1話
気が付くと地面に倒れていた。
「……」
重たい体を起こせば、どこまでも続く見晴らしのいい湿地と曇天が視界を覆った。
まだ日が出ているはずの空は分厚い雲に覆われ、辺りを一層じめっとさせている。
「いたい……」
足や腕にあざや切り傷がいくつかある。
どれも大した傷ではないが、鬱屈した天気と重なり最悪の気分だ。
ぶるっと寒気がした時だった。
雨粒が頬をかすめた。一粒、また一粒とその勢いを増していく。
見上げれば暗さを増した雨雲がさめざめと雨を降らしていた。
次第に強くなる雨に打たれ再び体が地面に倒れこむ。
したたかに肌を打つ雨に埋もれながらこのまま消えてしまいたいと思う。
ここがどこか分からない。私はいつからここにいるのだろうか。私は今生きているのだろうか。
まるで世界が滅亡してしまったかのような錯覚に陥る。
いや、実際そうだ。
私の世界はもう終わってしまった。あとは私自身が死ねば本当に終わる。
このまま雨に打たれていれば死ねるのだろうか。もしそうだとしたらとてもラクなことだ。
「ひとりにしないでよ……おねえちゃん!」
泣きじゃくれば手を差し伸べてくれる人がいるわけでもないのに涙が止まらない。
雨雲は雷雲となって頭上で激しい音と光を生み出す。
子供を叱りつけるような雷撃に黙り込む。
そしてようやく変化に気づいた。
平地のはずなのに湿地に溜まった水が一方向に流れている。
流れる先を見ればその先には鬱蒼と茂る木々が広がっていた。
「おねえちゃん……」
誘われるままにふらふらと立ち上がりそちらへ向かう。
前方に広がる森が少女を飲み込んだ。




