009 クーの海外の話(翔太視点)
昨日、クーこと九条 久留里と1日経たずで仲良くなった俺は、圭太や七海にも話したところ、驚いていたようだ。
俺の今住んでいる姉夫婦の家の近所に、クーの家があるなんて予想しないのだから。
それでも、俺的には三人の信頼できる女子の中ではクーが一番だという事だ。
今日も一緒に登校してきたんだしな。
ちなみにあの陽キャ男子グループは、クーの意志を無視して話しかける事を禁じられたようで先生たちに監視されている。
教室に陽キャグループを監視するための臨時的任用教師が教室に配置されていたのだ。
なお、女子たちに関しては厳重注意となっただけで、陽キャグループみたいな監視はなく、いつも通りの学校生活を送れるそうだ。
そんな中でクーが転入して2日目の昼休み。
俺は、クーを連れて圭太や七海と共に屋上で昼食を摂っていた。
そこで、この際だから気になった事があったので聞いてみた。
「そういえばクー」
「ん? 何だい?」
「海外から来たって言ってたけど、どこに住んでたんだ?」
「あ、私も聞きたい」
「俺も気になってたな、確かに」
俺は、クーが日本に来る前に、海外のどこで生活をしていたのかが気になったので聞いてみたんだ。
それに関しては、やはり圭太も七海も気になってたようだ。
「ああ、それか。 僕は日本に戻る前はドイツに居たんだよ」
「ドイツかぁ。 なるほどね」
「やっぱり、ドイツはソーセージとビールだわねぇ」
「あのさぁ……」
「あれは置いといて、ドイツは住み心地良かったのか?」
「幸い、日本語学校があったから何とかなったけど、2年間は辛かったさ」
おねぇ言葉でおかしなネタを言い放ってくる圭太に呆れながらも、俺はクーにドイツの事を色々聞いた。
だが、クー自身は日本語学校があったから何とかなったものの、海外の生活は流石に辛かった模様。
「大変なんだな、財閥の令嬢っていうのは」
「まぁね。 僕としては普通に過ごしたいんだけど、九条家に産まれた以上そうはいかないしね」
「九条さんはドイツのどこに2年間住んでたの?」
「うーんと……、確かバイエルン州だったかなぁ」
「ああ、あそこはサッカーでも有名なんだよなぁ。 強豪チームの名前でもあるから」
「そういえばサッカーがある日は熱気ムンムンだった様子だった……」
そして、クーと圭太、七海、俺の四人はクーが2年間住んでいたドイツのあれこれで盛り上がった。
彼女が当時住んでいたバイエルン州は、サッカーでもその名前を使ったチームが強豪チームだったのは、義経から聞いているからだ。
クーも心なしか、サッカーがある日は熱気がやばかった事を思い出していたみたいだしな。
「さて、もうすぐ10分前になるし、トイレを済ませてから教室に戻りますか」
「今日は大丈夫だろうしな。 油断はできないが」
「そうだねぇ。 あの陽キャグループが何をしでかすか分からないんだもの」
昼休みが終わる10分前に差し掛かり、トイレを済ませてから教室に戻る過程で再び陽キャ男子グループの話になる。
そこで、クー自身から信じられない話を聞いた。
「今朝、委員長から聞いたけど、あの男子たち僕をトイレに行かせないまま失禁させて弱みを握らせてからモノにしようって考えてたみたいでゾッとしたよ」
「……マジでか?」
「大マジ。 君達を接近させないように即座に僕を取り囲んだりして諦めさせようとしてたみたいだけど……、七海ちゃんが委員長にお願いしていたんだよね」
「うん。 あの男子を何とかしてってね」
うわぁ。
ないわ、それは流石に引くわ。
クーを失禁させて弱みを握らせてでも、クーを自分達のものにしたかったのかよ……。
犯罪じゃねぇかよ……そこまでいくと。
「とにかく今は先生たちが目を光らせているけど、油断ならないし用心しとこう」
「そうだね。 他のクラスの女子も警戒しているレベルでヤバいって分かったからね」
そう言いながら、クーと七海は女子トイレに入り、俺と圭太もトイレで用を足して教室に戻っていったのだった。
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