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レイジーの騎士生活

レイジーの騎士生活 王国最強のお姉さんは俺に厳しい 続

作者: 遊羽

ツンデレがいまいちよく分かりませんでした。

私、キルリカ・キルリッヒが彼を最初に見たのは、新兵の能力査定の時だったかな。その時はまだ副団長だったので新兵の相手をすることになっていた(基本的に騎士団長は新兵を相手にしない)。最近隣国との情勢が怪しくなっていて、多くの騎士が出払っていたので全ての新兵を私一人で査定することになっていた。


突然だが、騎士になるには騎士学校や国立学院の騎士科から内部試験で合格するか年一回の外部試験に合格するしかない。今年の内部合格は40人、それに比べて外部合格は17にしかいない。


騎士という職業は国軍の花形、人気があるのは当然と言えるが、外部の倍率は10倍を超えることもしばしばだ。今年に至っては16倍だった。そんな中で合格してきた17人は優秀なのだろう。


その中で一人だけ別格がいた。


名前は、レイジー。農村出の18歳の若者だ。背丈は166ほど体重は60でやせ形、容姿は普通。あまり強そうには見えない。


能力査定は、体力・筋力・瞬発力・バランス感覚・武術の練度の5項目をE~SSまでの7段階で判定する。内部で上がってきた中で最優秀のこの成績は、B・A・B・A・Aだ。この成績だと一回でも戦功を立てれば、10人隊長にはなれる。一方、レイジーはと言うと、SS・A・B・A・Sという驚異の成績で合格した。体力に至っては圧巻としか言いようがなかった。


私はこれでも神のギフト(所謂チート)を2つ所持しているし鍛錬も怠らない。騎士団長に次ぐ実力を持っていると自負している。


新兵の査定では練度を見るため模擬戦をするのだが、その際わざと隙を3つ作りそこをつけるかというのを今回の判断基準にした。合格した奴は全員少なくとも1つは隙を突けている。


レイジーはそこを一切つかなかった。初めは実力不足かと思ったが違った。我流なのであろう剣技で隙を作りそこに打ち込んできた。


2,3人前からふがいない奴ばっかりだったので嬉しくなってつい本気を出してしまった。


私のギフトは『思考加速』と『怪力』。打ち込まれるのは飽きたのでこちらから打ち込む。


レイジーは私の剣を受けた瞬間、剣を落とす。当然だ。今の私の力は彼の10倍くらいあるはずだ。


レイジーはすぐさま剣を拾い向かってくる。今のを受けてひるまないのはさすがだ。向かってくる剣を全て迎撃する。すると衝撃が来ないように受け流し始めた。まさかここまでの技量があるとは思わなかった。


もう十分楽しんだので懐に来る剣は迎撃せず間一髪でよけ木剣をレイジーの鳩尾にたたき込む。


「ふぅ」


満足して周りを見渡すと新兵の全員が恐怖の目、査定を手伝ってくれた騎士達は気絶したレイジーに哀れみの視線を送っている。


この一件で団長からきつく説教されてしまった。「新兵が止めたらどうするんだ」と、私は別にかまわないんだがな。



その一週間後、団長が王を守って殉職してしまったので、私が騎士団長になった。勿論悲しかった。が、それ以上にこれはチャンスだと思った。


すぐに新兵の訓練に赴いた。担当が目を見開いていたけど無視だ。


「レイジーは朝が弱い」と、聞いたので“訓練に遅刻した奴は罰”と言っておいた。


案の定、遅刻してきた。わざと時間がかかるような罰を与えた。ケロッとして終わらせていたので無性に悔しくなって、何かある度に無理難題を与えた。


無理難題を言いつけたときに見せるあの顔が私の心をくすぐる。


今日いつものように遅刻をするだろうと待機してたら、なんとギリギリ間に合いそうな感じなのだ。これはまずい。何か無いか、これじゃぁあの顔が見れない。レイジーが私の横を通り過ぎようとした時、


「おいちょっと待て」


やっちゃった。特に用もないのに呼びつけちゃった。いや、待て。これはチャンスだ。


「お前は遅刻だ」


「は!?」


レイジーの驚愕の顔が心地いい。私の最近の癒しだ。


「ほう、上官に向かってタメ口とはいい度胸だな」


「あ、いえ。申し訳ありません」


すぐに頭を下げるのは感心だ。


「まぁいい。それよりも遅刻の件だ。罰として訓練場の周囲1000周な。さっさと終わらせろよ。さぁ打ち合いの訓練を始める」


そうだこの顔だ。この顔を見るために来てるような者だ。しぶしぶ走っていった彼の背中を笑顔で見送る。遠くから「鬼だ」とか聞こえたけど機嫌がいいから見逃してやろう。



なんと!?レイジーは50キロを2時間で走りきってしまった。


「遅いわ!」


動揺して心にもないことを言ってしまった。嫌われたかも知れない


「も、申し訳ありません」


あ、いいことを思いついた。


「走りきったことは認めてやろう。おい、全員一旦訓練止め!」


「今から模擬戦を開始する2人組を作れ!」


ふふふ、ここにいるのは57人。今まで打ち合い練習だったから側にいる人とペアになるのは必然。要するにレイジーは今現在1人。


「ん?お前は余りか」


レイジーが「しくんだろ、お前」みたいな目で見てくる。最高だ。


「なんだその目は。反抗的だな。よし、私が潰してやろう。お前は私と組め。模擬戦一戦目だ」


その「やってしまった」みたいな顔も好きだぞ




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― 新着の感想 ―
[良い点] ああ騎士団長様貴女は最高ですね。このお話とても面白いです。頑張ってください!
2014/10/14 00:28 退会済み
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