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くるり☆ショータイム!  作者: イズミント
第1章 幼馴染ざまぁ編
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008 墓の前での語らいと近所同士(久留里視点)

「さぁ、ここだ」


「え、ここって……お墓?」


 僕、九条 久留里が翔太くんに『義妹(いもうと)』という単語が気になったので聞いてみた所、圭太くんや七海ちゃんと一緒に学校から徒歩20分だが、途中東に寄り道した先にあった墓地に連れてこられた。

 その墓地には多数のお墓があり、翔太くんはそのうちの一つの墓の前に立った。


茜崎(あかねざき) 海翔(かいと)茜崎(あかねざき) 瑠理香(るりか)之墓』


 その墓にはこう刻まれていた。

 

「この墓に刻まれている名前は、翔太の本当の両親の名前さ」


「そうなの!?」


「そうだよ。 実は例の幼馴染の事件の後、幼馴染側の両親が引っ越し費用も補填してくれたみたいだけど、ストレスが原因なのか終わって転入して数週間で翔太君の両親が謎の変死を遂げていたんだよ」


「え……!? じゃあ、翔太くんは……!?」


「警察から山奥で遺体となって発見されたと聞いた時はショックを隠し切れなかったさ。 でも、幸い、母さん側の姉夫婦が俺を引き取ってくれたから安心したよ。 義妹というのは小学4年生の子で、姉夫婦の娘さんだ」


「そう……だったんだ」


 彼やヨッシーが受けたあの事件の後、翔太くんがこの学校に転入してそんなに経ってない時期にまさか彼の両親がそんな形で死んでいたなんて思わなかった。

 突然、山奥で死んでいたなんて、僕が翔太くんの立場だったとしても冷静でいられなくなる自信がある。

 それくらいの衝撃だった。

 同時に、あの時の『義妹』と言っていた答えも分かった。

 翔太くんを引き取った親戚の人の娘だったんだね。

 しかし、小学四年生の義妹かぁ……。

 なんか、危ないと思うし羨ましいとも思えるなぁ。

 そんな事を考えた後、翔太くん達と一緒に墓の前で手を合わせ、黙祷した。

 彼のトラウマめいたものを植え付けた要因の幼馴染の女を何とかしないと、彼の安泰はないだろうね。

 

「さて、挨拶も終わったし、帰ろうか」


「じゃあ、俺達はあっちだから。 また学校でな」


「またねー」


「ああ、またな。 九条さんは?」


「僕は翔太くんと一緒に帰るさ」


「いいのか?」


「うん。 君が今の住んでいる場所も知りたいし」


 これに関しては本当の事。

 圭太くんと七海ちゃんとは、方角が違うので墓地を出た後で別れたが、彼が今住んでいる場所だけは知っておきたい。

 遊びに行きたい時のためにもね。


「まぁ、いいか。 九条さんは信頼できる女子だし」


「あはは、そういやそうだったね。 じゃ、エスコートをお願いできるかな?」


「頼まれた」


 確かにあの時、不意に翔太くんを抱きしめてしまったが、彼から拒絶反応が起こらなかったから、翔太くんも安心できるんだろう。

 僕は彼にエスコートのお願いと共に手を差し出す。

 翔太くんは差し出した僕の手を握り、少し顔を赤らめながら、一緒に今の翔太くんの住んでいる家に向かう。


「悪いね、翔太くん。 気分悪くなったら言っていいから」


「大丈夫だ、問題ない」


「神はいっている……って、そういうネタはいいから」


「ま、冗談抜きで九条さんに触れても心地いいからなぁ」


「ストレートに言われるとこっちが恥ずかしくなるなぁ」


「ははは……」


 翔太くんからのストレートな物言いに僕の顔が熱くなる。

 こんな僕の手が心地いいなんて言われたからね。

 さて、翔太くんと手を繋ぎながら歩くと15分で目的の場所に着いたらしい。


「ここなんだ。 翔太くんが今住んでいる場所って」


「そうだが?」


「僕の家、この近所だよ。 ほら、あそこ」


「え、あそこなのか? 確かに朝、豪邸があるなぁって思ってたけど、九条さんの家だったのか!?」


「そうだよ」


 どうやら、朝に登校する際に見ていたらしいが、それが僕の家だなんて知らなかったみたいだ。

 まぁ、でも折角の機会なんだ。

 僕を信頼してくれていることもあるから、ぜひ仲良くしたい。


「せっかく近所同士だと分かったんだし、今後家にお邪魔してもいいかな?」


「あ、まぁ、いいけど……」


「ふふ、決まりだね。 じゃあご近所同士よろしく、翔太くん!」


「あ、ああ、よろしく九条さん」


「おっと、ここから先は名前で呼んでもらいたいかな?」


 せっかく近所同士で仲良くなれるんだし、この際下の名前で呼び合って欲しいからね。

 転校して間もないけど。


「分かった。 よろしく頼むよ、久留里……いやなんか呼びづらいし、『クー』でいいか?」


「あらら、一気に可愛いあだ名に。 もちろんいいよ」


「じゃあ、改めてよろしくな、クー」


「うん、よろしく! じゃ、また学校でね!」


 翔太くんに『クー』という可愛いあだ名で呼んでもらった嬉しさで、テンションが上がったまま翔太くんと別れて、自分の家に戻っていった。

 初日にトイレ妨害されたりなどで大変だったけど、これなら何とかなりそうだね。


 さて、ついでに件の幼馴染の事も調べておこうかな……?



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