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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

認知整合領域:第七監察室

作者:沁みた大根
最新エピソード掲載日:2026/05/03
西暦2085年。
気候崩壊と社会の情報過負荷により、人類は「現実そのものの安定」を国家機能として扱う時代に突入していた。

その中枢を担うのが、超国家機関統合認知管理局(ICMA)である。

ICMAは戦争や犯罪を直接制御する組織ではない。
彼らが管理しているのは「人間が何を現実として認識するか」という領域だった。

記憶、報道、統計、事件履歴——それらはすべて“整合”され、人々は安定した世界を生きているように見えていた。



ICMA第七認知監察室に所属する特別捜査官、サトル・キノシタ。

彼の任務は、現実に生じる「認知の矛盾」を検知し、修正された世界の整合性を維持することだった。

だが彼には一つの異常がある。

“見てしまった違和感を、なかったことにできない”

通常であれば即座に消去されるはずの記録の残滓、存在しないはずの人物の痕跡、そしてわずかにズレる世界の挙動。

それらはすべて、彼の目にだけ現れる。



ある日サトルは、第14地区のデータに“削除済みの存在”の痕跡を発見する。

しかしICMAの全記録では、その人物は最初から存在していなかったことになっていた。

さらにそのログには、あり得ない記述が残されていた。

「観測者:S. Kinoshita」



調査を進める中でサトルは気づく。

世界は壊れているのではない。
壊れないように“修正され続けている”のだと。

そしてその修正の中には、決して見てはいけない領域が存在する。



やがて彼は知ることになる。

ICMAが隠しているのは犯罪でも陰謀でもない。

それは——

「人類が現実だと信じている世界そのものが、編集された結果に過ぎない」という事実だった。



真実を見ても黙ることができない男。
だがその行為は、世界の整合を崩し始める。

観測するたびに現実は揺らぎ、揺らぐたびに誰かの記憶が書き換えられていく。



これは、
「正しい世界」を守る組織と、
「歪みを見てしまう個人」の衝突の物語である。

そして同時に——

“真実を知ることは、人間に許されているのか”

という問いそのものでもある。
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