八言目 へ?
僕には作戦があった。
あの娘さんは聞く耳を持っていないのにめちゃくちゃ聞いてくる。しかし、それは僕が話せていないから。
人影のない暗い場所なら一人でいくらでも話せるのにね。
人と話すって難しい。
だから、魔力を使う。
僕は足元に魔力を込めると、そこに薄らと円が浮かびあがった。僕は土の属性を使える。だからまずは役に立って、お礼を言ってもらえる様な状況にする。そしたら「うん」とか「大丈夫」とか単純な返事で乗り切れる様になる。
「ごめんね、貴方の事誤解してたわキラキラ(妄想)」
「ふふ、良いんだよ。気にしてないから!(妄想)」
これでいこう、完璧な作戦だ。
土にある程度の水分と十分な栄養を含ませてそこに空気を含ませる、それを一定の区画にしていした場所、地下3メートルまで生成。
これであの龍尾草をここに植え替えれば先々で困る事はないし、ここの栄養はまるっと吸い上げるだろうからそうなったら土は元通り。種が取れるところまでいけるはず!
完璧だ、後はこの事をあの娘さんに伝えてと。
娘どこだろ?
あの人多分僕より年上なんだよね。
だから怖いと言うか、声をかけ辛いというか。
向こうかな?
先にスコップとか用意しておいた方が良いよね。
「キャー!!」
えっ、何!?
何かあった?
虫? 虫が出たのかな?
女の人は虫に弱い事が多いもんね。
殺してあげなきゃ!
えっと、端的にやる事を伝えて、
「だ、誰よこんな所に落とし穴みたいなぬかるみを作ったのは」
「む、虫、ころす、虫、こ、ころしゅ……」
「ヒィィ、何よ、そこまで恨んでいた訳! 私を殺すつもりでこんな罠を? スコップは人を殴る為の物じゃないのよ!」
「へ? あ、ち、違……」
「血を欲しているの!? 魔族か何かなの!?」
「あ、え、その……」
「このぬかるみは貴方の仕業ね!」
「は、はい」
「やっぱり!!」
あれ?
うーん、僕のイメージしてた状況にならないな。
ここからどうすればいいの?
「え、えっと、その……」
「……何よ」
「こ、ここに、りゅ、龍尾草を……」
「植え替えようとしてたって訳?」
「あ、え、て、手伝い、た、くて」
「……はぁ、私の勘違いって事?」
「えっと……」
「悪かったわね。それにお父さんから聞いたわ、龍尾草の話」
「え?」
「貴方の手助けが無かったら枯らしてたって」
「あ、あにょ……」
「その……ありがと」
作戦成功!!!!
ビックリするくらい田舎育ちの頑張りっ子の冒険です。
作戦成功!なアルスくんをよろしくお願いします。
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