短編集
私の描く絵はいつも、暖色のない絵だった。私の描く絵は大抵が風景画、または実際の物事を参考にした想像画だったが、私の絵には太陽の暖かさなんて無く、純粋な白と日陰に当たる部分が多少緑だったり青だったりで、それくらいのもので構成されていた。そのような絵は色数が少なく、映えることが無い絵で部内で発表した時指摘をされた。その後赤を加えて再度発表をしたら、あまりにも才能が感じられなかったようで、冷たい目線を向けられながら作品が終了した。そして私が部活に行くことが無くなった。
手が青くなるような寒い日、私はデパートの出入口で彼女を待っていた。中に入ってもよかったけれど、そんな事をしたら方向音痴で視野の狭い彼女は私を見つけずに今日を終えることになるだろう。
集合時間から約25分後、スマホをポチパチ触っているとよくやく彼女が来た。少し暑そうな彼女は赤いニットをパタパタ揺らす。どこで迷っていたのか、そんなことを聞くと、何に焦っているのか分からない早口で事のはじめから終わりまで詳細に語った。怒っていないし話は全てどうでもよかったけれど、
初もの。あまり上手く書けなかったですね。この方は、赤を使った絵が苦手でした。その原因は「赤が苦手」なのではなく、「青と緑が苦手」だから、そう思って書きました。人の、最後まで記憶に残るものといえばトラウマだと思ったからです。これは私の経験になるのですが、私も広義の「青」しか使えない時期がありました。もっとも、私は白を残せないためこの方より粗末な絵にはなりましたが。その頃は希死念慮におわれている時期で、幼少期に見た殺される夢を繰り返し想っていました。更には好きな芸能人の影響で海洋恐怖症になっていて、それも影響しています。
この小説は、もし私が最後まで書いた場合、
・主人公は彼女に振られます。主人公もこの日、振られる覚悟をしていたのでふらふらした感情を抱えながらもあっさりと別れます
・主人公がりんごの絵を描きます。油絵ですので、光の当たる場所が少々黄色いです。最初は、いつものように青リンゴを描きます。その上から赤をかぶせますが、普通に被せるのではなく、果肉なしジャムのような、赤い水飴のように赤を垂らすようにします。よく考えたらりんご飴状態ですね。それで終わりです。
要は、トラウマの更新ですね。