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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

探索者になりたい

作者: 西山景山
掲載日:2026/01/29


 俺の仕事は、ダンジョン内の鉱石採掘だ。


「先輩は、探索者の学校に通おうと思った事あります?

 あ、これお願いします」


 差し出された鉱石に触れ、収納、と唱える。すると、鉱石は異空間へと姿を消した。


「小さい頃は憧れてたな。でも、適材適所って言葉を知ってから憧れは捨てたよ」


「確かに、先輩のスキルは探索者向きでは無いですもんね」


 ふいに、後輩は俺の背後に目を向けた。


「あれ? なんか先輩の影、デカくないですか?」


 俺が振り向くと同時に、影からぬるりと現れた黒い狼が俺の太ももに歯を突き立てた。激痛が身体中を迸る。


「動かないで」


 女性の声が聞こえた矢先、赤い炎が視界を覆う。

 気を失う直前に見えたのは、走馬灯にしては眩しすぎる真っ赤な髪だった。


 全治一週間の入院となった。


紅崎火華(こうさきひばな)です」


 そして入院ニ日目、助けてくれた探索者が病室へと訪れた。


「その節はどうもありがとうござ」

「命に別状は無さそうで良かったですでは私はこれで」


「え」


 少女に引っ張られるように靡く赤髪に目を奪われ、気を失う直前に見た光景を思い出した。


「俺も、探索者になりたかったな」


 思わず口から出たその言葉は、不幸にも、廊下に片足を踏み出していた紅崎さんの耳にも届いていたようで。

「今は、違うんですか?」


 振り向く事なく、鋭い言葉を俺にぶつける。


「いまさら、なれるわけないだろ」


「私は、なれるかどうかではなく、なりたいかどうかを聞いたんですが」


 あまりにも論理的で理想論な言葉を残し、彼女はその場から立ち去った。


 それから一週間後、無事退院となった。

 病院からの帰り道、探索者であろう数人が言い合いをしている場面に出くわした。


「待ってくれ、考え直してくれないか!!」

「もう諦めてくれ。今のパーティにお前は必要ない」


 クビを言い渡された探索者が、振り解かれないよう必死に仲間の足にしがみついている。

 俺はあんな風に必死になれるだろうか。


『なれるかどうかではなく、なりたいかどうかを聞いたんですが』


 俺は、ああなりたいのだろうか?


「もしもし、部長ですか? 俺、仕事辞めます」


 俺はその日から、探索者の学校に入学するため勉強と運動を開始した。

 そして試験当日、風邪を引いた。

 俺が入学できる、最後の年だった。


 後日、俺は探索者ギルドの前にいた。


「お願いします、俺を探索者ににしてください!!」


 ギルドに出入りする探索者を捕まえては、直談判をする。その繰り返しだ。


「その熱意は立派だけど、時には現実見るってのも大事だぜ。おっさん」


 ついに無視できなくなったのか、一人の探索者が俺をその場から引き剥がそうとする。


「もう現実は十分見ました!! ずっと理想から目を逸らして来たんです!!」


 男の足にしがみつく。


「お願いします!! 俺を探索者にしてください!!」

「お前いい加減に」


 男の拳が顔面へと迫る。


「その人、私のパーティメンバーです」


 気を失う直前に見たのは、天使にしては無愛想な赤髪の少女だった。




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