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精霊使いと異邦人  作者: 武瀬 霜
本編
22/47

21話 精霊

 そこには一人の少年と一匹の犬がいました。

 一人と一匹はどこに行くにも一緒です。寝食も遊戯(ゆうぎ)も親からの説教ですら一緒に受けます。

 苦楽を分かち合う一人と一匹は言葉は通じなくとも分かり合える存在でした。むしろ、言葉が通じないからこそ、上辺だけの関心、下手な共感、知ったつもりの交感が二人には存在しなかったのです。

 両親や兄弟、従兄弟(いとこ)に親友といった人間同士の垣根を超えた、真に迫る共存を一人は実感しました。もちろん一匹もそうです。

 そのはずでした。

 一人と一匹は、一日中遊び尽くしては、食べて、寝て、また明日を迎えます。

 そうして円満に送っていた日々は、突如な一匹の欠如により終わりを迎えます。

 もちろん、少年は犬を探しました。一日中犬を探しては、(のど)を通らない食事をし、枕を濡らして、一日を終えます。

 そんな終わりの見えない円環に彷徨(さまよ)い込んだ少年は、もうどれだけ時が経ったかも忘れました。

 日にして一ヶ月。少年の体感にして半年は過ぎたかもしれません。

 突如訪れた絶望はしかし、これも突然の光明によってかき消されました。

 どことなく現れて玄関に座る犬は不自然な程に汚れはなく、以前と何も変わっていませんでした。

 これでまた前までのような幸福に満ちた日々を送れる。嬉しくてしょうがない少年は、そんな些末(さまつ)なことには目もくれず、犬の帰りをただ喜びました。

 犬を探していた時間は再び一緒に遊ぶ時間に変わりました。夕食もそうです。

 母親が作ってくれる食事はいつもと変わりませんでした。

 犬のために皿を用意し、自分のご飯を分けます。

 美味しそうに食べる犬を見ながら、少年も嬉しそうに一緒に食べます。

 やっと戻ってきた日常を噛み締めながら、食事も中頃まで進むと母親が言いました。

 「もう諦めなさい。」

 え?と少年は母親に問います。

 「もう一ヶ月も経つのよ。もう戻ってはこないの。」

 そう(さと)すように母親は言います。

 何を言っているのか、どうしてそんなことを言うのか少年には全く分かりません。

 少年の(かたわ)らにいた犬も食事を止めて、様子を(うかが)うように座っています。

 「ご飯も無駄(むだ)にして…いい加減目を覚ましない!」

 犬のために用意した皿を見やりながら母親は少年を(しか)ります。

 無駄になんかしていないと少年は首を横に振ります。

 今も犬はそばに居て、さっきまで確かにご飯を食べていました。

 それを証明するために犬の皿を持ち上げて母親にそれを見せつけます。

 「あれ?」

 疑問を口にしたのは少年です。

 持った皿は予想以上に重く、確かに減っていた中身も幻だったかのように量が変わっていません。

 訳が分かりませんでした。だって確かに一緒にご飯を食べていたはずなのに…。

 気が付くと犬はまた姿を消していました。

 少年は激しい焦燥(しょうそう)に駆られます。

 きっとお母さんが怒鳴ったからびっくりしちゃったんだ。そう思い、すぐに駆け出します。

 「ちょっとどこにいくの!?」

 母親の声を無視して、玄関の戸を開けます。

 日は沈み、辺りは暗闇に支配されていました。

 周囲を見回し、少し遠くにいる犬を発見します。

 少年は素足なのも忘れて、夢中で犬の後を追いました。

 明くる日、少年も姿を消したまま帰っては来ませんでした。


 「とさ、おしまい。」

 そう決まり文句で締めくくるのはアリスだ。

 「怪談なんですか?」

 「そうかもね。」

 何故こんな昔話をアリスがし始めたのかと言えば、暇だったからだろう。

 鉄鉱石を運搬する商人の護衛。それが今回の依頼内容である。早朝に街を出発し昼休みを挟んで、今は日没から四、五時間たった深夜少し前といった時刻だ。

 本来なら鉱山村のジェルミに日没頃には着く予定であり、未だ鋭意護衛中なのにはちょっとした理由があった。

 行商人達が休憩のために使う停留地帯が道中にはある。俺達は昼間にそこで食事を含めた一休みをとるところだった。しかしそこには先客の青年が一人待っていて、話を一つ持っていたのだ。

 曰く、ここから南に位置する村で野生動物が発生したのだとか。食糧庫が荒らされて、一時的に食糧難に陥っているため助けが欲しいと申し出てきた。

 商人としては新しい取引先を確保できるに越したことはない。しかも今回は請われて行くのだから、言うなれば貸しができる。今後の村との商談も有利に進めることができるようになるのだ。幸い、食糧も運んでいた。商売人としてはこの申し出を受けない理由はなかった。

 早速積み荷を整理して、一台はこのまま鉱山村へ。もう一台は南の方の村へと向かうこととなったのだが、問題は俺達学生である。

 依頼内容で言えば、このまま鉱山村へと向かう一台の護衛だけでいい。というかそれしかない。現に憲兵学校の二人、ゴリとその相棒はその一台の元へと向かった。

 これまで、憲兵学校の二人とは距離を置いていたが、一台を俺達も合わせて護衛ともなれば最低限接触が必要になることが沈痛ではあるが仕方ない。心を決めて俺も鉱山村一行(いっこう)の荷台へと歩き出すと、アリスが南の村行きの御者台に座る会長の元へと行ったのだ。

 曰く、私達もついて行くと。野生動物が出たのならその周辺は危険だろうし、私達がついて行くことに越したことはないだろうと…。

 会長は申し訳ないと断ったが、アリスがどうしてもと言うので結局憲兵学校と修練学校の生徒とで分かれることになった。

 そこまでして、アリスが憲兵学校の二人と一緒に居たくない訳ではないことは知っている。この先輩は誠に善意だけで言っているのだ。俺達はそれを分かっているので、他の誰も反対はしなかった。

 そこからは護衛らしく荷台から降りて徒歩での護衛となり、俺は余計に長くなった旅程を前に早くも挫けそうになった。日没頃には南の村に着き、急いで荷を降ろす。

 村の人々からは感謝の言葉をもらったが、ここからまた歩き詰めということを考えると気が重かった。その中で、アリスだけは以前にも増してやる気を出したことは言うまでもない。

 そうして北西へと舵を取り直し、鉱山村を目指す。南は平原が広がっていたのだが西は森林地帯に加えて高低差も出てくる。

 疲れた体に鞭を打ちながら山中を進む一行は、御者台にサマーの手綱を握る会長とその部下が一人ずつ。ティアとリゼが御者台の傍らで護衛しつつ、左後列に俺とアリス、右後列をカズミとポチで囲むようにして護衛している。

 「でも、風刺に近いかな。子供に対しての教訓、みたいな?」

 そして、疲れを紛らすように会話に精を出すと、アリスが一つ話をしてくれたというわけだった。

 「え、どういうあたりがですか?」

 物語の内容を思い出しながら尋ねる。

 「ん〜。犬が精霊っていうあたりかな。」

 「って言うとあの犬は、ポチみたいなものなんですか?」

 「そうそう。精霊が男の子を(だま)して、連れて行っちゃった〜みたいな意味が含まれてるんだよ。」

 「いやいや、それは無理がありますって…」

 今の物語のどこにそう読み取れる要素があったと言うのか。言われれば、そういう解釈もできるかもしれないがかなり厳しい。

 精霊の存在を(ほの)めかすような文もなければ、特に犬がどうしたってこともない。

 ただ犬が突然消えて、途方に暮れる少年。そして突然現れた犬と今度は一緒に消える少年。

 ただそれだけの話で、それだけで…。

 「って、ただの神隠しじゃないですか!」

 足を踏み出す度に襲ってくる疲労感を言葉に乗せて紛らわす。

 「そうだけど?」

 さもありなんとアリスは続ける。

 「ミキくんはさ〜。精霊ってどんなものだと思う?」

 「え?どんな、ですか…えっと…」

 突然の問に言葉が詰まる。

 精霊がどんなものか。そういえば深く考えたことはない。

 ティアも父のバルトも精霊を扱うのが当然で、村の皆もほとんどがそうだった。そんな環境にいたからか精霊は生活の一部であり、何も考えずに接していた。しかし、それを実際に見たことは一度もない。

 「曖昧な存在ですね…」

 「うん、ピンポイントな答えだと思うよ。」

 ふと思い浮かんだことを言っただけだが、アリスは(うなず)く。

 「実際、私達は精霊を見たことは一度もないんだよ〜。人によっては何かがいるようには感じるけどね。でもそれって幽霊と同じだよね。」

 「幽霊…。」

 突拍子もない単語が口を()いて出る。

 確かにその存在が曖昧であることにおいては同じかもしれない。

 「でも、幽霊とは違いますよ。」

 精霊はそんな超常的なモノではない。自然界に当たり前に、さも浮遊しているように確かに存在しているのだ。

 ほとんど存在を認識されない幽霊とはそこが明確に違う。精霊使いという言葉がある程度に幽霊よりも多くの人間が認知しているし、日常生活にも深く関わっている。

 「それはミキくんの意見だよね。精霊を認識できる人の。」

 「…。」

 そう…なんだろうか。

 精霊の存在を当然だと思って生きている者が少数派であるのは分かっている。

 街では精霊を扱えない者が多数であることも、複数の学校がある中で精霊に関して教える学校が俺達の通う学校だけであることが物語っている。

 それでも、少なくない人が精霊を認識し、使役することができているのだ。幽霊のような非現実的なものでは決してない。

 自分は昔から本当にそう思っていただろうか。生まれた時から、精霊を認識していただろうか。ふいにそんな自問が湧き上がる。

 それならばいつから精霊を当然だと思い始めたのだろうか…。

 「でも…じゃあ先輩は…?」

 そうだ。先輩は?先輩なら、同じ人間なら自分の求めている答えを持っているのではないか。

 「うん。私も同じ意見だよ。」

 突然湧いた問を解決するべく発した言葉だったが、アリスにそこまで伝わるわけはない。

 「でも私達は少数派で、今よりもエルフと親交がなかった昔はもっと少数派だった。それこそ、幽霊を認識できる人ぐらいに。」

 サマーが引っ張る荷車の同じく後ろを歩く反対側のポチとカズミをアリスは見やる。

 「だからそんなお化けみたいな精霊とそれに関わる人への畏怖(いふ)と警告がこの昔話には含まれてるんじゃないかな。」

 やっと物語の意味へと結実すると、区切りをつけるようにアリスは大きく息を吐く。

 少年を連れ去ってしまう精霊の所業への畏れや精霊と関わる少年へのある種の侮蔑(ぶべつ)とも言える忠告がこの話には含まれている。それと同時にそんな二者と関わることを()しとしない者、つまり人間からエルフへの風刺としてこの昔話は存在するのだ。

 「でも…」

 とアリスは続ける。

 「犬はどうしていなくなっちゃったんだろうね。」

 少年と絶え難い絆を結んでいたはずの犬がどうして突然いなくなってしまったのか。

 それは物語の存在意義と照らし合わせれば、元々犬は精霊で、少年を(かどわ)かすために仲良くなり、頃合いを見て実行したと言える。

 しかし母親が犬を認識していた時点で、犬は元々精霊ではなかったと言えるのではないか。

 いやしかし、そもそも少年が(. . .)精霊を(. . .)認識できていたのだろうか。精霊が(. . .)少年に(. . .)認識させていただけではないのか?母親も同じく、精霊が一ヶ月前までは認識させていただけなのでは?そうならば精霊が悪意を持って母と少年に近付いたと捉えることもできる。

 でもその意味は?どうして母親も連れ(さら)わなかったのか。母親も連れ去ってしまえば、この物語を見届ける者がいなくなってしまうからだろうか?

 「ただ前と変わらず暮らしたかっただけなのかもしれないのに…」

 物語の底知れぬ円環に彷徨い込んでいた俺を切なさの響く声が呼び戻す。

 隣のアリスを見れば、心なしか目が潤んでいた。

 「え?な、なんで泣いてるんですか?」

 意外過ぎた。この常に明るい先輩が目に涙を浮かべる想像なんて全くできない。

 「ん?いやだな〜後輩くん。私が泣いてるわけないじゃん。」

 バシバシと照れ隠しをするように背を叩いてくる。やはり気のせいだったようだ。

 夜道を行く荷車のカンテラの光が反射してそう見えただけなのだろう。

 絶対そうだ、背中を打つアリスの手がかなり強い。

 「そ、そうですよね。アハハハ。」

 「そうそう。」

 最後にさりげなく一度だけ背中を撫でてからアリスは手を離す。

 「なにイチャついてるの?」

 「!」

 今まで反対側の見張りをしていたはずのカズミが一瞬で横に並ぶ。

 怪訝(けげん)そうな目を向けてくるカズミに思い切り頭を振る。

 「違うって!思いっきり背中叩かれてただけだから!」

 大袈裟(おおげさ)に背中まで(さす)って痛かったアピールを加える。いや、満更(まんざら)でもないんだけど…。

 「ええ〜酷い言い草。まるで私が暴力女みたいな…」

 「いやみたいじゃなく…、げふんげふん。すいません俺が悪かったです。」

 あちらを立てればこちらが立たず。最終的に自分が我慢しようと判断すると、

 「ダメダメ。何でも謝ろうっていうのはいけない考えだよ?我を通すことも大事なんだから。それに何に対して謝ってるの?」

 「いえ、あの…はい。」

 もう何がなんだか分からなくなった。

 「っていうのはそこまでにしておいて…」

 カズミがここに来た本題があるという。なら早く話してほしかった。

 「ちょっと精霊の気配がするかな。」

 精霊は意識すればどこにでもいる。ここで言う気配とは自然精霊のものではないもの、例えるなら無機物が発するエネルギーを自然精霊として、固有精霊のそれは生命体が発する特有のエネルギーのようなものである。

 「どれどれ?ん〜。わかんない。」

 俺も少し神経を澄ましてみるが特に何も感じない。

 「微弱だが、あっちに何かいるな。」

 ポチもアリスのそばに来ると、そう言って鼻を茂みへと向ける。

 「じゃあ様子見てこようか。私とミキくんで行くから二人は引き続き見張りしててね。」

 「ええ!?」

 即断で方針を決める先輩に抗議の声をいれる。

 「そんな勝手なことしていいんですか?」

 「いいんじゃない?向こうさんもこっちの学校が出せる人数は四人だって知ってるはずだし、代わりにカズミちゃんとポチ合わせれば頭数は足りるでしょ。」

 「で、でも真っ暗ですよ?何が出てくるか分からないし、危険ですよ。」

 「じゃあ一つ明かりを借りていこっか。」

 「…」

 「それに、危険だから行かないにしても結局全員が危険な目に遭うよ?危険かを判断するためにも早く元を確かめた方が良いと思うけど?」

 「そうかもしれないですけど…」

 迷う俺の背中を言葉で強く押してくる。

 「大丈夫。危なければすぐ戻ってくるし、ちょっと様子見するだけだから。」

 随分と危険な文句が出てきた。こんなことを言った人がこれまでどれだけいたことだろうか。

 ちょっとだけと甘い言葉で餌食(えじき)にされるのは明白だ。なのにこの譲歩したと思わせる言いぶり。しかもそれが知己(ちき)ともなればもはや悪魔の言葉と言わざるを得ない。

 「は、はい…。」

 そして悪魔の手を取る羊がここに一匹、誕生してしまった。

 言われるがまま荷車に掛けられたカンテラを一つ拝借して、ポチが指す茂みへと入って行く。

 草木をかき分けて道を離れて行くと次第に馬車の明かりも音も届かなくなる。

 俺と先輩だけの地を踏み、草を揺らす音がいやに大きく聞こえる。

 「あ、あのやっぱり止めましょう。」

 「今更何言ってるの。だ・め!」

 臆病風にふかれて撤退を具申するがすげなく断られる。

 「それこっちに貰える?」

 「あ、はい。どうぞ。」

 「ありがとう。」

 「…」

 と、カンテラを手渡されたアリスは先頭に立ち、足を速める。

 反射的に手元の物を渡してしまって後悔する。俺が一方的に帰ると言い出すのを未然に防がれた。

 今ならまだ帰ってきた道をすぐに引き返せば、馬車の明かりに辿りつけるかもしれない。

 迷った挙げ句、足早に進むアリスに連れられてすぐにその思いは消える。

 今更明かり無しで戻っても危険なだけだし、先輩を一人置いて行くのもいい気はしない。こうなったら原因を突き止めて素早く戻ることだけを考えよう。

 そのまましばらく茂みを進み、徐々にアリスが歩みを緩める。ほとんど止まる程遅くなった先輩が木の陰にカンテラを置く。

 腰を落とし先を見やるアリスに(なら)って並ぶ。

 「どうしたんですか?」

 「しー。」

 鼻に人差し指を付けるジェスチャーをする。

 再び視線を彼方に据えるアリスに合わせて前を向く。

 伐採された跡のようだ。いくつも切り株があり、その中でも一際大きな切り株を背に何かがいる。

 空を突く木々がなく、月光が伐採された一帯を薄く照らしているが距離も遠く、何がいるのか詳しくは判別できない。

 図体は二、三メートルと大柄で横に広い。全身が黒いのか、暗夜(あんや)に紛れて区別しにくい。

 今更ながら横で光続けているカンテラを見やる。

 いくら距離が離れているからと言って、これでは明かりが丸わかりだ。気付かれないことはまずないだろう。

 「ウォン。」

 「…ッ!?」

 突然の鳴き声が響く。危うく声を出しそうになってギリギリで押しとどめる。

 明かりから視線を離し、音のした方へと目を向ける。

 相変わらず切り株にすり寄る巨体は動いていない。気のせいだったのか。そう思った矢先、またしても「ウォン」というくぐもった鳴き声が聞こえる。

 必死で視線を凝らす。足が見えた。手と足?いや前足と後ろ足だ。四足の獣が足を伸ばして横になっている。

 たまにビクビクと足を動かしては、まるで怯えているかのように鳴き声を漏らす。

 突然光が射した。覆うもののない空を雲がさらに隠していたらしい。晴れたせいで月の光芒が伐採地に降り注ぐ。

 狼。そうとしか言えない(つら)のその生き物はその生物上あり得ない大きさでそこに寝転がっていた。

 「かえるよ。」

 ざっ。と地を蹴る音が隣でした。

 カンテラを持って一目散に引き返すアリスを呆然(ぼうぜん)と眺め、やっと思考が追いついた所で後を追う。

 足音を立てないで離脱したつもりだが、すでに意味はなかったかもしれない。

 後ろを振り向くと月光の元、眼をギラギラと光らせ犬歯を覗かせる黒狼(こくろう)がじっとこちらを見ていた。

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