え?あ、そうですね。不味かったですかね…」
どうなんだろ
俺はスバルさんに目を向けた
「フフ。大丈夫だよ。家族の間にならね
ただ、本名をを家族外に口外するのは基本厳禁だし
家族内での会話はプレイヤーネームにして欲しいね
ゲーム中にボロが出るといけないからね」
つまり、本名を明かす必要性は一切無いのか…
「この機会に聞いておきたんですけど、家族内で名前を明かしていない人はいるんですか?」
「いるね。ただ、スタンスとしては心を開いたら教える位に考えてもらえるとちょうどいいかもね」
「なるほど。わかりました」
やはり、本名を明かす必要はないんだな…
「あうー…」
あうーって笑
桃さんは落ち込んでいるのか、とてつもなくあざとい落ち込み方をした
「坂巻裕二」
「え?」
そんな姿を見て
俺は本名も伝える事にした
「俺の本名。これからもよろしくね」
「よ、よろしくお願いします!」
俺と桃さんは握手した
「プレイヤーネームはフィスコって言います。これからはそっちで呼んでくださいね」
「はい!」
俺は仲良くなる為に本名を明かす事にした
目的は距離感を近づける為。非常に打算的で計画的な考え
「私のプレイヤーネームはピーチって言うそうです。私もピーチって呼んでくださいね」
「ピーチさんね。了解」
桃さん改めピーチさんとの自己紹介が終了した
その後は、特になんという事はなく
桃さんと俺を中心に会話が弾む
スバルさんは俺達の会話を終始ニコニコした顔で見守っており
自分から会話に入ってくる事はなかった
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「わかったよ」
俺がピーチさんと会話に興じていると
スバルさんが独り言を漏らした
いや、独り言ではなく
ハンズフリー、インカムの類を耳に付けていた様だ
「もうすぐ僕の館もとい君達の家になる所に着く
気構える必要はないが、心の準備をしておいてくれ」
「「はい」」
俺とピーチさんはスバルさんの問い掛けに頷く
気を緩く持てと言われたが無理だ
俺の性格上、警戒して万全の体制でいるつもりだ
ただ、俺が唯一警戒心を解いている事柄がある
ピーチさんの存在だ
俺は思う
ピーチさんはほぼ間違いなく俺と同じ処遇
ここで言う処遇とは、この世界の事をほとんど何も知らず
この場にいるという事
俺はピーチさんを信じるまでに行かなくとも
同じ境遇の人と認知した
逆にもしもこの子が雪ウサギさんと同じ様な人
もしくは、運営が仕向けた刺客なのだとしたら
それはそれで要警戒な人になる
その場合は二度と信じる事の無い。明確な敵として認知できる
これから大事になるであろう俺の感覚
俺は俺の感覚に従う
その結果がこの考えだ
「ピーチさん大丈夫?」
俺はピーチさんに気遣いの言葉をかける
「あはは。不安だけど、フィスコのお陰でそれほどでもないよ」
「そっか。俺もビーチさんがいなかったら取り乱してたかも」
「フィスコ君は絶対にそんなタイプじゃないでしょ~」
「いやいや、そんな事ないよ。俺は最近まで一般人だったわけだしね」
俺は、頼れる男までとはいかなくても
動じないピーチさんをリードできる様な男になろう
正確には、振舞おうというスタンスで彼女に接する事に車内の会話で決めていた
これから先、どんなゲームをするかも分からない
もしも、団体戦があるのなら
ピーチさんの様な素直に意見を求めてくれそうな子
悪く言えばコマは確保しておくのは悪い選択じゃないはずだ
「さぁ着いたよ」
車が静止してスバルさんが話だす
「君達に1つ聞いておきたい事がある」
俺は少し身構える
ピーチさんもどうやら緊張している様だ
「君達は本当に僕のいる世界に。僕の家族になって人生を新たなに始めたいと今でも思っているかな?」
俺の答えは変わらない
「俺は思ってる。俺にはもう何も無い」
ここまで来て、後に戻ってたって暗闇だ
この先が深淵の闇に繋がるのか光明が指すのか
その選択が本当にゲームで決まるというのならば
俺は自分の力で掴み取りたいと思う
この先にもしも、俺の望む展開で無かったとしても
人生の幕引きとしては悪くないかなと思う
「私も…スバルさんを信じると決めましたから」
俺の知らない所で
スバルさんとピーチさんにも話し合いがあったのだろう
そして、ピーチさんも今覚悟を持ってきているのだと知った
「しかと受け止めたよ。さぁ始めよう。君達と僕の人生を」
スバルさんは俺とピーチさんと握手を応じてくる
俺とピーチさんはその握手に応じる
「さぁ車を降りて」
スバルさんがそう言うと俺のすぐ横のドアが開く
俺は反射的に扉の外へ降りる
俺にピーチさんもならい車の外へ
次いでスバルさんも車から出てくると思っていた
が
車のドアは閉まった
「おい!どういう事だよ!」
俺の問い掛けに、俺の座っていた所にスバルさんは移動してきた様で
窓が徐々に空いていき、スバルさんが顔を出す
「すまないね。決まりなんだ。君達の検討を祈っている」
それだけを伝えると窓が徐々にしまりながら
車は発進していった
「…どういう事だよ」
俺は頭をかく
俺もピーチさんも呆然とその場に立ち尽くす
やはり、騙された?
俺が思考を始めていたら服の袖が引っ張られる
ピーチさんだ
「何?」
「誰かがこっちに来る」
俺はその言葉を合図にピーチさんが指を指してした方向を見る
俺の視線の先には仮面の男が歩いて来ていた
「×××××」
俺とピーチさんの頭には疑問符が浮かぶ
何故か?答えは単純
言語が理解出来なかったからだ
英語や中国語ではない意味の全く理解できない言語だった
仮面の男は耳に付けていた補聴器の様な機械を何やら操作する
「日本人のプレイヤー。フィスコ様とピーチ様で間違いありませんか?」
今度は俺達の母国語である日本語で話しかけられる
「…はい」
ピーチさんが返事をする
俺は仮面の男の一挙手一投足に目を配っており反応出来なかった
「こちらを装着して下さい」
仮面の男は右手に小さなトランクケースを持っていた
その中身を見せながら俺達に差し出してくる
「これ何なんですか?」
中身は、仮面の男が耳に付けている機械だった
「これは殆どのラグがなく同時通訳してくれる機械です
これより、あなた方は他国籍の人ともコミュニケーションを取らねばなりません。なので、こちらを差し上げます」
翻訳機か
俺はその翻訳機を受け取り耳に装着する
「お渡しした翻訳機には、聞こえる言語は日本語。
喋れる言語は英語としてあります。変える事もできますがゲームの最中は常に喋る言語は英語にして下さい」
俺は驚いた
「今、アナタの喋った言葉は日本語ですか?」
「いいえ、違います」
俺はさっきの謎言語でまた、喋ったのではないかと推測を建てて質問した
驚いた事はラグが無いとの事だったが。0に感じる程だったからだ
「こちらの翻訳機は一般には出回っていませんがラグが殆ど0で
言葉の意味を履き違えること無く正確に母国語に直してくれるスグレもです。中に人工知能が入っておりまして随時進化を遂げておりまして、現段階を持って翻訳機を利用した言葉の違いによる誘導は不可能と言っても良いレベルにまで達しています」
スゲーな…コレ
俺の翻訳機のイメージはどうしても片言で要領を得ない物だったが
ここまでの長文でも問題なく意味が伝わる
常識を覆されるレベルだ
「こちらの機械は、御二方それぞれの口調を人工知能が学び親しみやすい言葉へと変わっていきます。それぞれが使う時間が長くなる度に性能も高くなっていき慣れも深まって行くって事だろう」
人工知能…
聞いた事はあったが恐ろしいな
「あのー私からも…これから私達はゲームをするんですか?」
俺達の質問が一区切りを終えたのを確認してか
ピーチさんがおずおずと質問をする
当然俺も言葉の中にその単語を聞き気にはなっていた
俺が特殊なのか
意識が先に翻訳機の方へ行ってしまっていたのだ
「はい。詳しい内容は後程説明させていただきます。御二方こちらへ」
そう言うと、仮面の男は歩いていく
ピーチさんビビってるな…
無理もない
仮面の男のその仮面の顔は
日本の被りもの
白塗りの般若だからな
妙に迫力と不気味さを放っている
俺は般若の仮面の人物についていく
目的地は目の前の洋館に向かって
ゲーム開始は2~3話位後