005 過去と恐怖と優しさと(翔太視点)
この作品の投稿の優先度は低いかと思います。
基本不定期になると思いますがよろしくお願いします。
屋上で昼食を摂っている最中に、途中から来て一緒に昼食を食べている転校生の少女である九条 久留里さんから俺がよそよそしい感じになっていると指摘され震えていた。
そこに圭太と七海が俺の過去を九条さんに、俺があるきっかけで恐怖症に近い女性不信になっている事を話した。
それを聞いて驚いている彼女に、俺も幼馴染に暴力を振るわれた事を話したが、その瞬間、あの悪夢を思い出すだけで恐怖で震えが止まらなくなっていた。
「ご、ごめん! 無理なら無理で話さなくても……」
「いや、話すよ。 当時は義経も被害にあったんだから……」
「え……!?」
俺の震えに気付いたのか、九条さんが気を掛けてくれたが、あの件ではあいつ……九条さんの親戚かつ俺の友人の義経も殴られたのだから何とか悪夢を振り切って話す。
「例の幼馴染は中学時代に俺と義経が他愛のない話をしていた時にそんな奴と話すなと言いながら俺と義経を殴りつけたんだ。 その際に俺も義経も怪我をして病院に運ばれた」
「病院に運ばれた!?」
「うん。 軽い打撲だったけど、その女はそれで味を占めたのか、『言葉より暴力』を地で行くようになったんだよ。 さらに、翔太君や幼馴染の両親が注意しても聞く耳持たなくなったそうよ」
俺の話の後に、七海が追加で話すがやはり九条さんは呆然としていた。
義経も殴られて病院送りになっていたなんて、多分聞いてなかったのだろう。
「そ、それで……先生とかには相談したの?」
「いや、当時の担任も事なかれ主義で我聞しない感じだったから、向こうにいる義経や藤沢さん、翔太の両親が当時の担任に相談や苦情を言いに来ても担任は『当事者同士で話し合え』の一点張りだったさ。 それだけでなく、義経の親父さんも苦情を言いに来たが、同様の塩対応でどうしようもなく、さらに教育委員会に訴えても、校長が担任を庇うなどでどうしようもなかったよ」
「あ、呆れてものが言えない……」
そりゃそうだろう。
俺だってここまで酷い目に遭ったのに、当事者で話し合えって気が狂ってるとしか思えない。
校長も校長で、事なかれ主義の担任を庇うあたりどうしようもない。
「義経くん曰く、当時の校長はその件があっても警察に通報せずに当事者で解決するように圧力を掛けさせていたね。 例の担任と共に」
「最悪じゃないか……」
「そして、とどめに俺が高熱を出して休んだ時にも、その女はやらかしてくれた」
「どんな事なんだい?」
「高熱で寝込んでいる俺を『根性が足りない』と言いながら、双方の両親の制止を暴力で振り切って無理やり学校に連れ回されたんだ」
「ええええっ!?」
あぁ、九条さんがまた信じられないって表情をして驚いてる。
病人を連れ回すなんて、常識的に考えられないからな。
「流石に見かねたある教師が校長や担任の圧力を振り切って救急車と警察を呼んでくれたんだが、あの女はその教師と救急隊員にも木刀で暴力を振るって阻止しようとしたんだ。 警察に取り押さえられたがな」
「その時にも義経君は殴られたんだよ。 頭を数針縫う怪我をしたんだよ」
「そんな事が……」
話を聞き終えた九条さんは呆然としていた。
情報が追い付いてない感じなのだろう。
「その結果、翔太は女性不信……というより恐怖症に近い感じになっちまったんだ」
真の締めくくりは圭太だ。
これが彼女に話した俺の過去。
そして、彼女の親戚かつ俺の友人の義経が被害にあった悪夢の幼馴染の法月 恵梨香の話だ。
「九条さん……?」
急に俯き始めた九条さん。
どうしたのかと思って声を掛けた瞬間……。
「えっ!?」
「ちょっ、九条さん!?」
突然、九条さんが俺を抱きしめて来た。
俺の凄惨な過去を聞いて放って置けなかったのかどうかだが……。
だが、不思議と彼女に抱きしめられても拒絶反応は起こらなかった。
むしろ、義妹ど同じ優しい温もりが感じられた……。
作者のモチベーションの維持に繋がりますので、よろしければ、広告の下の評価(【☆☆☆☆☆】のところ)に星を付けるか、ブックマークをお願いします。