はやとちり
〜1〜
「おい、こいつどうするよ」
「余所者は追い出すべきだろう?」
「いやしかし、この変わった服装…南蛮人かもしれん」
冷たい床、湿った空気。
飛び交う数人の声で私は目を覚ました。
「う…」
冷たい床は、私の服をひんやりと冷やしていた。それが、私が仰向けに寝ている事を
自覚させた。
私は体を起こす。
「うぅ…痛っ…」
後頭部に鈍い痛みが走った。
たまらず痛みの場所を手で探り、軽く撫で回す。
この後頭部の痛みは…
〜2〜
温泉があると言われる人里に行く前
私は彼に、まひとに服はないかと聞いたのだ
無論、この服である、違和感が隠せない
別に、今来ている服が非常識という訳では無いのだが
もう、「ここ」の常識が私の常識と似通っている点はほぼ無いと言ってもおかしくはない
そう考えることにした、そう考えないと、私の中の常識が崩れそうだったからだ。
よって、今私が着ている服は違和感と見ることにしたのだ。
尚まひとは
「ないな」
案の定、そんな答えが帰ってきた。
だが、彼の知り合い、以前野菜を譲ってもらっていた人なら服を譲るか編んでくれると言われたので、結局この服装のまま行くことになった。
その知り合いには悪いが、まひとの名を出せば大丈夫との事だ。
今考えると、知っているのは八百屋という事だけで性別は愚か特徴も何も知らないのにその知り合いとどう立ち会うのだろうか。
正直、不安でしかなかったのだが…
その不安は的中し、今現在、このような状況になっているのである。
〜3〜
まだ誰かの話し声が聞こえる中、頭の整理をした。
1度、座り込んで冷たい空気を吸い込む。
「ここは…」
軽く足を地面に打ち付ける
コツンコツンと硬い音が響いた
どうやら石のようだ…周りを見ても、ゴツゴツした石の壁が見えるだけだ。
「洞窟」と言うのが正しいだろうか。
中が暗いと言う訳では無く、一つだけ道があり、そこから光が入ってきている。
再び声が聞こえてくる
「おい、余所者は起きたか?」
「確認しに行こう」
どうやら人里の人達は私を余所者と見て何かしたのだろう、そして私をここに放ったに違いにない。
冷静に見えても、真偽を見分ける思考は麻痺しているようだ。
変わった服装とは言え、野蛮過ぎないだろうか?
会話からして、そんな彼等が今からこっちに来るようだ。
「どどど、どうしよう…」
気絶のフリでもすれば、ひとまずはやり過ごせるだろうか…?
いやいやもとより捕まっている身(無根拠)叩き起されるかもしれない。
と、小さく足音が聞こえ
「ちょっと!」
先程の声とは違う、女性の声が、割って入った。
「あ、あぁ…村長か」
「なんだよ?」
足音が止まった。
村長と呼ばれた女性の声は男性らの足を止めたようだ。
「聞いたわ、余所者が来たんですってね」
「あぁ、そうだが…」
「で、貴方が石で気絶させたって」
「あぁ」
「ダメじゃない!ちゃんと話を聞きなさいな!」
説教の声がここまで響いた。
「いやでもよ、変わった服装だったもんd」
「決めつけないの!…それよこしなさいな!」
「おい!」
複数の足跡が再び向かって来る。
と、また足音が止まり。
「貴方達は向こうに行ってて」
1度足音が遠ざかり、近付いてくる。
近付いている足音は、一つだけ。
「……」
そして目の前に現れた人物は
「ごめんなさいね…」
そう言って、微笑を浮かべた。




