017 あの一件の後……(翔太視点)
あれから数日経った。
法月は予定より長い勾留期間を過ごしているという話らしい。
調査時間が長引いているが、家庭裁判所に送致されるのは確定との事。
そこから保護処分になるかは裁判所次第になるが、あれだけの事をしでかしたんだし、少年院送りは避けられないだろう。
「ここ最近、翔太くんは調子がいいみたいだね」
「まぁ、悪夢を見る事がなくなったからな。 相変わらず一部の女子以外には拒絶反応が出てるけど」
「そこはじっくりと時間を掛けて治すしかないね」
「確かに。 学校生活に支障が来ないように俺達も立ち回らないとな」
「あの自称陽キャグループがクラスメイトだからねぇ。 しんどいったらありゃしない。 久留里ちゃんも気をつけなよ」
「ははは……、気を付けるよ」
俺達はいつもの通りに屋上で昼食を摂りながら話をしていた。
俺は未だに一部の女子以外は拒絶反応を起こしてしまうが、悪夢を見ることがなくなり、寝不足は解消された。
とはいえ、未だに俺達のクラスにはクーのトイレ妨害を起こした自称陽キャグループがクラスメイトとしているので、クーを守りつつ学校生活に支障が来ないように立ち回らないといけない。
七海や圭太もそう意気込んでいた。
あと、七海とクーがいつの間にか友人関係になっており、七海が『久留里ちゃん』と呼んでいたのには驚いた。
「僕達のクラスに未だに多数の非常勤講師たちが見張ってるもんね。 それだけここ最近迷惑を被っていたのかな?」
「中学一年の時に同じく転校した少女が当時の陽キャグループにトイレ妨害などをされて、失禁させられたんだよね。 でも、その時は今の委員長のような強気な子がいなかったのと、担任が陽キャグループに言いくるめられていた事で何もできなかったみたい」
「確かに当時の少女は不登校になった挙句に転校を余儀なくされたんだっけ?」
「そうそう。 それがきっかけで教師もごっそり変わったんだよね」
「ああ、僕が転入する前からつるんでいたのか……。 去年度は問題放置が多かったわけだね」
「というか、陽キャグループの一人がお偉いさんの息子らしくてね。 それをちらつかせて黙らせていたんだよ。 それが教師が変わった事によって通用しなくなったんだよ」
「なるほどなぁ」
それは俺も初耳だった。
中学一年の時から陽キャグループが幅を利かせていたというのが。
しかもクーのような子を自分のモノにするために一人の少女を失禁させていたとはねぇ。
その子がどんなトラウマを刻まれたか、想像をする程可哀そうに思えてくる。
幸い、今の委員長のような強気な女子がいるし、非常勤講師を始めとして担任や副担任も陽キャグループの一人の肩書をスルーして強気に出れる人たちがいるおかげでそいつらは肩身の狭い生活を送っているが。
「確かに油断はならないな。 あいつらの事だから何か隙を見つけて行動を起こすかも知れんしな」
「圭太の言う通りだな。 あいつら手段を選ばない性質もあるから」
「そうならないように、今しがた九条家に仕える護衛さん一家の子供がここに転校してくるんだよ。 僕がいる隣のクラスにね」
「え、マジ?」
「マジ。 報告を聞いて父さんや母さんが手続きを進めてくれてたみたい。 大人の護衛さんは学校に入れないからね」
何とまぁ。
クーの家の護衛一家の子供がこの中学校に転校してくるとは。
やっぱ、トイレ妨害が響いたのかもしれないな。
「どんな子が転校してくるの?」
「両隣のクラスに男女の双子が入ってくるよ。 その子達も屈指の実力を持っているよ」
「私、その子達と友達になれたらなぁ」
「父さんからもそう言っているみたいだし、大丈夫だと思うよ」
「だといいがなぁ」
「ああ、圭太はまだ女性に拒絶反応が起こるからか……
両隣のクラスにそれぞれの男女の双子が転入してくるのだが、性格的にはどうなんだろうといささか不安になる。
クーが言うには両親からも仲良くするようにと双子たちに伝えているみたいだけど……。
そういった不安を抱えながらも昼食を終え、トイレへ行ってから、教室に戻っていった。
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