024 義妹から聞いた話(翔太視点)
「どーもです。 私、茜崎 留美です。 そちらはお兄ちゃんのお友達?」
「うん。 あ、僕は九条 久留里。 翔太くんのクラスメイトだよ」
「そうでしたか。 よろしくです」
先にクーに気づいた留美が、自己紹介したので、クーも名乗り出る。
だが、クーはその際も何とか圧を出さないように気にしながら話していた。
確かに、留美の友達が少し怯えている感じがあったから、後でフォローに回らないとなぁ。
「そういえば、留美達はなんでここに?」
「この家より向こう側にある別の友達の家に、励ましに行ってたんだよ。 その子の従姉妹のお姉さんが危篤状態になってから、ショックで学校を休んでるから」
「危篤?」
「その子の従姉妹のお姉さん、お兄ちゃんに酷い暴力を振るったあの女に殴られて病院に運ばれたけど、意識不明の重体だったんだけどね……、昨日の夜に病院から連絡があって、その子の両親もお姉さんの両親を支える為に病院に行ってるみたい」
「うそ……」
留美達がクーの家よりさらに向こう側にある他の友達の家に向かった帰りだったようで、その子はショックで学校を休んでいたらしいが、その理由がまさか法月に木刀で殴られて意識不明の重体だった女子生徒絡みだったとは……。
さらにその女子生徒が今しがた危篤状態になっているらしく、それを聞いたクーも驚いていた。
「まさか、奴がね……」
「私もお兄ちゃんをあんな目に遭わせたあの女を許せないからね。 今はどうなってるかは知らないけど」
「今は家庭裁判所の審判待ちかな。 だけど……」
「うん。 その人が死んだら殺人になるから、下手したら逆送されて、刑事裁判になるかもね」
確か、少年犯罪の中で人を死なせたりしたり等の重大な事になった場合は、家庭裁判所から検察に逆送されて検察側が地方裁判所に起訴される可能性もありえてくる。
法月の動機があまりにもアレなので、下手すりゃ14歳にして前科がつく事もありえてしまうわけだ。
「その女の件もこっちでも注視する事にするよ。 義経様も殴られたって話だし」
「ああ、病欠した俺を無理やり連れ回した時に止めようとしてな。 救急車に通報した先生もろともな」
「おおぅ、そりゃあ酷いな。 お嬢の話じゃその女の母親も殴られたって話だろ?」
「とにかく私達も注視しておきましょうか。 何らかの形で逆上するかも知れませんし」
「そうだね。 っと留美ちゃんとそのお友達も時間取らせちゃってごめんね」
「いえいえ、お兄ちゃんから聞いた話じゃ久留里お姉ちゃんは安心できる人だって言ってましたし、これからも義兄をよろしくお願いしますね」
「うん、任せて。 それじゃあ、翔太くんまたね」
「ああ、またな。 じゃあ留美、帰ろうか」
「うんっ!」
護衛一家も今後の法月絡みの件も注視しておくと言い、クーたちと別れた。
そして、近くではあるが義妹の留美と一緒に帰ることになった。
「お友達の方は大丈夫か?」
「あ、はい」
「ちょっと話し方が怖い感じでしたが……いい人だと思いますし」
やはり多少は怯えてるのか。
人によっては怖いと思えてくるのが、クーにとっては辛いだろうな。
それでも悪い人じゃないという評価は、彼女にとっても救いか。
「あ、私達はここで。 留美ちゃんまたね」
「うん、バイバーイ♪」
そして、留美の友達とも別れた俺達はすぐに自分や留美の家に入ったのだった。
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