王族の愚行により滅亡した国
新作短編小説を投稿します。
【隣国皇女との婚約を破棄しようとした国】
「そなたとの婚約は破棄する」
「ありがとうございます。これで堂々と侵略して、この国を属国に出来ます」
「・・・・・・何を言っているんだ」
ボケ王太子が婚約を破棄するという愚行を犯してくれたので、我が国に侵略する口実が与えられました。
これでこの国を属国に出来ますので、感謝に絶えません。
「静かにしろ」
「この王宮は我々が占拠した」
「抵抗する者は処刑する」
我が国の兵士が夜会の会場に乱入して、王宮の占拠を宣言した。
「皇女様、御無事ですか」
「婚約破棄おめでとうございます」
「これでこの国は我が国の属国です」
「皇帝陛下もお喜びになります」
「貴方達も御苦労様でした」
私は侵略する口実とする為にボケ王太子が婚約破棄するように仕向けていました。
そしてやっと念願の婚約破棄をしてくれたのです。
これであのボケ王太子から解放されると思うと、清々した気分になった。
「・・・・・・ふざけるな」
「耳障りですから、この元王太子を地下牢に投獄しなさい」
「畏まりました」
ボケ王太子が正気を取り戻したので、地下牢に投獄しなさいと指示しました。
「は、離せ。私はこの国の王太子だぞ」
兵士達がボケ王太子を捕縛して、地下牢に連行した。
「さて、元国王に命令します。属国になった事を全国民に向けて、宣言しなさい」
捕縛された国王に属国となった事を宣言しろと迫った。
「・・・・・・断る」
「そうですか。仕方ありません。元王妃達を連れて来なさい」
「畏まりました」
「な、何をするのです。私は王妃なのですよ」
「離しなさい。不敬罪に処しますよ」
「離せ。無礼者」
連行された王妃達を足蹴にして、顔を踏みつけてやった。
今まで私を蔑んできた怨みを晴らさせてもらうわよ。
「止めろ。王妃達には手を出すな」
「止めろ?止めて下さいでしょう。それに手は出していませんよ。足を出しているだけです」
「止めて下さい。宣言をしますので、お願い致します」
今まで威張っていた元国王が無様に懇願したので、溜飲が下がった思いです。
後は私を虐げてきた貴族達への報復を残すだけだ。
ゆっくりと報復させてもらうわよ。
【勇者を騙した国】
「勇者よ、よくぞ召喚に応じてくれた。この世界は魔王率いる魔族によって平和が脅かされて」
「陛下、お久し振りですね」
「余の言葉を遮るとは無礼であろう」
「俺の顔をお忘れですか」
「そ、そなたは」
「思い出しましたか。俺は貴方達に騙されていた愚かな元勇者ですよ」
国王達が俺を思い出して、顔色が真っ青になりやがった。
【回想開始】
「勇者よ、よくぞ魔王を討伐してくれた。感謝するぞ」
「勿体無い御言葉です」
「そなたの役目は終わった。元の世界に帰還するが良い」
「・・・・・・?あの、元の世界に帰還するのは不可能なのでは」
「あれは嘘だ。そなたを騙す為の方便だ」
「・・・・・・ふざけるな」
俺が召喚された時に元の世界に帰還するのは不可能だと言っていたのに、それが魔王討伐をさせる為の嘘だと言いやがった。
国王を殴ろうと近付いたが、騎士達に行く手を阻まれてしまった。
「それでは去らばだ。愚かな元勇者」
【異世界転移】
こうして元の世界に帰還させられた。
【回想終了】
【勇者装備召喚】
降魔の剣・星の兜・大地の鎧・防魔の籠手・光速の足具・魔力の腕輪などの魔王討伐時に装着していた勇者装備を召喚して、久し振りに装着した。
「あの時はよくも騙してくれたな。王都を壊滅させて、あの時の怨みを晴らしてやる」
「ま、待ってくれ。勇者よ、落ち着け」
「それじゃ去らばだ。くそ国王」
【転移】
焦っている国王達に向けて、捨て台詞を吐いて、王宮から王都近郊の草原に転移した。
【隕石落下】
そして王都を隕石落下の魔法で壊滅させてやった。
【王太子を始末された国】
「私はラクス嬢との婚約を破棄すグァァァ」
王太子が夜会で婚約破棄を宣言している最中に倒れてしまった。
「殿下、どうされました」
「大丈夫ですか」
「しっかりして下さい」
取り巻き達が近付いて王太子に尋ねたが、反応は無かった。
「おい、首筋にナイフが刺さっているぞ」
「し、死んでいる」
「嘘だろう」
首筋には投擲用ナイフが刺さっており、完全に即死していた。
「ナイフに小さな紙が結ばれている」
「読んでみろ」
「分かった。え~と、こ、これは」
「どうした。何が書かれている」
紙には『理不尽な婚約破棄をする愚か者には死を』と書かれていた。
直ちに厳戒態勢が敷かれたが、犯人は捕まらなかった。
「私の敬愛する御主人様。遂に王太子を始末して、貴女の無念を晴らしました。どうか安らかに眠って下さい」
暗殺者が敬愛していた主に祈りを捧げていた。
暗殺者が王太子を始末した理由は敬愛していた主が公の席で理不尽な婚約破棄をされて、自害してしまった為だった。
王太子を失い、王女が女王として即位したが、余りに我が儘な為に、国民の反感を買い、暴動を起こされて、この国は滅亡した。