018 護衛一家の子供達が来た(翔太視点)
第2章に入ります。
法月の件が終わり、クーを護衛している家系からそれぞれ中学生の双子の子供が転入してくると聞かされてはや3日。
朝に俺がいるクラスの両隣のクラスに二つの護衛一家の双子の子供が、クーが言った通りに転入してきたようだ。
二限目が終わった後の20分休憩の時、トイレに向かう際に、その双子達と出会った。
お互い自己紹介をしながら、多人数でトイレに行くのだが、端から見たら男女が一緒にトイレに行くのは異様な光景だろう。
「あのグループが変な行動を起こさないように私達がガードしますよ。 非常勤講師の方々も見張ってますから大丈夫でしょうが」
トイレを済ませ、教室に戻る最中に護衛一家の一つの子供の奥田 春菜さんがそう言った。
確かにあの陽キャグループは、クーのトイレ妨害から始まる騒動から、非常勤講師が見張りとして教室にいるという異常な形となっているからだ。
だが、それだけ奴らが起こした問題が露になった形なのだ。
「私も聞かれるまで知らなかったのですが、お嬢様のトイレ妨害は流石に許せなかったですね」
「まぁ、委員長や七海ちゃんのおかげで漏らさずに済んだけどね」
別の護衛一家の子である仲本 奏さんも、陽キャグループの所業に不快感を示していた。
「とにかく、僕が中学を卒業するまで頼むよ」
「任せて下さい!」
クーからの頼みはしっかりと受ける辺り、やっぱり護衛一家の血を引いているなと感じている。
七海や圭太も声にしていないが、同じように感じているだろう。
「翔太さんについても話は聞きましたが、私達には拒絶反応を示されていたのは少しショックでしたね」
「何とかしたいとは思っているんだが……」
そう。
それぞれの双子の片割れの女子に関しては、例の病気による拒絶反応が働いてしまっており、ショックを受けていたので、何とかしたいとは思っている。
「それだけ法月が翔太くんに刻んだ傷が深いんだよ。 それに関しては焦らずゆっくり治していくしかないよ」
「確かにそうですね。 幸いお嬢に対しては拒絶反応がないのが救いですが」
クーの話に同意している片割れの一人、仲本 拓也は、奏さんを慰めながらそう言った。
「確か、当主が翔太に精神科医を派遣するって話ですが……」
「ああ、僕も聞いたよ。 話を聞いた途端に早速手配したらしいね。 全く父さんは……」
そして、俺の方にもクーの父親が信頼できる精神科医を手配したらしい。
その行動力は、クーさえも呆れる程だそうだ。
ただ、診察はクーの家でやるらしいので、お金の心配はしなくていいみたいなのだが、むしろそれが不安を駆り立ててくるのは気のせいだろうか?
「あ、もうすぐ教室だね」
「おっと、そうですね。 それにもうすぐ授業ですし、お嬢様が席に着いたら私達も教室に戻ります」
「次はお昼休みでしたね?」
「うん。 その時もお願いするよ」
「分かりました」
「お気をつけて」
教室で別れて、クーが席に着いたらすぐにそれぞれの教室に戻る。
その間も睨みを効かされていた自称陽キャグループは、俺達を睨んでいる。
しかし、非常勤講師の一人が一歩前に出て、そいつを睨みつけたようで、そそくさと視線を反らした。
反省の『は』の字もない奴らだから、こんな異常な見張りが教室内に配置されてるわけだ。
奴らにとっては居心地が悪いのだろう。
そんな事を考えながら三限目と四限目も終わり、昼休みに入る。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「翔太、どうしたんだ? 早々に昼飯食べてお嬢と一旦離れてまで」
「ああ、二人に聞きたい事があってな」
「聞きたい事?」
「今はクーには内緒にしておきたい話なんだが……」
昼休み。
俺は早々に飯を食べ終え、同様に食べ終えた仲本 拓也ともう一つの双子の片割れの奥田 正樹を屋上の別の所に呼んだ。
クーが転入した事で気になった事を聞こうと思ったからだ。
ある程度分かるまでは、クーには内緒にしておきたいというのもある。
そして、俺は二人に気になった事を聞いてみた。
「九条家の護衛一家である仲本家と奥田家は、クーとその従兄弟である義経の距離感に気付いているのか?」
それを耳にした正樹と拓也は、困った様子を見せていた。
これは気付いているみたいだな?
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