決闘⑫ 第2ピリオド終了と…
あとがきに両プレイヤーが使った順番のカード情報あり
俺の2での勝利により形勢は一気に俺に傾いた
これでこのピリオドは俺の勝利が固くなったわけだ
あと2ポイントこれはもう近い
そしてカード的にも俺有利な展開か
雪ウサギさんのカードの最高値はKだがそれは俺も同じ
次点のカードの強さは雪ウサギさんが8俺が9
この時点で俺がかなり有利な展開なのがわかる
今後の俺の方針はKと9と8を主軸に考えた戦略
9はK以外の時に出せば勝ち確定
雪ウサギさんのKにさえ当たらなければ手堅く1ポイントでリーチだ
後はKを出せば高確率で勝ちなのだが何分Aが引っかかる
相手にKを読まれてはこの有利な状況関係なく負ける
ただ、Aはかなり出しにくいはずだ
Kが当たらなければ問答無用で1ポイントをあげる様なもの
リーチか決勝点になりかねない
どうせ、負けるならっていう思考もありえるのか…?
いや、ないな。少なくとも勝負を捨てる様な子には見えない
この子は博打はしないと思う。恐らく根拠をもってカードを出す
絶対の根拠など無い。しかし、俺の感覚と考えを信じる
ならば、Kを主軸として入れても問題ないだろう。
だからといって迂闊に出す事も出来ない
「もしも」があってはならないからな
俺はカードを伏せる
雪ウサギさんも続いてカードを出す
もしもだ
ここで
Aまたは8が出てくれば俺の勝利が確定する。Kでも可能性がグッと高まる
さぁどうだ?
「場のカードの結果雪ウサギ様にポイントが入ります」
よしキタ!!
フィスコ ♠︎6
雪ウサギ ♥8
フィスコ 4ポイント
雪ウサギ 3ポイント
これで次点の最高値が変わった
これで子の時8でK以外には勝つ可能性が確定した
雪ウサギさんはKの出しどころをミスれば負けが確定する
「いいかしら」
俺の思考をよそに雪ウサギさんはスっと手をあげ声を発した
「はい。何でしょう?」
問いかけにアンセムが答える
「捨て身を使うわ」
勝負を決めにきたか…
正直、俺はもう半分勝ちを確信していた。
そこへ、捨て身宣言
ただ、この捨て身
使い所としてどうなんだろうか
この捨て身の意図
…雪ウサギさんはこのピリオドで勝負を決めにかかりにきている
この捨て身はこのピリオドを勝てば勝利するという条件ならば有効な一手だ
「かしこまりました。それでは捨て身を発動します」
捨て身が発動って事は
「フィスコ様。それでは雪ウサギ様のカードから切りたいカードを選んで下さい」
切りたいカード
それは決まっている
「Aだ」
俺は危険分子であるAを消した
Kでも良かったが、どうしてもさっきの一発負けは気になる
ならば、こんの不安要素はとっとと消すべきだ。
それに俺は高確率で勝利するしな
「かしこまりました。雪ウサギ様Aを使用不可になった束へ」
アンセムの促しで裏がされて置かれているカードの束にAを置いた
「それでは雪ウサギ様。使用不可の束から1枚好きなカードをお選び下さい」
「これで」
雪ウサギさんはカードを机の下でよく混ぜてカードを1枚手札に加えた
さて、これでAの一発負けは無くなった
形勢は俺の有利。2ポイントも怖い所だが俺には今Kしかないのでリスクは同じ
そして、そもそもKを出さない可能性すらある状況
今の状況
雪ウサギさんの親に変わる次の勝負2戦。俺の安牌は9と8
そして、もしもその内1回。Kで勝利すれば俺のこのピリオドの勝利が確定する。
雪ウサギさんは2をKに当てられなければ負け確定
心理状況とゲームの状況からある程度は読めるかもしれないが可能性はどうしても低い
俺が負ける条件としては、Kを2で切られる
そして、捨て身で加えられたカードXで負ける事
どちらが有利か分かってもらえるだろう
そして、俺の予測では恐らくカードXは「♥10」
まぁ効率的に考えればまず間違いないだろう
ならば、俺の選択肢。様子見の一手でもあり最善手のカード
取り敢えずこのカードを出すのが正解かな
俺は♠︎9を場に伏せた
俺は顔を上げた
そして、雪ウサギさんと目があった
雪ウサギさんはすぐにカードに目を落としカードを伏せた
「両者カードを確認しました。OPENです!」
アンセムの宣言によりカードをOPENする俺と雪ウサギさん
そして結果は
フィスコ ♠︎9
雪ウサギ ♥2
俺は勝負に勝ち
ピリオドの勝利も同時に確定した
「(*-`ω´-)9 ヨッシャァ!!」
俺はガッツポーズを作る
これで俺は次のターン8を出す。負けて1ポイント取られても雪ウサギさんはまだ4ポイント
俺の親でKを出せば雪ウサギさんが何を出そうと俺に1ポイント
俺の勝ちだ!!
俺は考える必要がない。カードを即座に出す
雪ウサギさんの顔を伺う。当の本人は相変わらずクールにカードに目を落としている
俺にとっては全くもって強敵である彼女だが
勝てないなんて事はやはり無い
次のピリオドでも今回のピリオドの様に上手く立ち回れば勝てる
「カードが場に出されました。両者カードOPENして下さい」
フィスコ ♠︎8
雪ウサギ ♥K
フィスコ 5ポイント
雪ウサギ 4ポイント
今回の様な展開に持ち込めれば俺はまだ「捨て身」を残している事を加味すると俺の有利
次の勝負も俺が貰う!!
俺はトドメのKを場に伏せた
雪ウサギさんも続いてカードを出す。考える必要がないからな
この2ゲームすぐに場にカードが揃った
「このピリオドも終わりですかね」
アンセムが定型文以外の事を言い始めた
「さぁ勝負の行方は如何に!両者カードOPEN!」
俺はカードを表に返……そうとした
ゾクッ!
俺は嫌な視線を感じた
その正体はアンセムだ。俺をじっと見つめてきている。
何だ。この視線。俺を観察するかの様な視線は
いや、気にするな。特に理由もないだろう。不愉快や奴だ
俺は♠︎Kを表に返すべく視線を前に戻す
俺はカードをめく…れなかった
「は?」
俺の目には信じられない光景が映し出されたからだ
「♥のAだと…?」
待ておかしい
どういう事だ?確かに俺は雪ウサギさんが捨て身を発動させた時
「Aを捨てろと」言ったはずだ。
間違いない
「どういう事だよ!アンセム!!」
それならば不正をした。その可能性しか…
「いや、まさか…」
もしかして。そういう事なのか?
「気がついたかね?」
アンセムが俺に問いかけてくる
「そうだよ。恐らく察しの通りだ。雪ウサギ様は捨て身の時、Aを捨てた後にもう一度Aを手札に加えたんだよ」
捨て身のルール
捨て身を発動を宣言した後
相手プレイヤーは相手の手札から1枚カードを選択して切る事ができる
その後、切られたカードの中から1枚選び手札に加える事ができる
そして、その加えられるカードは捨てさせたカードも含まれる
「そんな事…そんな事一言も言ってないじゃないか!!」
俺はアンセムを怒鳴りつけた
そりゃそうだ。ルールで予め言われていたなら注意する事もできた
そう。回避できたミスだったろう
「フィスコ様…いや、フィスコ君」
アンセムは俺を様付けから君付けに変えた
あぁこれはアレだ。
「評価を見直していたというのに失望させないでくれたまえ」
ゲームが始まる前
質問の時に向けられた侮蔑される様な雰囲気
「言っただろう。全て教えて貰えるのは学校の中だけだと
そして私はこうも言った。ルールでわからない事はないかと
その時に聞いて貰えれば私は嘘偽りなく答えたさ」
何も言い返せない。全て真実だからだ
クソ!どうしてこうなった
いや、俺の不覚だ。雪ウサギさんはルールを…いや、待て
「何で!何で雪ウサギさんはこのルールを知ってたんだ!
おかしいじゃないか、伝えられていないのは彼女も同じはずだ」
俺は雪ウサギさんに指を指し抗議する
それにアンセムが
「それは「私はしっかり確認したわよ」」
答え様とした所で雪ウサギさんが被せて答えた
俺は雪ウサギさんに視線を移す
「私が確認したのはリハーサルよ」
リハーサル……ッッ!!!
そうか。そういう事か!
「私はリハーサルの時アナタに宣言された数字を手札に加え直した
そして、その行為はアンセムには咎められ無かった。
つまり、この行為はルールの範疇だと言う事になるわ」
「雪ウサギ様。その通りです」
そうだ。あの時は雪ウサギさんはカードを手札に加えるだけ加えて
場にカードを出していなかった。それは俺にこのルールに気づかせない為だったという事か
敗因そこの差か…
俺もこの会場の雰囲気に乗せられ冷静の判断が出来ていなかったという事か
「フィスコ君。アナタ自分の敗因はルールを見誤っていた事だと思ってる?」
え?
そりゃそうだとも
「違うわよ。アナタの敗因は他に2つある」
は?2つだと?
俺のプレイングはAでの結果を除けば完璧だったはず
「まず1つ目。恐らくアナタはこのゲームを勘違いしているわ」
「勘違い…だと?」
どこがだよ。俺は完璧にこのゲームを分析して、自分なりの確かな筋道を建てた
現にリハーサルは勝ったし
第2ピリオドだってAさえ出されなければ勝っていた
第1ピリオドに至ってはラッキーパンチだろう?
「このゲームは相手のJ以上に2をそしてKにAをぶつける事を念頭に置くべきゲームよ」
は?そんな非効率な戦略が成り立つわけが…
「まぁ勿論。不確定要素はあるけれどある程度詰めて行けば可能性はどんどん高くなる。このゲームどれだけ有利に進めても恐らく相手は4ポイント以上。最低でも3ポイントにはなると思うわ。」
確かに。実際にやったわけではないが
そういう結果になるかもしれない
「このゲーム。しっかり考えてプレイすれば、なんやかんやで4ポイントは高確率取れると考えるわ。そこからどうするかは3択。アナタの様に順当に確定した値でそのまま点数を重ねるか」
俺はこれが1番効率がいいと思っていた
「もう1つは効率的なプレイをしつつ残り2ポイントを「2」で勝利する事で埋める事を目指す。これはアナタが意識していたかは知らないけど結果的に第2ピリオドはこの結果になりかけたわね」
そう。俺はこのプレイ方法までは可能性は低いながらも
可能性は考慮していた
「もう1つ」
これだ。これが俺と雪ウサギさんの差
「拮抗する可能性の高い不確定な勝利よりも
相手の出す手を読み。Kを出すであろう所にAを合わせる
このゲーム。一見KにAを当てるのは難しいと思うかもしれないけれど以外と絞る事もできる。」
確かにそうかもしれない
俺はAの可能性が低いからと端から捨てていたが
もしも…もしもだ。俺がAで勝つ事を目指していたならとも思う
思ってしまった。そして、これは自分のプレイスタイルが否定する事になる
俺は自分の手法に疑いを持たなかった
ここに来てのコレだ
クソッッ…悔しい
「例えば、自分が親で子の場面。そして、特に1番最初。
そう。初っ端の貴方のプレイの様にね」
俺の引っかかった奴だ
確かにそういう風に考えるならば、Aを早々に処分するという意味でも
いや、3で負ける可能性だってある。非効率だ
「他にも詰めの場面。4ポイント。5ポイントの場面では出されやすい傾向があると思うわね。人は勝負を決めたい時確実性を求めるものよ。自分のやった事に誰しも不安要素を残したくないものよね。
そして、緊張感からはすぐに逃げたくなる。
この場合は勝負を決めたい。せめてリーチにしたいなんて考えね」
そうだ。俺はあの時。Kを出す事に躊躇いを持たなかった
これで、負けるはずないと思っていたのもあるが
少なくとも俺は親だったし雪ウサギさんは4ポイント
あの場面「♠︎7」でも良かったんだ。
仮に俺の予測通り「♥10」だったとしても雪ウサギさんは5ポイント
ここで、俺の勝利が本当の意味で確定していた事になる
その一手を取っていたら俺は必ず負けていなかった
この一手が俺の第2ピリオドの敗因か
項垂れる俺に雪ウサギさんが声をかける
「そしてもう1つの敗因は、自分の考えが1番効率が良いとか思ってるでしょ?それよ」
「俺が間違っていたと?」
「いいえ。貴方の考えは間違ってはいないと思うわよ。
アナタが間違えているのは、自分の考えが1番だと思っていた事よ」
あぁ…そうか。確かに俺は思った
雪ウサギさんのプレイを理解できない
3を出し続ける事が最高効率とは思えないっと
「貴方は自分の考えが1番正しいと思っている。
リハーサルと第2ピリオドで「♠︎J」を出した事から親を取ってゲームをポイントを有利に取っていこうと言う考え。第1ピリオドは「♠︎A」を切った事から「K」をAで倒す事を放棄している事位ならわかる」
「人の意見や考えによって意思が揺らぐ事はない。これは武器にもなり得るけれど諸刃の剣よ。時に弱点にもなり得るわ」
クソ…悔しいな…
「アナタは自分しか見えていない。アナタは私の事ばかりで自分を正しく制御できていないわ」
強いな…
ルールの裏を読み取れなかっただけが敗因じゃない
思考を読まれ。踊らされてストレート負け
「これがアナタの敗因。私の勝ちよ」
完全な敗北
「クッソーーーーーーーーーーーーー」
俺は天を仰ぎ。叫んだ
親 フィスコ J 4 10 3 Q 2 6 9 8
子 雪ウサギ 3 4 J 10 9 Q 8 2 K
最初の親と子の関係です