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花みごろ

作者: タケノコjp

人生初小説です。


_神は天と地を創造され、自分の形をもした"人"

を作った_


13の時、ふと疑問に思った。

「どうして神は人間に正解を選ぶことのできる知能を

 与えてくれなかったの?」


「神は完璧な天と地を創造したのに何故人間はここ

 までは不完全なの?」


成人した今、答えは単純だということに気づいた。

人間は"あまりもの"なのだと。

完璧な天と地を想像し生物をつくり、最後に人を作ったということは、人間はあまり物の出来損ないなのだと。12月の夜、初雪がそろそろ降り始めようかという頃、男はそんなことを考えた。

世界には内戦、飢餓、環境破壊、醜い物だらけで、それを作っている人間もまた醜い。

こういう思考をしてしまう自分もまた醜いのだと。

考えるたびに憂鬱になる自問自答に終止符を打つために、彼は絵を描く。内容はなんでもいい。

ただひたすらに、描きたいままに描く。それが彼の趣味だ。絵は醜い自分に輝きを与えてくれる、

こんなものをかける自分はまだ芯から腐っていないのだと、そう思えた。


1月、住んでいたマンションが燃えた。

出火元は下の階のタバコの吸い殻で、マンションは全焼。もちろん画材も絵も何もかも失った。

新しいのを買う金はない。彼は絶望した。

マンションの前でただ呆然と立ち尽くす。


数時間後、彼は閃いた。すぐに近くの公園で棒切れや小石を広い、近くにある大きめショッピングモールへと向かった。彼は気づいたのだ。画材はもう自分の手にあることに。


ショッピングモール。4階建ての吹き抜けで、彼は自分の腕を硬めの木の棒で何度も掻いた。すぐさま血が滲み出す。彼は掻いて、描いて、掻きだした。

白い床と赤のコントラストはそれを明確に表現する。

すぐさま異変に気付いた警備員が近づいてくる。

彼は逃げた。上階、また上階へと登り、最後は4階にたどり着く。彼はこう告げた。

「もうすぐ、花が見れる時期になる」

彼を追った警備員はすぐにその意図に気づくことはなかったが、すぐに知ることになる。

彼は4階の吹き抜けから飛び降り、頭から着地した。

滲みでる血と血飛沫は彼が腕をかけて描いた一つの

木の上に散らばる。


彼の血は、美しく散った。

彼は美しくなった。

彼は自分自身で、人間は醜くない事を証明してみせた。


彼は幸せだった。

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