プロローグ 最悪が始まった日
ゲーム開始は4話からとなります。ルール説明以外は
そこまで、ある程度は流し読みしても問題ないです
「レディーーースアンドゥジェントォルメェーーーーン」
声が聞こえてくる
まともに機能している五感は感触と聴覚のみで混乱しているのが俺の今の状況
俺の今わかる事はというと
目は顔に紙袋の様な物を被せられていて視界が遮断されている。
手は手錠で拘束されており動かすことは出来ない。
そして椅子に深々と座らされていている。足には枷を付けられていないが地に足が着きそうでつかないため、手錠をされていて視界を遮断されている今の状況では立つ事は難しそうだ。
椅子を後ろや左右に倒そうにもビクともしないし打つ手なしだ
周りからはガヤガヤと声にならない声が聞こえてきている。
方向は四方から…つまり、囲まれている。恐らく見世物にされているのだろう
周りの状況は五感を使えばある程度は推測できるが
ただ、一つ明確にわからない事がある。
何故ここにいるのかわからない
昨日は普通にベットに入って就寝したのまでは覚えている
ただ、普通に目覚めて起きた時にはもうこの状態だった。
「どうなってだよ…」
俺は呟きを漏らした。そしてそれに呼応…したわけではないだろうが
観客であろうガヤガヤと識別できない声でなく
マイクで話しているのだろう。明瞭な声が耳に届いてきた
「本日もお集まりいただきありがとーうございます」
しかしまぁなんだこの声。とてつもなく不快な声に感じる
明らかに加工された声でおどけた様な抑揚。
口調も合わさり胡散臭さが半端ない
「本日も哀れな子羊達のキャットファイト…羊なのに猫という矛盾…ブフッ」
自分の発言に吹きだす突然現れた男。この男の声一つ一つがイライラする
僕は何とか動こうともがいてみる
だが当然、手が使えない、足が使えないでは立てない
「おやぁ?右側の哀れな羊が何やら動きたそうにしていますねぇ~」
僕のアクションに司会であろう男が反応した
「まぁそろそろお披露目と行きましょうか。みなさまお待たせしました」
「本日の青コーナーァァァァ!!プレイヤー名~フィスコ様!!」
男のコツコツと近づいてきた足跡が僕の目の前で止まると
俺のオンラインゲームでよく使っていたハンドルネームが呼び上げられた後
ザバッ!と勢いよく俺が被らされていた紙袋を取りさられた
「若いな…」
「やだっ…かっこいいじゃない」
「まだ汚れていない綺麗そうな子」
僕を襲ってきたのは様々な歓声やら感嘆の声や残念感といった様々な言葉と
そして照明による光。今まで光が遮断されていたので一瞬目がくらむ
だが、次第に焦点があっていき視界が戻ってくると僕は愕然とした
「どこだよここ…」
僕は自然とつぶやいた
俺がいるのはコロシアム…のリングの様な所。
現代風のコロッセオといった所だろうか
観客は四方から僕の事を見ている
「おはよう」
愕然とする僕に司会の男はそう語り掛けてきた
男の容姿は道化師と表現するのが適切か…
白の仮面に黒の目と口というシンプルではあるがどこか恐怖を感じる仮面を付けており
赤のベストに白のシャツと黒ズボンに黒のシルクハット
おまけに杖というよりはステッキを右手に持っている
声でも思ったが姿を見てなお一層に不快感が増した
「おい!ここh…」
「シャラップ!」
僕はここがどこなのかを聞こうと思ったが言葉の途中で遮られてしまう
「もう一人の自己紹介がすんでからね」
そう言うと司会の男を改めて仮面の男はもう一人の
僕と同じ境遇であろう学生服の女の子に近づいていった
「さぁお待たせいたしました!続いて紳士の皆様とくとご覧あれ!」
そう言うと女の子の頭から被せられていた紙袋をバッと取り去った
女の子は僕と同じ様に目を細めるような仕草をし当たりを見渡し始めた
綺麗な子だな…
そしてそう思ったのは僕だけではないようで四方から男達の綺麗とは言えない歓声が場内にこだました。
「ほぅかわいいじゃないか」
「あれは地毛ですかね?」
「まさか銀髪とは驚いた」
そう女の子はどう見ても僕と同じ学生服を来ており
目立つのは照明の光に照らされ白銀に輝く綺麗な銀髪
この空間で唯一同じ境遇であろう彼女を気にしないわけわない
彼女と俺は茫然と互いを見つめ合った
「おっとー私とした事がプレイヤー名を言う前にお披露目してしまいました」
会場のガヤガヤが少し静かになった頃を見計らい仮面の男は喋り出した
「プレイヤー名は雪ウサギ様。戸籍は日本人でありますがロシア人とのハーフでございます」
雪ウサギ…
聞いたことなどもちろん一度もない
あんな綺麗な銀髪の子を忘れるなんてことはなさそうだし俺との関係性はなさそうだ
俺がそう考えているうちも仮面の男はなおも語り続ける
「自己紹介はこれくらいで…さぁそれでは恒例のアレ!イッちゃいましょーーーーーーゥ」
場所は僕と雪ウサギさんとのちょうど真ん中あたり
距離は仮面の男と5メートル位そしてさらに雪ウサギと紹介された女の子とは更に5メートル位離れている
「質問ターーーーーーーーーイム!」
仮面の男は甲高い声でそう叫ぶと
「まずは、フィスコ君。何か質問はあるかい?」
質問してきた
質問?質問なら山の様にある
まずは
「ここh…」
「スト―――――ップ!」
俺がここの場所を聞こうと思ったがその時、仮面の男にまた遮られてしまった
「言い忘れていたが、答える質問は一つだけだ。ただ、答えられる質問には正直に答えると約束しよう」
一つだと?
僕はその声を聞き声を荒げた
「こんな意味の分からない状態で質問を一つに絞れるわけないだろ!」
俺の懇親の恫喝に仮面の男は
「おぉ怖い」
と、まるで怖くなさそうな素振りでそう言った
「では、反論させてもらおう」
そして仮面の男は続けざまに言い
反論を始めた
「君ね?自分で考えてわからない事だけをそして、本当に知りたい事を質問すべきだ。君達学生は質問すれば答えが返って来ただろうがそれは学生の内だけだ。社会に出てなんでもかんでも聞いてきたら怒ってくる人もいるだろう」
なんだコイツ。俺はまだ学生だ…だったはずだ
いきなり説教みたいな事を言いやがって
その後も何やらベチャベチャと何か長ったらしく喋っていたが
仮面の男のおどけた様子や声
加えてこの場の雰囲気のせいか内容はあまり頭に入ってこない
ただ最後の一言
「調子に乗るなよガキが」
最後の言葉だけはやけに重く。今までの声とは違う何トーンか低いものだった
声を荒げたわけではない。ただ、これが本当の恫喝なのだと俺は思った
俺が頭の中が真っ白になって
仮面の男に釘付けになっていると
「さぁ質問はなにかね?大人は待ってもくれないよ?チャンスを逃すのは得策じゃぁない」
またおどけた声に戻り僕に問うてきた
僕は何か言わなければと思い
「こ…ここは…どこですか?」
と同じ事を質問をした。
「はぁい!」
男は笑った。いや、嗤ったと言うのが正しいか
仮面を付けていて素顔を確認したわけではないが
確実に嗤った。俺は直観的にそう感じた
そんな風に思っていた俺なんかどうでもよくなったかの様に
また俺のいた所からステージ真ん中まで歩いていき
観客達に向かって話し始めた
「テンプレな質問にはテンプレな回答で返答しましょう!」
仮面の男のその言葉に会場から様々な笑いが起きる
嘲笑、微笑、苦笑い、ニヤニヤなど本当に色々な笑い。こんなに種類豊富で嫌な笑いばかりを受けたのは初めてだ
「この質問にはこう答えましょう。今の君が知る必要のないこです…と」
結局正直に答えるなんて嘘か
「フッ。君の考えを予測してみようか?」
まただ、仮面の男はまた僕に笑いかけてきた様な雰囲気を醸し出してきた
「結局質問には正直に答える気なんてないんじゃないかってね♪」
僕の背中にゾワッとした悪寒が走った
「人の話は最後まで聞いてから結論は出すべきだよ少年」
仮面の男は僕の方をしっかりとみてさっきの回答の続きを語り始めた
俺は食い入る様に聞き入った
「このゲームが終わった時、あなた方の元いた場所に戻すと誓いましょう。つまりここが何処か?それは知る必要のない事なのです。以上になります」
俺にステッキをの先端を向けてきた仮面の男は
「さぁ?この回答で納得いただけるかな?」
僕は頷いた
納得なんてしていない。だが思った
この男は絶対にこれ以上喋らない…っと
「さぁ~て」
俺が沈黙していると俺の考えを悟ったのか
仮面の男の関心は完全にもうひとりのプレイヤー
雪ウサギさんに向いた
「ずっと考えていたようだけど…君の質問は何かね」
仮面の男は雪ウサギさんに向かって話しかけた
「これは質問じゃないんだけど」
「ほぅ」
「私は今から彼と何かするのかしら?」
「ふむ。それは質問だね。質問でないなら答える気はないね」
「これはどうせわかる事ではないの?この後説明するのではないの?」
「ふむ…」
仮面の男が初めて言葉を詰まらせられた
その姿が面白い見世物だったのか
観客はガヤガヤし始めた
仮面の男は一切態度にださなかったがすぐさま現状を打破しようと言葉を切り出した
「フッフッ。なるほど確かに道理だ」
男は天を仰ぎ左手で手を覆ってなおも笑い続けた
「いいでしょう。あなたのその質問を質問でないと認めよう」
驚いた。あの男を折らせて少しとは言え主導権を握るなんて
「確かにこの後君達にはゲームをしてもらいます。まぁ本気でやった方が身のためですよっと言っておきましょう」
なんだよそれ…負けたら何か良からぬ事があるって事か?
その説明を受けた雪ウサギさんは
「それで?」
話の続きを促した
「いいえ。これで終わりです。あなたの策略で聞けるのはここまでです」
彼女は仮面の男をずっと凝視し続けている
「そして今回は私の説明不足であったため回答しましたが
今後は.この様な形での回答はいたしません。次回のゲームの参考にさせていただきます」
とうとうお礼まで言わせた彼女
この状況であの落ち着いた態度からの切り返し。何者なんだ…
「フッフフ。ありがとうございます。色々わかりました」
彼女は笑った
彼女が大きく見える。仮面の男もそうだったが自分がちっぽけな存在な気がしてならない。いや実際そうなのだろう
「まず、ゲームをするという事」
「そして私を興味深そうにみているあなたの大事なお客様は気を使い内心焦るほどの存在であるというという情報」
「加えて貴方が私を値踏みするように見る観客と思わしき人達に気を使っているという事。彼らは推測するにこのゲームのパトロンか客。
しかも身なりからして富豪層かしら?みな仮面を付けてるしね」
俺はこんな女の子とゲームをして勝てるのか?
ものすごい不安が俺を襲ってきた
「さて、私の質問に答えて下さい。
「もし、この後私がこの子と戦って負けたとして一発逆転であなたと戦って現状を打破する事は可能でしょうか?」
しかもなんだその質問??
仮面の男はここまで棒立ちで微動だにせず彼女の話を聞いていた
「アンセムです」
仮面の男が彼女に問いかけられ口を開いた。どう考えても質問に対する回答答えではない。執事が主君にする様な気品さ溢れるお辞儀をしなぎら仮面の男アンセムは自らの名を名乗った。
「私の名です。本来プレイヤーに名前を言う必要は無いのですが言いたくなってしまいました」
「…アンセム」
僕等と同じ偽名なのだろうが
どうでもいい情報でこの先のゲームとやらに関係ないのだとしても
またしても新たな情報を聞き出した彼女に俺は感嘆するしかなかった
「質問に答えてもらえるかしら?」
仮面の男からしたら心を開いたであろう態度を受けた、彼女であったが自分の優位性を一切ブラさず「お前の名前など興味がない」とでも言いたげに質問を促した
「ハッ!実に食えない女の子ですね~」
アンセムは口元を抑えそう僕らに聞こえる声で呟いた
そしてアンセムはすぐさま回答に入った
「答えはNOです」
アンセムはキッパリと意思表示をした
だがしかし
「ですが、ゲーム的には…です。来賓者方たちが望むのであれば、私はあなたの勝負を受ける展開もあるかもしれません」
「なるほど。ありがとうアンセムさん」
「いえいえ」
彼女は返答に満足したのかアンセムにお礼を言った
その言葉を聞いたアンセムは僕の方向を向きステージの真ん中に振り向きざまに「当然の事」と言わないばかりにそう言った
「さぁお待たせいたしました!って私が不甲斐ないせいですねぇ~
もうしわけございません。今後とも日々アンセムは成長いたしますので皆様ど~うか見守ってください」
アンセムはペコリと客とやらに帽子を取り頭を下げた
「これはこってり怒られますかね~。あ!これも怒られる要因ですね!失言失言…っと」
アンセムの一人門答にクスクスと周りから笑い声が聞こえる
場の空気を戻した。今までは司会者であるアンセムが翻弄されていて
微妙な空気になっていたのを最初の方のフラットな空気にまで見事戻した。この男も中々食えないな…
雪ウサギさん。彼女はあまりアンセムの切り替えしをよく思っていないのか
嫌そうな顔を隠そうともせずに出している
「さぁでは始めましょう。カーーー二バルを!!!」
男は手を左右に広げ高らかにゲームの開始を宣言した
「さぁでは外して構わないよ」
アンセムのその言葉を皮切りに視覚から歩いてきたピエロの仮面の人に手錠を外された
雪ウサギさんの方を見ると彼女もはずして貰っているようだ
僕は外された手を体の前にだしグーパーした
そんな事を僕がしている時声が聞こえてきた
「暴力に出ようなんて思わない事だよ?すぐさま鎮圧されるし、その前に私が君らのどちらかもしくは二人が相手でも組み伏せる」
暴力に自信の無い俺は
はなからそのつもりはなかったが可能性を一つ潰されたみたいで自分が落胆しているのを自覚する
そしてピエロの人が僕から遠ざかったのをみてアンセムは
「さぁゲームのはじまりだ!」
その言葉の後「パチン!」というアンセムの指パッチンの音を合図に
僕の座っている椅子が前に進み始めた。そして同時に雪ウサギさんの椅子も近づいてくる
そしてアンセムは自分のいたステージ中央から後ろ歩きで退き
アンセムのいた場所には床からテーブルが出てきた
そのテーブルの前で僕と雪ウサギさんで挟むように止まった
「お互いの顔を近くでみるとどうです?」
アンセムがそんな事いってくる
雪ウサギさんの容姿…とてもかわいい
遠目ではわからなかったが白い肌にスカイブルーの瞳
同じ日本人の血が流れているとは信じがたい
そんな僕の視線が不満だったのか
「人の顔じろじろみないで」
そういわれてしまった
「ご、ごめんなさい」
僕は素直に謝った
ドもってしまったのはかっこ悪かったが自然に出た声なので制御なんてできなかった
「若いプレイヤーはいいものですねぇ~」
僕達のやりとりを見たアンセムはそう感想を漏らし
客達も口々に色んな事をいっている
「正式に顔を合わせた所で、早速今回のゲームを紹介しましょう」
とうとうか
僕の感想はそれだった。ここにこさされて何をするのか?
「ゲーム」である。そのゲームとは?が開かされるのだ。聞かないわけにはいかない
彼女も興味があるのかアンセムの方に首を向けて耳を傾けている
「今回のゲームその名は」
今
「”決闘”です」
ここから始まる俺の苦悩日々
これが俺の長きに渡る最悪なGAMEの始まりだった
ブックマーク、感想など
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次話投稿は今日中です。