話を聞かない女性
〜1〜
「ごめんなさいね…」
微笑を浮かべた女性は私につかつかと詰め寄った。
こんなところに住んでいる女性、きっとまひとのように勇ましい人だと勘ぐっていたが。
今目の前に居る女性は、存外美人で、少し拍子抜けしてしまった。
私より背が頭一つ高く、ショートロングの髪が洞窟内の微かな風でなびく。
そしてやはりと言うべきか、服装が私の知りえないものだった。
「あの人達、ちょっと早とちりが過ぎるから…」
あの人達とは、先程声のみ聞こえた男性達だろうか。
怪しい人が近付いて来たのだから、仕方が無いとは思うのだが。
「怪我したのよね、何処?」
女性は更に近づいてくる。
私は少し後ずさった。
「えっ…あの」
「何処?」と聞いてきた割には、私に答えさせる暇も与えてくれないようだ、私の背後に回り込み頭部を触ってきた
「わぁぁ」
私の髪を掻き分け、
彼女の手はやがて腫れている場所に触れた
「〜…!」
頭部に鈍痛が走る
「…腫れてるわね」
彼女は、腫れている部分を軽く抑え場所を見失わないようにした。
彼女が後ろにいるので、何をされるかわかったものではない。
背後でゴソゴソという音が聞こえる。
そして、私の頭部に湿った物が当たった。
思わず悲鳴が上がる。
「なんで怖がってるのよ」
彼女から失笑が漏れる。
私の反応は至極正当なものだと思う。
見えない物事に対しての恐怖、その上状況が状況である。
何をするかぐらいは言ってはくれないだろうか。
「うぅ…」
湿ったものから水分が染み出ていて、腫れている部分をしっとり濡らした。
やがて濁った物が頭部から離れる
「はい、これで痛みは引くでしょう」
「はぁ、ありがとうごz…」
「ん〜…場所を変えましょうか」
私の発言を許さないつもりか。
彼女は私の手を引いた。
「私の家で話しましょう!」
「えぇ!?」
思いの他強い力で引かれたので身体が付いていかず、足が無意識に動き出す。
「わぁぁ!?」
蓮子の自由奔放さで耐性が付いているはずの私だったが。
彼女がどう思っているのかは知らないが
私は思う存分、振り回されていた。




