025 陽キャグループの末路と恋心(久留里視点)
「お嬢様、おはようございます」
「あ、奏ちゃんおはよう」
さて、翌朝になり起床した僕に挨拶をしてきた仲本 奏ちゃん。
彼女は、転校初日のクラスメイト内の例のグループによるトイレ妨害の件で僕が通う学校に護衛の役目を担うために転校してきた護衛一家の片割れである仲本家の娘で、双子の妹さん。
もう一つの護衛一家の奥田家の子供も双子であり、その子達も同じ学校に転校してきた。
これも僕を護衛するためである。
さて、そんな説明はさておき、どうやら奏ちゃんが片手に持ってるのは今日の新聞だよね?
何があるんだろうか?
「奏ちゃん、その新聞はどうしたんだい?」
「昨日言ってた自称陽キャグループ絡みの記事が載ってたんで、見せようと思いまして」
「ふぇ?」
昨日、秘密にされていていた、僕がトイレに行くのを妨害しようとした自称陽キャグループ絡み……。
どんな内容なのか気になったが、奏ちゃんが即座に新聞を渡されたので、印として一部を折り曲げたページを見る。
【野党政治家・破怪田 楠男、贈賄容疑で辞職後に逮捕。 さらにある学校のいじめ事件の隠蔽にも関わりがあるとの噂も】
野党政治家・破怪田 楠男という名前があり、その政治家が贈賄容疑で逮捕されたという記事だった。
ん、破怪田って……?
「奏ちゃん。 この破怪田って名字、もしかして?」
「そうです。 トイレに行こうとしたお嬢様の前を塞いだ、あの男ですよ。 そいつが例の政治家の息子で名前は破怪田 葛樹らしいですよ」
「あの男かぁ……」
いやぁ、僕も人の事は言えないけど、野党とはいえ政治家の息子が何で公立の中学校にいるんだよ。
それにしても贈賄ねぇ……。
「なんでもこの地区の教育委員会やら他の組織にお金で自分に投票するようにしていたみたいですよ。 また、それ以外の組織からもお金を貰っていたとか」
それがバレた為に議員を辞職に追い込まれた上で逮捕されたのか……。
「これによって例の男は、転校を余儀なくされるそうですよ。 あの男の祖父母は厳しい人だって聞いてますし」
「まぁ、これで僕も学校生活はしやすくなるかな?」
「後、グループを構成していた12人の内の半分が奴の取り巻きだった事もあって、そいつらも転校を余儀なくされるのでクラスの人数は6人くらいは減るんじゃないですかね」
「クラスが成り立つの? 只でさえ、あいつらがいた時は非常勤講師が見張りをつけてる時点で崩壊レベルだったし」
「今はまぁ、奴含めて6人ぐらいだし、閉鎖もしないでしょうね」
確かにうちのクラスは40人だし、6人がいなくなったとて対して変わらないって事かな。
今日は休みだし、明日学校があった時に担任からも知らされるかもね。
とにかくこれで僕も奴らに悩まされることはなくなったし、安心して翔太くんと一緒に帰れるよ。
昨日も翔太くんと帰る時に、正樹くんや拓也くんが睨みを利かせてくれたからいいけど、あいつら翔太くんを睨んでたからね。
そんなにまで僕をモノにしたかったって思うと、寒気がする。
「今日は学校休みですし、どうします?」
「そうだねぇ。 翔太くんに用事がなければ家に誘おうかなって思ってる」
「なるほど、そこまで彼の事が好きなんですねぇ」
「ううっ、からかわないで!」
奏ちゃんの煽りに否定しきれないのが悲しい。
確かに転校してからそんなに経ってはいないけど、今の僕を翔太くんは受け入れてくれている。
法月に関する心の傷を背負ったままなのに。
だから、少しずつではあるが僕は彼の事が好きになってきているのだ。
「まぁ、連絡はしておいた方がいいでしょうね。 用事があれば割り切れるでしょうし、その時は明日の学校でも話せばいいですから」
「そ、そうだね、そうしよう」
という事で、一応用事があるのか翔太くんに通話で聞いてみた。
その結果、どうも今日は先にこの家にいる医者にカウンセリングを受けてから僕と遊ぶという事だった。
そういや、父さんがそういうセッティングしていたんだったね……。
なら、カウンセリングが終わってから翔太くんと僕の部屋で遊ぼうかな。
ゲームとかして。
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