五言目 あ、あにょ……
気がついてすぐに飛び出した、そして一目散に見知らぬ村の方へ。そこにはなんと、畑があった!
畑! やった! これで芋をレインボーに、違った。
これで手伝って、少しは居場所を貰えるかもしれない。
次にまた荷馬車が通りかかるまでの間、ここに居させて貰えないかな。うーん、1週間くらい?
とにかく生きていける最低限さえ貰えれば大丈夫。というよりお金がないんだから、本当に何でも良いから食べ物がほしい。
さて、何て言おう。
雑草、永遠に抜き続けます?
ゴミ、邪魔なもの、徹底的に排除します?
虫、全て殺します?
うーん、どうすれば良いのか。
雑草は抜いちゃえばすぐには生えてこないし、ゴミもそれほどないだろう、それなら虫を殺します? 虫、いるのかな。
虫ならきっとどこにでもいるし、あっという間に増える。下手に駆除しようとすると作物をダメにしてしまいかねないし、何より手間が大きい。
「虫……かな」
虫さんいつもごめんね。でも僕も死にたくない、恨みはないけど、やられて貰う。この辺りは温かいし、きっと虫も多い事だろう。ちょうど良いね。
ダメならまたその時考えよう。
畑仕事以外なんて人生で一度もした事ないんだ。土と戯れて、畑として耕して、作物を育てる毎日。どうせそれ以外は何も出来ないんだ、ダメ元で行ってみよう。
でも何て声かけよう……。
声をかけるにしても何か話題がいるしな。
ここはストレートに雇ってください?
いや、何が出来るか先に言った方が良いかな?
畑耕せます! かな?
うーん、だから何? ってなっちゃうか。
得意な事を先に伝えた方が良いかな?
レインボーの芋を作れます! とか?
あ、それで追放されたんだ、また追放されちゃう。
えーっと、じゃあ虫殺すの得意です! とか?
おぉ! それだと「君、虫を殺せるのかい!? ならうちの畑を守ってくれたまえ!」なんて事になっちゃうかも!
そうしたらきっと僕はこの畑の守り手になれるんだ。
よし、いくぞ!
「あ、にょ……」
「ん? 君は誰だい?」
「え、えっと、そ、その……」
「ん?」
「あーその子ね、向こうの芋をよく卸してる村があるだろ? 南の」
「あー芋のね、知ってる知ってる」
「そこを追放されたとか何とかで、不憫だからここまで乗せてきてやったんだが、いかんせん積荷が多くてもう乗るスペースがなくてね」
「あー、ここで降ろされたのかい」
「あ、えっと、そ、その……む、むし……」
「無視? あー悪い悪い、気が付かなかったんだよ。それでなんだい?」
「こ、ころす……」
「え!?」
あれ?
おかしいな、イメージトレーニングと随分違った展開になってきた……。
ビックリするくらい田舎育ちの頑張りっ子の冒険です。
練習がまるで機能しないアルスくんをよろしくお願いします。
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