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受け継がれる伝承~スバル・レガシィ~

「母さん、滑ってるよ!危ないよ!」



正月明けの夜の峠道、新幹線が大雪で欠航になってしまったので、急遽飛行機で帰ることになり、空港まで送ってもらった。助手席には親父、運転手はお袋。後ろの席に僕と彼女が乗っていたのだけど、結構なスピードで雪の峠道を走っていたので、切ったハンドルとはあらぬ方向へ車は進む。



「あのね、車が滑ったら反対方向にハンドルを回すのよ!」



うん、母さん、それをドリフトっていうんだよ。



雪道で暮らす人達は自然とその運転を身に付けるのかもしれない。



深いグリーンメタリックの二代目レガシィは、ズロロロロという低音を響かせながら走る。山坂の多い雪国には、4WDとターボは欠かせない。とはいえ、昔から四輪駆動車があったわけではないが、一度その雪道への強さを感じると、二輪駆動には戻れなかった。



冬は家族総出でスキーに行く我が家は、ステーションワゴンの荷室の広さと、十分な居住性、四輪駆動の信頼感と、高出力でスタックしづらいレガシィステーションワゴンを初代、二代目、三代目と続けて乗った。母親の好みで、うちの車はほとんどがマニュアル車だったので、レガシィもマニュアルモデルだった。



僕自身、実家のレガシィを運転することはあまりなかった。自分自身、レガシィは良い車だなと思ったものの、所有することも無かった。途中から北米向けに作られたレガシィは、あまりにも大きく感じたし、値段も高くなってしまった。そのサイズを埋めるために出たレヴォーグは、良い車のように見えたけど、何かちょっと自分の好みとは違った。



でも、僕自身、三台のスバル車を乗り継いだ。



別に、スバルというメーカーが好きだという気持ちはない。水平対向エンジンが大好きという気持ちも無い。4輪駆動の車じゃなきゃ嫌だということでもないし、他のメーカーの車が嫌いというわけでもない。自分の愛車たちと乗っている人達には失礼かもしれないが、味はあるがデザインはパッとしない。



だけど、どうしたわけか今もスバル車に乗っている。



あの1.5バールも加給するターボも無ければ、ドコドコと唸る不等張サウンドもない。通好みのデザインもどんどん洗練され、マニュアルの四輪駆動ハイパワーターボモデルも無くなってしまった。



車選びに悩んでしまった時、あれこれ色んな車種を一年かけて探したけど、結局決めきれずにスバル車をまた購入してしまったのは、今も思い出の中にある母さんが雪道を運転するレガシィステーションワゴンの姿を思い出してしまうからかもしれない。



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