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俺は子供が嫌いだった為、結婚してから子作りはしなかった。
自分も過去は子供ではあったが、公園とかで遊ぶガキを見て、
ただうるさいだけでしかなかったし、扱い方にも自信がなかった。
心江も、アレルギーの持ち主でキツイ薬を常用していた為
子供は作る気がないと言って教育費等かからない分、
お互い金の使い道は自由だった。
結婚してからも事務員として働いていたのだが、
亡くなる3年前に交通事故に遭ってしまい腰を痛めたことで心江は仕事を辞めた。
その後は専業主婦として家の事をしてくれたが、
時間が余りすぎるという事で、
学生時代の友人4人に誘われパン作りを始めたのだが、
周りに影響されてか俺が家に帰ると、
心江が膝枕で耳掃除をしてくれたり、本を読み聞かせてくれたり、朝は靴下まで履かせてくれるようになった。
寝る時は、心江が子守唄まで聞かせてくれる。
心江と出会ってからの十年間、俺は心から幸せだった。
_______それなのに、心江は消えた。
心江はあの日、何者かに殺された。
俺は、その現実が受け止められなくて、心江に似ている人を探した。
しかし、心江と同じ人を見つけることが出来なかった。
心江に似た誰かではなくて、心江でなくては駄目なのだ。
心江はあの日、何者かに殺された。
そして俺は決心した。