拭うものがなければ
さみしい
心細い、が
一滴一滴落ちてゆく
大丈夫
心配ない、で
滴りを拭う
繰り返していくうちに
大丈夫、心配ない、まで
濡れそぼって拭う役に立たなくなった
大丈夫、心配ない
以外にさみしい、心細いを拭う言葉はないか
考えすぎるな
落ち着いて
そのうちうまくいく、は
拭えばすぐに濡れて破れてしまった
何を堪えているのか
さめざめ泣くより声を張り上げて
泣いてしまえばいい
妙な明るさに顔を照らすより
とことんの闇の中に顔をうずめて
形にしなくていい
笑わなくていい
言葉なんて待たせればいい