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君の正体は

プロメテウス惑星。

神々の愛をたっぷり受けて生まれたここは、地殻の下に流れる巨大な魔力流の存在によって、他の惑星に比べて空気中の魔力濃度が濃く、すべての生命体が魔力を使うのが当然な状態で生まれる。

知的生命体は他の惑星では見られない魔力および魔法に依存した極限の文明を積み上げることができ、他の生命体を食べることで魔力を自然に摂取することができた。

惑星の住民はこのように摂取する形態の魔力を「魔力素」と呼ぶ。

魔力が溢れる生命体であるほど強い身体と長い寿命を持つようになり、この惑星の居住民は人間であるにもかかわらず600年、1000年を生きてきた者もいて、このような者はたいてい強者として扱われる方だ。

一方、このように祝福された強い魔力の存在は惑星の地形にも影響を与えたので、地面の下に強力なエネルギー源が流れたため、一部の地殻プレートがその反発力を克服できずに浮び上がる現象があった。 他の地殻プレートと縛られず孤独に浮遊した島々は「天空島」という名前で呼ばれ、この惑星にはかなりよく存在する。

その天空島の中でも最も古く、最も巨大で、最も高く浮上した天空島は「ドラゴンズネスト(Dragon's Nest)」と呼ばれる。

島の中央に位置する巨大な火山を中心に形成された、海の上に悠々と浮かんでいる天空島で、主な居住者はハーフドラゴン(Half Dragon)、竜人と呼ばれる者たちで、

遠い昔、竜族と人間の異種受精によって誕生した種族だ。

人間の形をしながらも高い知性と強い力をあまねく備えた惑星の上位種族だ。

三つの大陸の中央に位置する絶妙な位置によって、遠い昔から商業が発達し、多くのお金と宝物が流れ込む地域だった。

しかし、彼らの力と知性に比べて文明水準は非常に遅れている。 地球文明を基準にするなら、寛大に評価して中世初期程度。

ドラゴンズネストのみすぼらしい建物を見て行った外部の多くの人々は、彼らを力だけ強い原始人程度と考え始め、外交の対象とも考えなくなった。

そのような認識を持っていれば、いくらでもここを攻撃できるものと見られる。 実際、そのような者がこの世界に多数存在した。 ただ一つの要素さえなかったら、この巨大な天空島は戦火に包まれたかもしれない。

比較的人間に近いハーフドラゴンだけの土地だったら、ここがドラゴンズネストという名前で呼ばれることはなかっただろう。

彼らが立ち遅れた文明を持つようになった、より正確には文明を発展させる必要性を感じなくなった理由であり、ハーフドラゴンの主人である強力で美しい女王が選択したところだったのだ。

島中央火山部。

火山という名前がついたが、火山の姿は見えない。 その代わり、ここの文明水準にふさわしくない巨大な建築物が存在するだけだった。

ヘパイストスルーム。

火山全体を包み込む大規模な建築物だった。

地球の基準で見ると、西洋よりは東洋風に近い建築物で、火山の上に建てられた建物であることを示すかのように、頂上から猛烈な熱気を含んだ煙が噴き出し、空に舞い上がっていた。 最上階に位置する巨大な部屋。 この部屋が火山の噴出口を包む形をしていた。 現代人の常識から見れば、木造建物が火山噴出口の周辺を囲みながらも焼けた跡一つない、それこそ非現実的な光景だった。

そしてこの部屋には···


「ばたばた-」

手押し車から恐怖感に包まれてパニックに陥った生命体の羽ばたきの音がしていた。

「火山鶏」と呼ばれる鶏の一種をいっぱい積んだあの世の列車は、やがてその終着点に至った。

車のドアを開けると、赤い羽が飛び出し、鶏が飛び出し、逃げ出し始めた···しかし、すぐに強い熱気と今まで経験したことのない濃い魔力の濃度に気絶してしまった。

死に対する恐怖を反芻するこれらの哀れな生命体の一つを取り上げる巨大な赤い手。

まさにこの部屋の主人であり、この地の主人、火山龍王アマテリンヌであった。

「ドラゴン」という名にふさわしい巨大な体を起こし、手に取った鶏をそのまま口に持っていった。

鶏は最後の生存本能を絞り出して短時間バタバタしたが、すぐに一口で頭を失ってしまった。

鶏の頭を噛みながら車を引いてきた侍女を眺める偉大な火山龍王。

「何か御用ですか、龍王殿下。」

侍女を黙って見ていた龍王は、すぐ鶏一匹を彼女に差し出した。

「お前も食べるのかい?」

貪欲で自分のものを出してくれるのが大嫌いな龍王だったが、たまにはこんなにも多いから一つくらいは出してもいいと考えたりもする。

おいしいものを分け合うのはいいことだ。

「恐縮ですが、お断りします。」

「そうなの?残念だ。」

食べ物を我慢することは火山龍王の立場では理解し難いことだったが、彼女に勧めた食べ物はたいてい断られた。 理由はわからなかった。

女王である自分に対する礼儀だろうと考えるだけだった。

「それでは次のものを持ってきます。」

「そうしなさい」

いつの間にか最後の鶏の首を噛んでいた龍王が答えた。


侍女、いや、実は侍女なんかじゃなかった。 ドラゴンズネストの神官長エイヘリアは、次の食事である子牛を運ぶために車を引いていた。

偉大な龍王の提案を断ったという罪悪感が生じたが、エイヘリアには、いや彼女だけでなく竜人は食材を食べる前に料理という過程を経るのが一般的だった。

そんなに羽も抜かずに生きたまま食べるのは···いくら尊敬する主君であっても、同調することは難しかった。 必ずしもそうでなくても、主人から食べ物を受け取るのは礼儀ではないという気がした。

神政制のドラゴンズネストの政治の下での彼女の地位は事実上国家元首級に該当した。

上に火山龍王がいたが、彼女は国政や外交などには一切関心を示さず、ただ巨大な井戸の中に閉じこもって遊ぶ歳月を過ごすだけで、事実上の統治はエイヘリアに一任した状態だった。

そのような高貴な地位にありながらも、直接侍女の役割をしながら火山龍王の世話をするのは、彼女が高貴で優しい性格の持ち主であるためだけではなかった。

いや、むしろ権力を利用して彼女自身がこのことを独占するようにしたのだった。

龍の血筋を持って生まれた者たちに龍を、それも龍王を受け入れるということは、この上なく嬉しく幸せなことだった。

竜人の存在は強くて偉大な龍を祀ることによってその価値が輝くものであり、そのために誰にも譲歩できないことだった。

それは清廉で公正で優しい性格を持ったこの高潔な神官長さえ権力を利用するようにしたことだった。

ただ残念な点があるとすれば、火山龍王を祀っていることで他の方々を同時に祀ることはできないという点だけだった。

龍という生物は本来、独立性と独占欲が強く、他の同族との協力は夢にも見られないので、自分を祀っている侍女が他の龍王に同時に仕えるという話をすれば、おそらく直ちにその龍王と侍女の四肢を同時に破ろうとするだろう。

それで、火山島のすぐ下にいるにもかかわらず、仕えることができないもう一人の龍王を思い、心の中で罪悪感を感じるだけだった。


エイヘリアが持ってきた子牛の頭を噛もうとしたアマテリンヌはふと「その感じ」がした。

それは非常に古い予言であり火山龍王であるアマテリンヌの称号が「殿下」になった理由だった。

独立性によって各地に散らばった竜族が共通して遺伝子に数えているただ一つの予言。

「龍王殿下…?」

こちらを変に見るエイヘリアを知らないふりをしたまま、初めて感じる感覚に全神経を集中し始めた。

ある偉大な存在に対する感覚。 エイヘリアが自分に感じるまさにその感覚を感じ始めたのだ。

「…いらっしゃった…」

「誰かが…おっと」

何気なく逃してしまった子牛を再び拾って捧げるエイヘリアの手を振り払ったまま、すぐに口が裂けるように笑い始めた。

「ハハハ....ハハハ!ついにいらっしゃった!」

突然の龍王の笑いに恐怖に震えながらも、同じ伝承を共有していたエイヘリアにふと思い浮かぶことがあった。

「まさか…?」

「ハハハ!ハハハ! お待ちください! 私が今すぐ行きます! あなた様の忠実な召使いがここにいますので、ご丁寧にご案内いたします。」

その巨大な部屋は狂気じみた笑いでいっぱいだった。




時間を戻して、アグドの宿。

アグドは鏡に映った自分の姿を眺めていた。

前世の自分の姿に比べると格段によくなった外見。

黒と赤が合わさった肌色。 予想どおり非常に幼くなった姿。

「みんなそんなに可哀想に思うに値するね。」

これほど幼い子供が記憶を失い、見慣れない草原を一人で歩く姿は誰もが同情するに値するものだっただろう。

戦闘力もないように見え、何かスパイか不審者であると疑うだけの一抹の余地さえ与えない外見だった。

「ヨ - チビ、よく眠れた?」

アイルはテントを開けながら突然尋ねた。

「はい、おはようございます。」

実は寝てない。

眠れないのだった。

前世のように仕事に追われ、時間に追われ身体健康の悪化を我慢しながら夜明けを耐えたのとは違った。

ただ眠る必要がないと思われていたのだ。

一睡もしなかったのに視界がぼやけることも、血管が詰まるような気もしなかった。

昨日の身体変化を感じた時から考えていた、もしかして自分が人間ではないのかという疑いが確信に変わりつつあった。

「じゃあ、昨日言ったとおり、出発してみようか」




昨夜、ユウヤミを撃退した直後、ネミールの提案を受けて部落のあちこちを見回っていた。

龍馬と同じ家畜だが、馬に比べて前足が大きく、蹄が厚く、打ち下ろすと鉄板を突き破るほどの威力を持ったという。

大体黒と赤色の毛が混在しており、体も非常に巨大で、その前に立つだけで圧倒されるほどだった。

図体だけではなかった。 いつもどこか怒っているような表情。 前世の写真や時代劇で見た純粋そうな言葉の顔とは違った。

そして...一様にアグドさえ見れば顔を突き出してなめるようになった。 その理由まではネミールや他の部族民も知らなかった。

中央の巨大な建物は予想通り資源採取の建物だった。 地中にある魔力流という資源を採取し、濃縮することだ」と述べた。

異世界は魔力豊かな世界で、自然物で作った食べ物を食べることで魔力を獲得できるが、それはあくまでも個人的な魔力を獲得するだけで、産業や建築、軍事兵器などの目的で大量に使用するためには、このような方法で地下にある魔力類の採取および濃縮作業が必要だという。

こういうのはこの世界の一般的な常識にあたるが、子供の質問だと思って、みんな不思議に思わずに親切に答えてくれた。

いずれにせよ、この地域は最近(地質学的な意味で最近)魔力の濃度が過度に濃くなって植物の耕作が難しくなった地域であり、そのために多くの遊牧民が発生したという。

ユウヤミのような怪物も魔力濃度が濃くなったために現れるとネミールは説明したが、推測に近い説明であるだけで、彼女も正確な理由を知っているわけではなかった。

一方、魔力の濃度が濃いこの地域には定住文明国家によって形成された大都市がいくつもあるが、代表的な例が「デラメール」という都市だという。

アグドが食べたライ麦パンを手に入れてきた都市がまさにそこで、龍馬で走って1時間余りで行けるという。

体感上、龍馬の速度は前世での車の速度以上と見えたので、近くとはいえかなり遠い距離だろうという気はした。

ちょうど明日、デラメールでカーペットと革、各種乳製品を売って生活必需品を交換してくるために上段が出発すると言った。

「アグド君も一緒に行ってみる? いい経験になると思うよ。」

確かに、この世界の文明水準を推し量ることができる良い機会になるだろう。

今見た戦闘を見て内心少なからず驚きを感じたヤグトだった。

単なる中世風の世界だと思ったが、そうではなかった。 この世界は地球の文明とは異なる方式の発展を遂げてきたのだろう。

この世界で生存し続けるなら、その発展した姿を見ておく必要もあり、人々がどのように生きているのかを見ておく必要もあるだろう。

そうして同行が決まった。


一方、採取所近くの大きなテント。

アグドを寝かせるために送った後、部族の指導層が集まっていた。

「彼のことをどう思うか」

ネベールは口を開いた。

この部族の族長はアイルだが、彼は父親を尊重して優先権を与えていた。

実際、これは「龍の子孫」の伝統的な風習だった。 年老いた指導者が子どもに族長位を譲る代わりに、族長以上の発言権を持つのだった。

しかし、発言権を持つだけで、これを決定することはあくまでも族長の固有権限だった。 族長と前族長の軋轢争いは種族の歴史でしばしばあり、族長が自分の父親である前族長を処刑することもあったという。 その後、破倫に反発した部族民によってその族長も首を切られたが。

それに比べると、現在のボルト族の族長と前族長の間は非常に理想的なものだった。

「怪しい…というには若すぎる。」

ネミールが言った。

「そうだ。一人で何ができる年のようではない。 実際の年齢は分からないけど」

アイルも同調した。

族長である彼が直接連れてきた時点で疑う部族民は珍しかった。

「名前も知らない子に聞いても、答えてくれそうにないし。」

「名前を知らないということは···本当かな?」

「うそというにはあまりにもでたらめじゃないか。 虚言症があっても、自分の名前を知らないと嘘をつくくらいなら、深刻なレベルだろう。」

「もしかしたら直射日光に強くさらされて一時的に記憶できなくなったのかもしれない。」

この草原は木がなく、日差しが特に強く当たる地域なので、強い日差しに露出された外部の人たちが記憶喪失および各種障害を体験し、ここをはじめとする遊牧民部落に運ばれてくる場合がしばしばあった。 でも······

「それにはとても元気な姿だった。」

多少疑わしい発言をした者は意外とネアだった。

「何か見えるものがあったの?」

ネミールは不安な気持ちで尋ねた。 ネアがこのような反応を見せたということは、彼女の目に何か見えるものがあったということだ。

彼女は優しい性格の持ち主だが、敵と味方を区別する癖を持っていた。

神々の祝福を受けて生まれ、特別な視覚的能力を持っていた。 地平線でやっと姿を見せる影の正体を識別できる恐ろしい視力の保有者であり、甚だしくは夜の闇さえ突き破ることができた。 部族の唯一の射手として活躍するようになったのもそのような理由からだった。 ただ、夜は視野がやや狭くなった。

しかし、遠距離をよく見られる能力が終わりではなかった。 彼女のより重要な能力は悪人と善人を区別する能力だった。

この世界で珍しく持って生まれる者がいる、「鑑定眼」の一種だった。

あくまでも彼女自身の基準の善悪だが、彼女の感情案は嘘をついたことがなかった。

彼女は彼女と部族に純粋に助けを必要としてきた者たちを善、被害を(意図的に)及ぼす者たちを悪と区分した。

彼女が悪人だと断定した者は、百なら百、客を偽装して部族を偵察しに来たスパイだったり、汚い仕業をする下心で訪ねてきた浮浪者たちだったりした。

「何も見えなかった。」

「何も?」

驚くべきことだった。

普通の人と違って、ネアの目には何も見えないというのはありえないことだった。善人は白い光を、悪人は暗い後光を放つ。

ところで何も見えなかったということは···

「もしかしたら人間じゃないかもしれない」

人間、少なくとも人間種に属する存在さえないかも知れないということだ。

ネアの感情案は、人間のように種族的に自分と近い存在だけに発現するものだった。

たとえば、ユウヤミたちを相手には何も見えないのだった。

ただ、ユウヤミれをはじめとする怪物たちの場合、ネアの感情案を経なくても、誰が見ても悪い奴らであり、彼らを信頼する者はいなかった。

文明と離れた荒野で荒々しく暮らしてきた遊牧民にとって恐ろしいのは、怪物ではなく人間であり、強力な戦闘力を持って威嚇する強い生物ではなく、世間に暗い遊牧民の信頼と親切を利用して悪行を繰り広げようとする陰湿な奴らだった。

そんな彼らに「人間の姿をした怪物」はあまりにも恐ろしい存在だった。 人間の陰険さと怪物の力を同時に持った悪党かもしれない。

しかし···

「でも、彼自身はそんな自覚すらないようだった。」

そもそも自分の名前さえ知らない者が自分の種族だという知らせがなかった。 聞いても答えないようで、彼の心に混乱を加重させたい気持ちもなかった。

そして、これはネアも同じだった。

実際、ネアは彼が人間ではないことに気づいてからずっと不安に震えた。 夕闇が押し寄せてきた時も、後ろが冷ややかな感じを受けた。

しかし、何も起こらなかった。 もし彼が自分が強者であることに気づいていて、この部族に害を与えるつもりで来たのなら、それより立派な機会はなかっただろう。

彼は自分の種族とは関係なく、ただ偶然そこにいただけの子供だったのだ。

「強い力..を備えているかどうかにかかわらず、悪い子ではないということだ。」

ネミールはほっとした口調でため息をついた。 部族の母は幼い子供を疑わなければならないという事実自体が心を痛めた。

「でも、子供の無邪気さは、時には破壊的な結果を生むことがある。」

ネバーはここで冷や水を浴びせた。

「お父様!?」

「まるで油入れの前でたいまつを持って遊んでいる子供のように、自分の意図と違って危険な状況を作り出すかもしれない。儂もその子を疑いたくはないけど、もしその子が自分も知らないうちに自分の力をここで使うなら···しかも、その力が我らが対処できる水準なのかもしれない。」

「まずはそのチビを保護してあげて、もし他の部族や町民都市に任せられるなら、そうするしか…」

「族長様らしくない発言ですね」

ネミールは夫を非難するように言った。

「……俺はそのチビの父じゃなくて、この部族の父だ。」

部族の母は何か言いたかったが、言えることはなかった。




再び次の日のヤグトの部屋。

「はい。デラメールに行くことですよね?」

「そうだね。他に何かあるか?」

「でも…」

「何だ?昨日みたいに何でも聞いていいんだ。」

「なんで族長様が直接行かれるんですか?」

「…?」

「族長様が直接上段を率いていく理由がありますか?」

「…」

アイルは一瞬、口をつぐんだ。 彼の言う通りだった。 部族を守らなければならない族長が部族を離れ、龍馬で1時間走って到着する都市に直接交易に行くことはない。

ただ、彼が直接行こうとする理由は最後かもしれないからだった。

昨日の会議で述べたように、人間でない者を部族に連れているのは族長として危険負担が大きかった。

それで、定住民の都市で適当な家族を捕まえて、部族から追い出そうとする考えだった。

デラメールへの交易を準備する過程でそれが浮上したのだ。

しかし、彼には言えなかった。

その中に入っているものが何であれ、その器はどう見ても子供にしか見えなかった。

部族から見える他の子供たちに比べて多少賢いなのは事実だが、だからといって彼が大人のように強靭な精神を持っているとは思わなかった。

さらに、この別れが彼が何かを間違ったからではなく、彼が持つ潜在的な脅威のために決定されたものであるため、なおさら子供に心的な負担を与えたくなかった。

そして、その一方では、その心的負担がトリガーになって、彼が自分の力をここで放出したりしたらどうなるのか。

いろいろな面で彼に事情を説明するのは難しかった。

「なぜって。俺がこの部族で一番強いからだ。 チビを守るには最適だ。」

「……そうですね。」

納得していないようだが、他の言葉が浮かばなかった。

「じゃあ行こう。」


じゅうたん,皮,乳製品などの交易品がたくさん積まれた荷車が見えた。

その車を引っ張るのは龍馬ではなく、巨大な角を持つ牛だった。

龍馬はあまりにも速く暴れる面があり、車の中にある物が混ざったり破損したりする恐れがあった。

遊牧民たちに動物と動物から得ること以外には不足していないものがなかった。 それだけに、定住文明との交易は貴重なものだった。

龍馬の速いスピードを利用できないため、月に一度、できるだけ多くの交易物品を集めて送り、できるだけ多くの生活必需品を持って帰ってくるのだ。 これがここの遊牧民の貿易だった。

荷車を導く動物、車牛はこの世界で一般的に荷車を消すのに利用される動物であり、獣というよりは怪物に近い力を持っていて、トーン単位の物品を早く安定的に運ぶことができた。 スピードも龍馬ほどではないが、かなり速かった。 龍馬が部落からデラメールに行くのに1時間かかるなら、チャウは4、5時間かかる程度だった。

龍馬は「龍の子孫」という種族の間だけで育てられる動物だった。

定住文明で育てられる一般的な群馬とは比べ物にならないほど強く、特別な動物であるため、ある意味では彼らの秘密兵器ともいえる。

他の遊牧民とは異なり「龍の子孫」遊牧民は定住文明に侵攻し略奪する方式の人生を生きることはないが、いつかぶつかる日が来ないとは考えられなかった。

定住国家の領土拡張が次第に遊牧民の生活領域と重なるこの時、近いうちに衝突が起きると遊牧民と定住文明の両方を予想していた。

そのため、敵になるかもしれない者に秘密兵器を見せたくない理由も、チャウを利用する理由の一つになった。


ネミールは涙を流しながら見送りをした。

ヤグトはその涙の意味を推し量ることができたが、わざと知らんぷりをした。

チャウたちはヤグト, アイル, 部族の戦士たちを乗せて, 交易用品車を率いて進み始めた。




ドラゴンズネスト出身の竜人象団は、世界でかなり有名だ。

火山龍王の庇護の下、長い間存続してきた彼らは老練で狡猾な上段で、悪徳商人のシンボルとして使われたりもした。

高い知能と寿命が無限な人生を経て固めてきた経験は、誰も象団を相手に有利な取引ができないようにした。

竜人象団はどんな手を出しても一銭でも多く稼ぐために粘り強く努力する姿を見せた。

その理由は、彼らの主人であり、彼らがいくらずる賢いことをしても攻撃されない理由である火山龍王アマテリンヌのためだった。

龍という生物の独占欲と所有欲で自分の土地で生まれたすべての龍仁を自分の所有だと認識する龍王の存在により、竜人象団が現れた地域は国家権力さえ彼らに途方に暮れるほどになった。 彼らの体や物に爪だけでも異常が生じれば、その地域はすぐに火山灰で覆われることになるからだ。

貪欲な龍王の贅沢を支えるため、竜人象団たちはさらに悪毒になった。

龍王と該当国家の政府が庇護する龍仁上段は無敵になり、彼らを相手にする交易商たちは毎回損をしても誰にも訴えることができない状況になった。

ただ、「龍の子孫」遊牧民の交易商たちを除いて。


その日も、象団長のユリウスは船に乗って、ユーシリア帝国のセイジル港に向かった。

この世界で船という単語は一般的に非公船のことだった。 天空島が数えきれないほど多い世界であるためかも知れないが、本当の理由はこの世界の海が地獄のように危険な地域だということにある。 船に乗って海に浮かぶという言葉は、この世界ではすぐに自殺と同義語のように受け止められた。

ユリウスの乗った船は、大象団の旗艦であるだけに、巨大で華やかだった。 巨大な非公船が小さな護衛船を従えて進む姿はいつ見ても壮観だった。

今日の目標地域はデラメールだった。 龍の血筋を受け継いだ遊牧民がそこに交易のために来る日になったためだ。

人間たちは自分たちのために損をしてもしなくても関係なかったが、偉大な龍の子孫なら話は違う。

たとえ進化系統が遠ざかり、自分たちのように竜王の支配を受ける人ではなくなったが、それが何の関係があるのか。 同じ先祖を祀る子孫なんですが。

いわば、自分たちの龍仁の後輩格である種族とも見ることができた。

そのため、いくら悪毒な竜人の象団でも、かわいい後輩の交易商と一緒にいる時は、この上なく慈悲深い存在になる。


港に着いたユリウスは船から降りて馬車に乗り換えた。

空を漂う船だが、国家間の外交問題で船が港を通り過ぎ、内陸都市に直接向かうことはできなくなった。

事実、人間の事情などは大目に見る理由がなかったが、このような些細なことで喧嘩になるのは火山龍王の顔に泥を塗ることだ。

そのため、火山龍王に似た寛大な心で従うことにしたのだ。

この馬車は馬や牛のような獣が率いる馬車ではなかった。 実はそう考えると「馬車」ではなかったが、なぜかこの世界では通常この品物を馬車と呼ぶようになった。

この馬車は「跳躍馬車」だった。 魔法技術の一種で、乗るたびにどんな動物も導かなくても自動的に希望する地域に連れて行ってくれる物だった。

利用料が非常に高くて一般的な庶民は夢にも考えられないほどだが、大象団の資本力はこの高い物を利用する程度ではなく所有できる程度に達した。


たった5分で5都市を過ぎてデラメールに到着した。

予想通り、そこに遊牧商人たちが現れた。 いつも見る面々だが、族長が直接上段を率いるのは珍しいことだと思った。

ただ、見ていなかった少年を一人連れてきた。

龍仁は彼を見るやいなや息が止まりそうだった。

一目でわかってしまった。

龍を祀るために生まれた者たちは、一気に龍が集まるべき存在を知らなければならないのだ…···

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