第1話・・・旅の始まり
おはこんばんちは。初めましてしゅてふぃると申します。
今まで小説とか書いたことはなかったのですが、盆休みに入ったので投稿しようと思い投稿してみました。なので、拙い文章ではありますが読んで楽しんでいただけたら、幸いです。これからも投稿していく予定なので生暖かい目で最後まで見守っていただければ嬉しいです。
X1518年、ミラ王国
その日は少年の旅立ちを祝うかのように快晴だった。
「剣よし、盾よし、準備よし。よし、そろそろだな。」
その少年の名はリヒト・ミラ。現在16歳である。
兄を探すための旅支度を終え、出発しようとしたその時、巡回の兵士が声をかける。
「おはようございます!こんなに朝早くに出発されるんですね。」
「なんだか早く出かけたくなってさ・・・くれぐれも国王には内緒で!」
「あまり気が進みませんが・・・分かりました!」
そういって兵士は巡回に戻っていった。
国王・・・現在のミラ王国の国王である。リヒトの父で、強大な魔力を有していて、強力な魔物も一撃で倒してしまうと噂されている。
「さて、人の少ないうちにさっさと出発しちゃうか!まずはあいつのいるセンセ王国だな。」
ミラ王国のメインストリートから1本外れた通りでリヒトがつぶやく。
メインストリートから外れているとはいえ、昼間になると人通りが多く活気にあふれる街並みになる。
まだ朝早い時間のため人もまばらにいる程度である。
なので、急いでリヒトが走り出した瞬間。
「きゃああああああ!!」
メインストリートから悲鳴が聞こえた。
悲鳴を聞き、リヒトは急いでメインストリートへと向かう。
メインストリートへ出たリヒトが見たのは、竜の顔をして人と同じくらいの背丈をしている竜人の魔物が、青年を襲っている姿だった。
どうやら青年は逃げ遅れたらしく、地面に尻をついて動けないようだ。
「ど、どうして魔物が街中に!?いや、そんなこと言ってる場合じゃないな!」
竜人の魔物は手に持っていた鋭い槍を目の前にいる青年に向けて突き出した!
しかし、槍は男性を貫くことはなかった。リヒトが盾で防いだのである。
「間一髪!間に合った!・・・そこの人、逃げてください!早く!」
「だだ、だれか知らないけど助かったよ!ありがとう!」
青年はもたもたしていたが、すぐに背中を向けてその場から逃げ出した。
「さぁてと・・・どっから入ったか知らないけど、人に危害を加えようとしたお前を許すわけにはいかないなあ。」
盾を前に構え、魔物に体当たりをして一時的に距離をとる。
剣を構え、リヒトはつぶやく。
「荒れ狂う暴風よ・・・わが前に現れ、その力を示せ」
言葉を発した途端、リヒトの周りに風が集まり始め、大きな渦となり、周囲に大きな風の集合体が生まれ魔物を大きく吹き飛ばす・・・ことはなかった。
(やっぱり・・・魔法が使えない!)
リヒトは昔、魔法を使用することが出来ていたのだが、最近は不調なのか魔法を使うことが出来ないのである。
(でも、この程度の敵なら!)
そんなことはお構いなく、魔物は邪魔をされた怒りでリヒトに向かって槍を構えながらじりじりと近寄ってくる。
ある距離に来た瞬間、魔物は大地を蹴り、大幅にリヒトに接近し頭部をめがけて槍を突き出す!
その突きを盾で受け流し、懐に詰めたリヒトは目にもとまらぬ速さで魔物を斬り捨てる。
「グギャアアアアアア!!」
魔物は声を上げながら倒れ、消え去った。
ひとまずの脅威を退け、ほっとするリヒト。建物の影から1つの人影がリヒトを見つめていた。
その人物がリヒトに歩み寄り話しかける。
「凄い剣技ですね!!いやぁ、見惚れてしまいました!」
そこには身長180cm程度はあると思われるイケメンが立っていた。
リヒトがぼーっとしていると、その男性は話を続けた。
「あ、ああ!急に話しかけてしまってすみません!私はヨシダと申します。以後よろしくお願いいたします。」
「これは丁寧にどうも、ありがとうございます。私はリヒト・ミラです。よろしくお願いします。」
「リヒトさんですか。いえ、先ほど悲鳴が聞こえてきたので急いで駆けつけてきたのですが、すでに魔物と戦っていてもう勝負が決まるところだったんですよ!そこでその剣技を見てしまったんです!・・・何年前でしょうか、あなたと同様に素晴らしい剣技を・・・」
熱く話し始めかけたヨシダだったが、話を打ち切るように巡回の兵士が駆けつけてくる。
「リヒト様!先ほどの魔物の件ですが!」
「ああ、国王に話さなければならないな。弱い魔物だったけど、急に街中に現れるのは危険すぎる。俺も調査のため、もう少し残ることにするよ」
兄探しをしなければならないが、まずはやはり街中に現れる魔物のことは気になると説明する。
すると、巡回の兵士は声を上げる。
「いえ!リヒト様は兄上様をお探しになってください!報告は私どもの方で行います!私たちを信じてくださいよ。次に魔物が出てきたら私が討ち取ります!」
「でも・・・」
リヒトが返事に困っていると・・・
「兄を・・・探しているんですか?」
突然ヨシダが声をかける。
「え?・・・ちょっとあって、兄が行方不明なんです。」
それを聞いてヨシダはハッと目を見開いた。
「その兄探しの旅に私を同行させていただけませんか!?私も家族が行方不明で旅をしているんです・・・戦闘ならばお力添えできると思いますので!」
リヒトは余計に混乱した。
「ヨシダ・・・様?もこう言っておられることですし!現国王は強いです。私たちも強いですから!この国のことは、今はお任せください!・・・リヒト様が出ていくことは秘密には出来ませんが・・・」
リヒトは悩んだが、やがて話し始める。
「分かった!・・・国は心配だけど、父上もいるし今は任せる!必ず兄さんを連れ帰ってくるよ!ヨシダさんも、自分なんかで良ければ同行お願いします。」
その一言を聞くと、ヨシダは目を輝かせた!
「本当ですか!?ありがとうございます!改めてよろしくお願いします。」
こうして、リヒトの兄探しの旅が幕を開けたのであった。